今回は東京銀座に新装開店したユニクロの旗艦店UNIQLO TOKYOにオープン翌日の2020年6月20日に訪れましたのでその模様をレポートしたいと思います。
UNIQLO TOKYOの建築の設計はなんとヘルツォーク&ド・ムーロン、トータルクリエイティブディレクターに佐藤可士和氏が起用されるなど建築・デザイン好きには必見のプロジェクトでもあります。
今回はこのUNIQLO TOKYOを建築デザインの関連からレポートしていきたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・ユニクロトーキョーを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・ユニクロトーキョーの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・ユニクロトーキョーの建築的な見どころや注目ポイント
1.UNIQLO TOKYOとは?
UNIQLO TOKYOは2020年6月に銀座のマロニエゲートを改装してつくられたユニクロの旗艦店です。
今回の改修では地上1~4階の部分が大幅にリニューアルされ、約5000㎡にも及ぶ売り場面積は国内最大級でもあります。
コンセプトは「LifeWearのすべてをここに」。
改修もととなったマロニエゲート銀座2は2017年に改称されて現在の名前になっていますのでプランタン銀座といえばピンとくる人もいるかもしれません。
建物自体は1984年に三菱地所設計によって建てられた築36年の建築ですが、今回のリニューアルで大きく姿を変えて生まれ変わることになりました。
2.設計はあの有名建築家ユニット
この建物を設計したのは建築好きには有名なスイスの建築家ユニット ヘルツォーク&ド・ムーロンです。
ヘルツォーク&ド・ムーロンといえば日本ではこちらの記事でも取り上げた表参道のプラダ青山店やミュウミュウ青山店などのデザインを手掛けたことでも知られています。
その他に有名なところだと、2008年の北京オリンピックの「鳥の巣」のスタジアムを手掛けた建築家でもあります。
このヘルツォーク&ド・ムーロンは近年では現代的でスタイリッシュな建築を多く手掛けている建築家ですが、その原点ともいえるのはイギリス ロンドンにある美術館「テート・モダン」のプロジェクトです。
テート・モダンは2000年にオープンしたイギリスにある現代アートなどを扱う国立の美術館で、発電所をコンバージョン(用途変更)してつくられた美術館です。
テムズ川沿いの敷地に半世紀以上前につくられて閉鎖されていた荒廃した発電所を生まれ変わらせ、イギリス有数の観光スポットにしたことで、ヘルツォーク&ド・ムーロンは一躍世界的に注目される建築家になりました。
テート・モダンではタービン・ホールと呼ばれ、かつては発電機が置かれていた7階分のスペースをエントランスホールとして利用する提案が高く評価されていて、この吹き抜けホールではさまざまなアート展示も行われています。
今回のUNIQLO TOKYOのプロジェクトを見る時にこのテート・モダンのプロジェクトを知っておくとより理解が高まります。
ちなみにヘルツォーク&ド・ムーロンについての簡単な解説ボードもありました。
3.元の建物を知っていると驚きの外観
早速UNIQLO TOKYOを訪れて驚くのはその外観です。
元の建物は1980年代の銀座といったシックなデザインでしたが、これが一新してグレーのフレームが特徴的なデザインになっています。
シンプルな矩形で構成された外観はまさにフラットでグローバルなユニクロのイメージを彷彿とさせます。
建築的な注目ポイントは角地に飛び出した柱のない隅部です。
もともとのプランタン銀座でも角の隅切部分が柱のないオープンスペースとなっていましたが、こうすることで都市空間にゆとりを与えつつ、街と建物の「あいだ」の空間をつくりだすことができます。
このような隅切部の使い方は2018年に解体されてしまったソニービルの角地にあった「ソニースクエア」が有名ですが、今回の改装ではこの隅部のオープンスペースの令和版再構築ともいえると思います。
このオープンスペースは信号待ちのちょっとした合間の時間に留まったり、待ち合わせに使われたりとユニクロに接点のなかった人にも使われる姿が目に浮かびますね。
4.早速内部に潜入!やはり吹き抜けのホールがすごい!
内部にはいってまず目にするのが、今回の改装の大きな注目ポイントでもある4層の吹き抜けです。
この吹き抜けは今回の改装に伴って空けられたものなのですが、この吹き抜け空間によってすべての売り場が繋がっています。
旧来のユニクロの店舗は同じようなテイストのウェアが永遠と陳列されていて、自分が今売り場のどこにいるかが分らなくなってしまう感覚があったのですが、この店舗では吹き抜けを起点にして自分の位置が把握できるのも面白いです。
内装は建物本来の梁や柱を露わにしたものなのですが、このフレームがとても美しいです。
今回は既存の建物を改装するということで、デザイン上の制約もかなりありました。
ヘルツォーク&ド・ムーロンは既存の建築に足し算で要素を加えるのではなく、余計な部分をそぎ落とした「引き算」のデザインを提案しています。
そうすることで建物の構造が持つシンプルな美しさや、建物の構造が持っている機能性や合理性からくる美しさが引き出されています。これはまさにユニクロ自体のコンセプトとも一致していますね。
先ほど紹介したヘルツォーク&ド・ムーロンを一躍有名にした「テート・モダン」のプロジェクトも古い建物本来の持っていた美しさを引き出して建築自体を魅せる美術館にしていました。
まさにこのUNIQLO TOKYOもその手法が生かされているのがよくわかります。
5.細かい内装の仕掛けにも注目!
吹き抜けや構造体など大きなデザイン以外にの細かいデザインも注目ポイントがあります。
はじめに注目したいのが、梁や天井に貼られたミラーです。
このミラーによって空間に奥行きが出来るので、梁の重々しさや圧迫感が無くなって、より吹き抜けの抜け感が増していることに注目です。
また、このミラーには当然そのフロアでショッピングをしている人々が断片的に映し出され、建築内での人々のアクティビティを可視化させる役目も担っています。
ユニクロといえど、店舗を訪れた人のファッションが映し出されるというのもアパレルブランドらしいアイディアで面白いです。
また、本来天井はコンクリートの梁の下に来るものですが、今回の改修では天井を張りの上のギリギリまで上げていることにも注目です。
あまり見ないデザインですが、建物全体で構造フレームを見せていることで、先ほど触れたコンセプトを明確に表現しつつ、高い天井高も確保しています。
6.銀座を訪れるなら合わせて見ておきたい建築がズラリ
最後に銀座を訪れた際に合わせて巡りたいおススメの建築を紹介したいと思います。
銀座は日本でも有数の有名建築家による建築作品がひしめく建築パワースポットでもあります。
全てを紹介することはできないのですが、このブログで取り上げたおススメ建築をいくつか取り上げたいと思います。
■MIKIMOTO GINZA 2(伊東豊雄)
まず初めに紹介したのがUNIQLO TOKYOのすぐ先に建つMIKIMOTO GINZA 2です。
この建物の特長は柱や壁や窓といった今まで当たり前だった建築の要素をひっくり返してしまったデザインコンセプトです。
日本を代表する建築家である伊東豊雄氏による作品ですが、2020年の今でもその新しさが際立つ建築は正に建築の新時代を切り開こうとした必見建築です。
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■銀座プレイス(クライン・ダイサム・アーキテクツ)
続いて紹介したいのが銀座4丁目に建つ銀座プレイスです。
ファサードデザインは今をときめく建築家集団クライン・ダイサム・アーキテクツが行っています。クライン・ダイサム・アーキテクツは最初に取り上げた伊東豊雄氏の事務所出身の建築家によって立ちあげられた事務所でもある点も注目です。
■メゾン・エルメス(レンゾ・ピアノ)
銀座で夜に観たい建築No.1なのがこの建築です。
昼は外の光が店内に導かれ明るく室内を照らしますが、夜はその表情が一変して「マジックランタン」といわれるようにビル全体が光ります。
外からみればビル全体が輝く宝石箱のようであり、内側から見れば銀座の街の明かりが抽象的な絵のように壁一面に描かれる姿はまさに巨大なアートです。
■奥野ビル(川元良一)
最後に紹介するのは2020年に築88年となる奥野ビルです。
建設当初は「銀座アパートメント」と呼ばれ、地上6階地下1階の建物には店舗が併設、スチーム暖房、共同浴場、屋上は洗濯場となっている当時としては先駆的な高級アパートメントでした。
現在は画廊やギャラリーなどアート系の店舗が20近く入居しています。実際に内部に入ってその空間を体験することも出来き、今再び注目を集めてる必見建築です。
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東京で泊まりたい、建築が素敵なホテル・旅館についてのまとめも書いてます。
いかがでしたでしょうか。
今回は建築にフォーカスしてレポートしましたが、よくデザインされた建築は実用的な建物でありながらアートとしても楽しめるということが少しでもお伝え出来たら嬉しいです。
建築はどこにでも建てれている。ちょっと見方を変えて注目してみると面白い発見があると思います。
ユニクロトーキョー
設計:ヘルツォーク&ド・ムーロン+竹中工務店+乃村工藝社
トータルクリエイティブディレクション:佐藤可士和
所在地:東京都中央区銀座3丁目2-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約4分、銀座一丁目駅より徒歩約2分
竣工:2020年
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