都電荒川線で行く建築巡りの旅!おススメ建築決定版

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今回は「都電荒川線で行く建築巡りの旅!」ということで、都内に残る唯一の路面電車である都電荒川線(東京さくらトラム)で巡った建築さんぽの模様をレポートしたいと思います。

始(終)点の早稲田駅

都電荒川線は東京都内に残る唯一の都電で、早稲田から三ノ輪橋までの約12.2km、30停留場を運行しいる路面電車です。

路面電車ということで、停留所は道路の真ん中にある駅も多くて改札もありません。そして発車の際には ちんちん電車」 の名の通り「チンチーン」と鈴の音を鳴らしながら走る姿は不思議な懐かしさと親近感を覚えます。通常の電車と違って街中をゆっくりと進んでいくので、車窓から街を楽しんだり気になった風景があればちょっと降りてみる楽しみ方もできるのが都電荒川線なのです。
今回は1日切符を利用してそんな都電荒川線を自由に乗り降りしながら建築さんぽをしてきました。

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都電荒川線さんぽ、今回のコース

今回の建築さんぽでは、始発(終点)駅である早稲田駅をスタート地点として、終点である三ノ輪橋方面の電車に乗りました。

切符は1日乗車券(大人400円!)を購入すれば乗り降り自由なので、この切符を活用して気になる建築のある駅で降りながら建築さんぽをしてきました。
おススメの建築は数えきれないほどあるのですが、今回は11の停留所で降車して、おススメの20の建築について紹介していきたいと思います。

1駅目:早稲田駅

□和世陀
荒川線さんぽの最初に紹介する和世陀はいきなりド派手な不思議建築です。
別称ドラード早稲田とも呼ばれるこの建築は、こう見えても1階が店舗で上階は集合住宅となっていて、もちろん現役で使われています。

設計者である梵寿綱(ぼんじゅこう)氏は本名を田中俊郎さんといい、工芸家や彫刻家、職人の仲間と共に「梵寿綱と仲間たち」を結成した異端の建築家です。「日本のガウディ」なんて呼ばれることもある梵寿綱氏は、従来の建築とは全く異なった建築を次々に創りだしている人です。

この「和世陀」は機械化されて製造された工業製品にはない、人間が考えて、人間が手を動かした結果できあがった人間賛歌ともえる実物大の工芸品のような建築はとてつもなくエネルギッシュです。
ガウディが聖なるものへ向かったとしたら、梵寿綱氏は真逆の「俗」なるものへ向かった建築家であり、俗なるものの魅力が詰まっています。

設計者:梵寿綱
所在地:東京都新宿区鶴巻町517
最寄り駅:早稲田駅徒歩10分
竣工:1983年

□早稲田大学

次に見るのは早稲田大学ですが、キャンパス全体に各時代の名建築が散らばる建築見学に最もおススメの大学です。
例えば大隈記念講堂意匠設計を日比谷公会堂などの設計で知られる佐藤功一・佐藤武夫構造は東京タワーの設計で知られる内藤多仲によるゴシック建築の傑作です。プロポーションの良さ、素材感、細かい意匠などどれをとっても見ごたえ抜群です。

設計:佐藤功一・佐藤武夫
所在地:東京都新宿区戸塚町1-104
早稲田駅徒歩7分
竣工:1927年

早稲田大学はその他の建築の充実度もスゴイです。
會津八一記念博物館(今井兼次/1926年竣工)、内藤多仲博士記念館(内藤多仲+木子七朗/1926年竣工)、5号館(今井兼次/1928年竣工)、文学部校舎(村野藤吾/1962年)、理工学部校舎(安藤勝男/1967年)、図書棟(菊竹清訓/1992年)、研究棟(鈴木恂/1993年)、ハイテクリサーチセンター(鈴木恂+古谷誠章/1999年)など各年代の建築が散らばる校舎はまさに建築のテーマパークです。

□観音寺

観音寺は早稲田大学のすぐ近くにあるアバンギャルド感が満載なデザインのお寺です。
不整形な敷地と緩やかさ高低差に従ってつくられた建築は、そのまま階段を上がって2階が入り口となっています。

幾重にも折れ曲がる屋根から集まった雨水は階段を沿った雨樋で一か所に流されます。1990年代の脱構築のデザインを感じつつ、前時代的といった古めかしさを感じさせないデザインに注目です。
実際に見てみると写真のような奇抜さはなく、落ち着いた雰囲気すら感じさせるのも面白かったです。

設計:石山修武
所在地:東京都新宿区西早稲田1-7-1
最寄駅:早稲田駅徒歩7分
竣工:1996年

2駅目:鬼子母神前駅

□千登世橋教育文化センター

鬼子母神前駅から直結で行ける千登世橋教育文化センターは戦後の日本を代表する建築家である菊竹清訓氏の設計した市民のための複合施設です。
菊竹氏といえば自邸「スカイハウス」や両国にある「江戸東京博物館」が有名ですが、この千登世橋教育文化センターは都内に現存する隠れた菊竹建築の1つです。

市民のための各種施設や図書館、プール、体育館、コンサートホール、和室などが大きな中庭を介して立体的に積層されています。
中庭を介して左右に配置されている体育館の屋根は膜構造になっていて、機会があれば是非見ておきたい建築です。

設計:菊竹清訓
所在地:東京都豊島区雑司が谷3ー1-7
最寄駅:鬼子母神前駅徒歩0分
竣工:1987年

□千登世橋

鬼子母神前駅を降りたら建築ではないですが千登世橋教育文化センターから目と鼻の先にある千登世橋も見てみましょう。

竣工は1932年で東京都内で初めての幹線道路同士の立体交差橋ともいわれています。
鉄骨がアーチ状に組みあがる姿は今見ても美しく、この界隈のランドマークとして長らく愛されてきたその姿を是非見ておきましょう。

所在地:東京都豊島区雑司が谷
最寄駅:鬼子母神前駅徒歩2分
竣工:1932年

3駅目:都電雑司ヶ谷駅

□としまエコミューゼタウン

続いて下車したのは都電雑司ヶ谷駅です。
都電雑司ヶ谷駅で降りると早速見えてくるのとしまエコミューゼタウンは低層部を豊島区役所を中心とした都市・行政機能、高層部を集合住宅とした高層複合都市施設です。
公募で決まった「エコミューゼタウン」の名称の通り、環境に配慮する様々なしかけが建築と一体になって埋め込まれていまて、今をときめく建築家である隈研吾氏がデザイン監修をしたことでも大きな話題となりました。

外観のパネルが集積した立面デザインは荒川線からでもよく見えて、近づいていくとその迫力に圧倒されます。まさに木々が集まって森になるように、近づくと巨大な存在感と一緒に不思議な抜け感も感じることができる建築。内部の吹き抜けも迫力があって、おススメビュースポットとなっています。

外観・一部内観デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所
建築:日本設計
所在地:東京都豊島区南池袋2-45-4
最寄駅:早稲田駅徒歩5分
竣工:2015年

□南池袋公園

としまエコミューゼタウンから2分程歩いたところにある南池袋公園は、区と地元住民が一体になって運営し、「都市のリビング」と位置づけられた野心的な公園です。
もともとは薄暗い雑木林だった場所を官民一体となって生まれ変わらせた注目のスポットで、自由に立ち行れる芝生の広場は、シートを引いてピクニックしたり、テイクアウトした食べ物を食べたりヨガ教室が開かれたりといつも賑わっています。
建築、ランドスケープ、サインや照明のデザイン、店舗運営と様々なデザインが融合した空間は必見です。

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・南池袋公園は都市のリビング。休日はここでのんびりピクニック【東京池袋】

ランドスケープ・デザイン:ランドスケープ・プラス
建築:久間建築設計事務所
照明:トミタ・ライティングデザイン・オフィス
サインデザイン:氏デザイン株式会社
所在地:東京都豊島区南池袋2-22-1
最寄り駅:都電雑司ヶ谷駅徒歩8分
竣工:2015年(Ⅰ期)、2016年(Ⅱ期)

□斐禮祈(ひらき):賢者の石

斐禮祈(ひらき):賢者の石は南池袋公園の向かいに建つ建築で、1階は居酒屋と酒屋の倉庫・事務所、上階は集合住宅となっています。
先ほどのドラード早稲田と同じく梵寿綱氏による設計で、反工業化・ 反標準化の姿勢を全面に押し出した外観はおどろおどろしくも人間臭さのにじみ出る建築でした。

ちなみに徒歩1分の位置に、同じく梵寿綱氏の設計した「ヴェッセル:輝く器」もあるので合わせてみたいです。(詳しくは下の記事で紹介しているので気になる方は是非!)

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・梵寿綱が設計した都内の不思議な建築1【東京池袋】

設計者:梵寿綱
所在地:豊島区南池袋2丁目
最寄り駅:都電雑司ヶ谷駅徒歩8分
竣工:1979年

4駅目:向原駅

□カスタリア大塚

向原駅を出て先ず向かったのは、向原駅からすぐの場所に建つカスタリア大塚です。
カスタリア大塚は地上11階70戸からなる賃貸住宅で、その特徴は正面の外観です。基本的にはすべて1Rもしくは1Kからなる都市型の単身者向け住戸ですが、単調になりがちな集合住宅の外観が、複雑かつ整然とした美しさを持ってまとまっているのは一見地価値ありです。

設計:下吹越武人/A.A.E
所在地:東京都豊島区南大塚3-17-4
最寄駅:向原駅徒歩3分
竣工:2006年

□Treform

カスタリア大塚を見た後は少し歩いて、向原のメイン建築として楽しみにしていたTreformに向かいます。
Treformは千葉学、小川晋一、西沢立衛の3人の建築家の協働によって生み出された集合住宅です。個性あふれる空間がまるで山のように連なって全体を構成していて、住まうことの多様性やワクワク感をひしひしと感じる建築です。
建築当初は王様のブランチなどの番組でも紹介されていて、全国的にも大きく注目されたプロジェクトでした。

設計:千葉学+小川晋一+西沢立衛
所在地:東京都豊島区南大塚2-17-3
最寄駅:向原駅徒歩10分
竣工:2012年

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