今回は東京表参道エリアの建築の中から、建築巡りにおススメを厳選して紹介したいと思います。
では、早速見ていきましょう!
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・表参道エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・表参道エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・表参道エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.東急プラザ表参道原宿

まず初めに紹介する東急プラザ表参道原宿は大地からにょきっと飛び出したような高層部とガラスの低層部が特徴的な商業ビルです。
表参道の交差点を吸い込むミラーワールドのようなエスカレータで内部に入っていきますが、このミラーに刻々と映し出される表参道を行きかう人々の風景は必見です。
屋上は提案になっていますが、ここが表参道であることを忘れてしまうような木々が溢れるのが何とも不思議です。
商業施設の上に根鉢を乗せたような建築は、栄養や水分を吸い上げるように地上から人々を建物内に引き込んで潤わせています。
2000年代に流行した洗練されたブランド建築のイメージとは違って、癒し感があって、しかしワクワクするような新たな商業建築像を感じさせる建築です。
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設計:中村拓志/NAP建築設計事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前4-30-3
アクセス:表参道駅より徒歩約7分
竣工:2012年
公式HP:https://omohara.tokyu-plaza.com/
2.GYRE

GYRE(ジャイル)は、表参道とキャットストリートが交差する角地に建つ商業施設です。
設計を手掛けたのはオランダ・ロッテルダム出身の建築家集団MVRDVで、一層一層がねじれて回転したように構成されていることが特長の建物です。
2000年代前半に表参道に多く建てられたビルが、「表層」のみが派手なデザインの箱になっているという批判からか、建物の各層を渦のように回転させながら積み重ねることで建物全体に変化をもたらせています。
層がずれることによって、その隙間に生まれるテラスや余剰空間が豊かな空間の変化を生み出しているのが面白いです。

設計:MVRDV
所在地:東京都渋谷区神宮前5-10-1
アクセス:表参道駅より徒歩約6分
竣工:2007年
3.ディオール表参道

ディオール表参道は、ドレスを纏ったのようにガラスに揺らめくアクリルカーテンと水平のスラブが特徴的な建物です。
8層に見える外観からは想像できないのですが、実はこの建物4階建て。高さの異なる設備階が設けられていて、その天井のラインが外観に現れて8層のファサードとなっているのですが、まるでこの場所だけが重力の制約を受けていないのではないかと思えるような建築です。
TOD’sビルと同じく、これまでの「建物の床や壁はこういうもの」という概念を打ち破る実験的な建築です。

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設計:妹島和世+西沢立衛/SANAA
所在地:東京都渋谷区神宮前5-9-11
アクセス:表参道駅より徒歩約5分
竣工:2003年
4.日本看護協会ビル

日本看護協会ビルは、地上部に設けられた巨大な広場空間と三角錐が特徴的なオフィス、ギャラリー、店舗の複合施設です。
道路ギリギリにめいいっぱい建てられることの多い表参道のビルの中で、セットバックした外観や地上に空いた穴はとても目立ちますが、気持ちのいい抜け感と優雅さを感じます。
黒川紀章氏のアイコンといってもいいガラスの三角錐も自然と上空のラインに沿って消えていく感じがして、商業施設の中にありながら、黒川氏のいう環境との共生というテーマが垣間見れる作品となっています。

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前5-8-2
アクセス:表参道駅より徒歩約5分
竣工:2004年
5.表参道ヒルズ

表参道ヒルズは、関東大震災後の復興住宅として建てられた同潤会アパートの建て替えによってできた商業施設です。
地権者も多いことから建て替えまでにはかなり紆余曲折した経緯がありますが、世界のANDOこと安藤忠雄氏の参画もあって大きな注目を得て完成しました。
高さを抑える為に内部では地下空間を上手く使いながら、けやき並木の勾配に合わせた200mを超えるスロープに店舗がくっつく構成になっているので、建物内部はけやき並木の延長のようになっています。
端には同潤会アパートの一部が再現されていて、かつてここにあった歴史的な建築の残り香を微かに感じることができます。

設計:安藤忠雄/安藤忠雄建築研究所+森ビル
所在地:東京都渋谷区神宮前4-12-1
アクセス:表参道駅より徒歩約5分
竣工:2006年
公式HP:https://www.omotesandohills.com/
6.ルイ・ヴィトン表参道

ルイ・ヴィトン表参道は、建築家によるブランド建築が立ち並ぶ表参道において比較的早い時期に建てられた商業ビルです。
大きな箱が積み重なったかのような外観が特徴的で、設計者の青木淳さんはこれをルイ・ヴィトンの象徴であるトランクを積み重ねることから発想したといいます。
重ねられた箱の表面はダブルスキンいう2重の構造になっていて、見る角度や距離によって違った表情を街に発信しています。街を歩いていると「なんだろう?」と思わず中を覗いてみたくなります。
このダブルスキンと分割されたボリュームが緩衝帯となっているので、ブランドビルとして目立ちながらも圧迫感を与えずに優しい表情をみせているのも面白いです。

設計:青木淳/青木淳建築計画事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前5-7-5
アクセス:表参道駅より徒歩約5分
竣工:2002年
備考:第45回BCS賞
7.TOD’s表参道

TOD’s表参道は、建築家の伊東豊雄氏が設計を手掛け、表参道の建築家による商業施設の中でも代表格といっていい建築です。
この建築が建てられた2000年代初期は近代建築が打ち出した水平垂直に繰り返される階構成や、壁や窓といったそれまでの建築の常識をいかに乗り越えるかといったことが大きなテーマでした。
TOD’s表参道ではケヤキ並木からとったとされるコンクリートの構造体が樹木のように立ち上がっていて、その隙間がガラスの開口部となっています。
けやき並木のシルエットが柱であり壁であり入口の開口であり窓でもあり、それがブランドイメージを特徴づける広告にもなっていて、新たな時代の到来を予感させた記念碑な作品です。

設計:伊東豊雄/伊東豊雄建築設計事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前5-1-15
アクセス:表参道駅より徒歩約3分
竣工:2004年
8.表参道けやきビル

表参道けやきビルは、TOD’S表参道ビルに隣接して建つ地上8階地下2階建ての商業施設です。
TOD’S表参道ビルが外壁にけやき並木のパターンを立ち上げているのに対して、表参道けやきビルでは建物が大きな幹のようなデザインとなっているのが面白く、交差点に対してシンボリックな姿で立ち上がっています。
中層部がすぼまった立体的なデザインや近づくと分かる板目打ちのコンクリートの素材感も素敵で、見る位置や時間によって変化する表情も魅力的です。


設計:團紀彦建築設計事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前5-1-3
アクセス:表参道駅より徒歩約3分
竣工:2013年
9.oak omotesando

oak omotesandoは、かつて建築家の丹下健三氏が設計したハナエ・モリ ビルがあった跡地に建てられた地上9階地下2階建ての商業施設です。
表参道のファッションビルの象徴でもあったハナエ・モリ ビルのイメージを継承しつつ、現代の技術と様々なデザイナーとの協業によってデザインされた建物は、空間そのものがアートといっても過言ではない美しさを纏っています。
また、建物北側の角部にはOMAの重松象平氏がデザインしたCOACH表参道がはいっているのも大きな注目ポイント。ガラスのボックスが積層した外装は建物内外をつなげるディスプレイとして表参道に新たな景観をつくりだしています。


設計:大林組+ 丹下都市建築設計
エントランスデザイン:杉本博司+榊田倫之/新素材研究所
ファサードライティング:キルトプランニングオフィス
COACH表参道デザイン:重松象平/OMA
所在地:東京都港区北青山3-6-1
アクセス:表参道駅より徒歩約3分
竣工:2013年