九段下で建築巡り！おススメの名建築12選を紹介

8.駐日インド大使館・インド文化センター(宮崎浩)

松岡九段ビルのすぐお隣に建つ駐日インド大使館・インド文化センターは、千鳥ヶ淵を望むガラス張りの外観が特徴の大使館と文化センターの複合施設です。
性格の異なる2つの施設はエントランスを介して左右に振り分けられていて、大使館側からは千鳥ヶ淵の豊かな自然が借景として建物内に取り込まれるようにデザインされています。
外形はシンプルですが、様々な諸機能や吹抜けが立体的に詰め込まれていて、周辺環境を上手く活かした豊かで合理的な建物となっています。

設計：宮崎浩/プランツアソシエイツ
所在地：東京都千代田区九段南2-2-11
アクセス：九段下駅より徒歩約4分
竣工：2009年
公式HP：https://www.in.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

9.グロービジョン九段スタジオ(アトリエ・ジーアンドビー+大林組)

グロービジョン九段スタジオは、靖国神社の参道の途中に建つ地上4階建ての音響スタジオです。
映画やアニメのアフレコを行う性質上、厚いコンクリートの箱にならざるを得ないスタジオ建築ですが、この建物ではスタジオの諸機能を立体的に積み重ねて必要な条件を満たしながら、靖国神社の豊かな緑を建築内に取り込んでいます。

設計：アトリエ・ジーアンドビー+大林組
所在地：東京都千代田区九段2-3-2
アクセス：九段下駅より徒歩約5分
竣工：2015年
備考：第49回SDA賞
2017年度グッドデザイン賞

10.九段ハウス(木子七郎+今井兼次+内藤多仲)

九段ハウスは元々は新潟出身の資産家である山口萬吉氏の邸宅として建てられ、現在は九段ハウスとして会員制クラブ・レストランとして使われる建築です。
この建物が建てられたのは関東大震災の記憶がまだ色濃く残る1927年で、当時住宅としてはかなり珍しい鉄筋コンクリート造で建てられました。
建物の設計は木子七郎・今井兼次・内藤多仲という豪華なメンバーで、当時アメリカを中心として大流行していたスペイン風のデザインが特徴です。
スパニッシュ住宅といえばこのブログでも大森の建築巡りの記事で高橋診療所(1931年竣工)を紹介しましたが、この時期に各地に建てられた日本のスパニッシュ風住宅はこの旧山口萬吉邸を大いに参考にしたのではないかと思われます。

設計：木子七郎+今井兼次+内藤多仲
所在地：東京都千代田区九段北-15-9
アクセス：九段下駅より徒歩約5分
竣工：1927年(2018年改修)
備考：登録有形文化財
公式HP：https://kudan.house/

建物内部に入るのは少し敷居が高いですが、近年ではアート展や2021年に行われたパビリオン・トウキョウなどイベントで公開されることも多くなってきていて、機会があれば是非訪れたい九段の名建築です。
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11.日本基督教団九段教会(田淵諭)

靖国通りから北に程なく歩いた坂道の中腹に建つ日本基督教団九段教会は鋭角に尖ったコンクリートの外観が特徴の教会です。
船の帆をイメージしたともいわれる巨大なコンクリートの塊の間には、訪れた人を誘うような丘状のエントランスが設けられていて、宗教的なイメージを多分に感じさせてくれます。
宗教施設に相応しいランドマーク性を備えた建築は、竣工から四半世紀以上経った現在でも変わらずそのメッセージを伝えています。

設計：田淵諭/大岡山建築設計研究所
所在地：東京都千代田区九段北1-15-1
アクセス：九段下駅より徒歩約4分
竣工：1994年
公式HP：https://kudankyokai.com/

12.ホテルグランドパレス(竹中工務店)

最後に訪れたホテルグランドパレスは、九段下の交差点から目黒通りを北上したところに建つ地上25階地下5階のホテルです。
建築から今年で半世紀にもなるホテルは、プロ野球のドラフト会議や記者会見の場としても度々利用されていて、実は見たことがあったという人も多い建築です。
エレベータやバックスペースを中央に固めて4面の眺望を確保した客室配置、高低差を巧みに利用した断面構成、一流ホテルらしい品格溢れる細部のデザインなど、その後の高層ホテルの手本となる見どころ溢れるホテルでしたが、コロナウィルスの影響で2021年に閉館となってしまいました。
今後の建替え、改修を含む方針は未定のようですが、どうかうまく活用されてほしいと願わずにはいられない名建築です。