表参道「プラダ青山店」切り出された原石のような素敵建築をレポート

今日はトップブランドが数多く存在する東京表参道においてひと際印象に残る「プラダブティック青山店」を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・プラダ青山店を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・プラダ青山店の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・プラダ青山店の建築的な見どころや注目ポイント

この建築を手掛けたのはヘルツォーク氏とド・ムーロン氏というはスイス人の建築ユニット。
ヘルツォーク&ド・ムーロンといえば北京オリンピックで建設された「鳥の巣」スタジアムを設計した建築家といえば多くの人にも馴染みがあるのではないでしょうか。

ヘルツォーク&ド・ムーロン建築と言えば、このプラダ青山店が建てられた2000年代前半には、国内で彼らの建築を見られるのはプラダ青山店だけでしたが、2015年には向かいの敷地にミュウミュウ青山店が建てられました。

■ミュウミュウ青山店
設計：ヘルツォーク＆ド・ムーロン+竹中工務店
所在地：東京都港区南青山3-17-8
最寄駅：表参道駅徒歩5分
竣工：2015年

また、2020年に改修された銀座のUNIQLO TOKYOも彼らの作品で、現在では東京都内で3つの作品を見ることができます。

■UNIQLO TOKYO
改修デザイン：ヘルツォーク＆ド・ムーロン
所在地：東京都中央区銀座3丁目2-1
アクセス：有楽町駅徒歩4分、銀座一丁目駅徒歩2分
竣工：2020年

ここでプラダ青山に話を戻すと、この建物が建つエリアは青山といっても一般住宅も数多く存在し、決して広くはない道路に沿って建築が建てられる難しい建築条件のエリアでもあります。

この建物を建てるにあたっても、斜線規制や日影規制といった建物の外形を切り取り規定する法律と容積率の上限を最大まで使いきりながら建物をできるだけ高しようとした結果この外形が導かれたといわれています。
ヘルツォーク&ド・ムーロンはそうして切り取られた外形を菱形のボリュームをガラス格子で覆うことで、まるでこの敷地によって宝石の原石が切り出されたかのような建築を生みだしました。

地上部分は斜めの格子と階段周りの柱のみで建築のすべてが支えていて、無駄な遮蔽物のない内部からは外部の人々の流れが、外部からは店内の様子が凹凸のついたガラスから揺れ動くようにみえます。

湾曲したガラスを通して視線や光を通すことで街と建築が一体となりつつ、内部の特別な空間を演出するこの建築は、数々の華やかな建築がひしめく青山エリアの中でも唯一無二の存在感を発揮しています。

もう1点面白い点は、この建物が交差点側に寄ってつくられている点です。

あえて交差点のある側に寄り、その反対側に空地をつくることで豊かな外部スペースを作りつつも、この建物が周囲から見て印象的に立ち上がって見えるように工夫されています。

敷地ぎりぎりに建てられていても、街に対して圧迫感を与えないのは建物全体がガラスで構成されていることが大きいです。
そうして改めてこの建築をみると、敷地の限られた建築条件、ブランド建築としてのイメージ、建物を支える構造と素材の使い方、建築にまつわる法律といったすべてが合わさって必然的にこの建築のデザインが導かれていることがよく分かります。

もし目の前を通りかかったときは、スルーするのではなく興味深々にちょっと中を覗いてみてください。
建築の中の空間と自分が歩いている場所が繋がったような不思議な体験ができます。
外部との関係をきっぱり遮断するブランド建築が数多くある中で、この建築は外からでも建築の空間を味わえる不思議な建築です。

ちなみに敷地内の広場を挟んで見えるこちらの地下への入り口は、地下売り場へと続いています。
ここだけちょっと違った素材感なのも建築好きとしては見逃せません。

ちなみに表参道のおススメ建築についてはこちらの記事にもまとめていますので、興味のある人は是非合わせてご覧ください。
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■まとめ
・斜線規制や日影規制、ボリュームといった街からの規制条件によって切り出された宝石のような建築
・一見不思議な建築は、街ゆく人の興味を引き印象に残るために考えられた高度なブランド建築。
例えるなら第一印象は派手でチャラいのだけれど、話してみるとおもしろいし、思いやりもあるイケてる人。怖がらずに接してみましょう。

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