今回紹介する建築は妹島和世+西沢立衛氏による「ディオール表参道」です。
では早速のこ建築のミカタについてご紹介していきたいと思います。
①そもそもSANNAとは何者?
日本建築学会賞を複数回受賞する他、2010年には建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞する世界的な建築家ユニットです。
このディオール表参道は比較的初期~中期のはじめ頃の作品ですが、この建築を皮切りに前述の金沢21世紀美術館をはじめ国内外に有名建築を数々と実現させています。
SANNAとしてのユニットだけではなく、妹島和世としても今はなき原宿のhhstyle.comやすみだ北斎美術館、西沢立衛としては青森県の十和田市現代美術館や香川の豊島美術館など一度は見たことのあろう建築を設計したのが実はこの2人なのです。
②実は4階建ての建物
建物の高さはブランド建築ということもあり、建物全体を広告塔としての役割を持たせたい事や周りの建物との兼ね合いで決まった部分もあるとは思いますが、この要求に対する見事な回答を示して、他のどこにもない見事なデザインとなっていました。

③4周の外壁は実は2重の透明な壁
この建物は建物の4面がガラスで覆われていますが、この外壁はガラスの内側にもう一枚の布のようなドレープ状のアクリルカーテンの2重構成となっています。
この2重の透明な壁が建物全体がドレスを纏って、フロアがゆらゆら踊っているような不思議な効果を発揮しています。
外壁面の構造的な要素は極端に排除され、まるでこの場所だけが重力の制約を受けていないのではないかと思えるような建築です。
また、これもミキモト銀座ビルと同じく、これまでの「建物の壁とはこういうもの」という概念を打ち破ることが試みられています。
またこれは、ル・コルビュジエから続く近代建築の文法を乗り越える試みであるともいえます。
ちなみに注意してみるとこの外装のスクリーンの透明度が各階で違っていますね。
④現代建築の実験場としての表参道
このブログでもいくつか紹介しましたが2000年代初頭は表参道や銀座でスター建築家を起用したブランド建築が沢山建築されました。
【表参道】街に切りだされた原石 プラダブティック青山店
【銀座】柱も壁も窓もない!?モダニズムのその先へ MIKIMOTO Ginza 2
クライアントとしては実物大の広告塔を、建築家としては技術的、金銭的に恵まれた機会を得ることで、東京表参道や銀座の一等地が一躍現代建築の見本市のような場所になりました。
この時期の実験的な建築の実現を経て、SANNAをはじめ伊東豊雄氏、隈研吾氏、青木淳など現在の日本を代表する建築家たちの建築のつくり方・考え方が変わってきました。
そんな転換点となった建築群がまるでコレクションのように見れる表参道。今度通りかかる時は少しだけ意識してみると面白いかもしれません。
この建築、昼間は表参道のケヤキ並木が写りこんで街が建築の外観になりますが、夜は建物内部の光が浮かび上がり建築が浮いているような外観になります。
訪れる時間帯によって表情を変える建築というところもポイントですので、実物大の広告としてのブランド建築、表参道を訪れた際には是非気にしてみてください。
ちなみに表参道の建築についてはこちらの記事でも紹介しています。
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■建築情報
名称:ディオール表参道
設計:妹島和世+西沢立衛/SANAA
所在地:東京都渋谷区神宮前5-9-11
最寄り駅:原宿駅、表参道駅徒歩5分
竣工:2003年
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