隈研吾が外装を手掛けた中目黒のスタバを徹底レポート【東京中目黒】

東京建築案内

今回紹介する建築は「スターバックス リザーブ ロースタリー東京」です。
2019年に東京中目黒にオープンして大きな話題になったのでご存知の方も多いと思います。

「世界で5店舗しかない」「隈研吾氏の設計」「目黒川沿い」と期待値が上がる要素しかない建築でしたが、今回初めて訪れてきましたのでその模様を徹底レポートしていきたいと思います。

1.スターバックス リザーブ ロースタリー東京とは?

スターバックス リザーブ ロースタリーは2014年にシアトルで1号店がオープンしてから、この東京中目黒店が5店舗目となるスターバックスの次世代店舗です。
世界に5店舗しかないロースタリーですが、建築の設計を一から行ったのはこのロースタリー東京が世界初。さらに外観の設計はこのサイトでも度々紹介している建築家・隈研吾が行っています。

ちなみに「リザーブ」はスターバックスの豆の格付でプレミアムクラス、ロースタリーは焙煎所という意味で、店舗内で豆の焙煎を行いながらプレミアムな珈琲、空間を提供するスターバックスのこだわりと精神が凝縮された建物になっています。

2.アクセスと施設情報

まずはじめにアクセスと建物構成について簡単にまとめたいと思います。

□アクセス
アクセスは東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅または東急田園都市線の池尻大橋駅から徒歩約15分です。
中目黒からアクセスする場合はメイン通りの山手通りをまっすぐ行ってドンキホーテが見えてきたら右折してすぐのところにあります。山手通り側の外観はちょっと分りずらいのですが、下の写真のような外観となっています。

目黒川沿いにあるので、せっかく中目黒からアクセスするのであれば、目黒川沿いに歩いて行くのがおススメです。
目黒川に沿ってまっすぐ歩いて行くだけでよいので絶対に迷いません。

□建物構成
建物構成は以下のようになっていて階ごとに珈琲、お茶、お酒と明確に分れていて、階が変わるごとにテーマパークのように違った世界が現れます。
また、1・2階ではガラスのカーテンウォールから、3・4階ではテラスから目黒川を眺めることができます。

1階:Starbucks Reserve(スターバックス リザーブ)
メインバーや4階まで続く巨大な焙煎設備、イタリアンベーカリーPrinci(プリンチ)があります
2階:TEAVANA(ティバーナ)
様々な茶葉を取りそろえたティー専門のフロアです
3階:ARRIVIAMO BAR(アリビアーモバー)
カクテルを中心にアルコールの入ったお酒(アルコールフリーのカクテルもあります)が楽しめるバーフロアです
4階:AMUインスピレーションラウンジ
AMU(編む)を地域交流イベント等が行えるイベントラウンジやパッキングの様子が見学できます

□営業時間
7:00~23:00
※定休日は不定なので要確認。また年末年始なども通常の営業と異なるので注意
公式HP:https://www.starbucks.co.jp/roastery/


↑隈研吾氏について詳しく知りたい人はこちらの本がおススメです。

3.早速潜入!まずは外観を見る

早速このスターバックスロースタリー東京を体験していきたいと思います。
僕は中目黒側から歩いて行ったのですが、「2.アクセスと施設情報」の写真でもおわかりの通り山手通りの外観はいたってシンプル。ここでいいのかな?と若干の不安を覚えます。

ところが建物のサイドに周り込むと段々と異色の建築が姿を現してきます。
まず目に入るのは上階で宙に浮く植物のポットです。 そして正面に周ると、木とガラスが折り重なった建築が姿を現します。

目黒川沿いは上のような外観。この建築は角地に建っているので、目黒川側と向かって右側の前面道路に対して大きく開いた外観となっていいて、ガラスと木の庇を使った外装はまさに近年の隈研吾氏の特徴といえます。
ドンキホーテ側は駐車場となっているので、隣地側には徹底的に閉じて正形にすることで合理的にバックヤードをとり、目黒川沿いに徹底的に開くという構成となっています。

目黒川からアクセスすると、上の写真のような外装が見えます。よく見ると2階の庇がまっすぐでなく微妙にカーブしているのが分りますが、ここは注目ポイント。
これは明らかに目黒川を意識したもので、地上に一番近い2階の庇を湾曲させることで目黒川と呼応するようにデザインされています。

見上げると微妙なラインの変化がよく分ります。
以前の記事「高尾山口駅がスゴい!高尾山に上る際は要チェックの建築だった」で同じく隈研吾氏の設計で木の大庇が特徴的な高尾山口駅を取り上げましたが、ここでも同じような設計思想が読み取れます。

高尾山口駅は高尾山への玄関口となる駅舎です。
上の写真のような改札を出たところにある大庇がちょうど山と人との中間にあるようなスケールでつくられていて、山と呼応しながらこれから向かう高尾山への高揚感を演出する様な庇になっていましたが、こちらのロースタリー東京では水平に流れるような庇にすることで川と呼応するような仕掛けになっているのが面白いですね。

4.内部もすごい!こだわり抜かれた上質な空間

では続いて中に潜入していきたいと思いますが、まずエントランスの取っ手がよく見るとコーヒー豆のデザイン!これは訪れた時は全然気づかず後になって写真を見返していて築きました。

内観はスターバックスのデザイナーチームが中心となってデザインしたそうですが、まずはカッパーキャスクと呼ばれる豆を貯蔵するタンクが吹き抜けを貫いて4階までそびえ立ちます。
この銅板の周りにちりばめられているのは桜のオブジェ。建物の中心を貫く豆の貯蔵庫は、まさに大きな1つの樹であり、この樹を中心にこの建物がつくられていることにつくり手の珈琲と目黒川に面するこの土地に建物を建てることへの愛情と姿勢を感じます。

この建築の面白いところは階ごとに1階は珈琲、2階はお茶、3階はお酒と明確にゾーンが分れていることです。まるでテーマパークのように階を巡るだけで楽しくなります。

そして注目したいのは、階段のアートワーク。こちらの1階から2階に上がる階段は、、よくみるとティーポット!このようにアートワークでも階ごとの違いを楽しむことができるのでこちらも必見です。

ちなみに消火設備などの建築に必要な設備もこちらのアートワークの壁面に見ることができます。パッケージに隠れた消火器にちょっと笑ってしまいました。

建物内部は多くの木が使われていますが、外観と同様に真っ平らでなく変化のある木の使い方が特徴的です。

また、各階にはコーヒーを焙煎したりする様々な設備を間近で見ることができます。つくり手も、それを受け取る僕たちも自分たちが飲むコーヒーがどうやってできるのかを見せる・感じることができて、まさに大人の社会科見学といった感じですね。

内部でもう一点特徴的なのは、路地状に回遊できる店内からは、基本的に外部まで視線がしっかり通るようにデザインされていることです。
これによって内部に閉じるのではなく、街に開くことによる解放感や、街との関係性が生まれるような配慮なのですが、これは隈研吾氏の浅草文化観光センターともよく似ています。
隈研吾氏は外観のデザインのみとのことでしたが、ひょっとしたら内部にも関わっているのか、そうでないならつくり手側も隈研吾氏の建築をよく研究してリスペクトしながらデザインしているのだと思います。

下の写真は隈研吾氏設計の浅草文化観光センターです。

詳しくはこちらの「隈研吾が設計した浅草文化観光センターに初潜入してきた」で解説していますが、ガラスと木の天井によって街に開くことや、階段のアートワークの仕掛けなど多くの共通点があります。

上階はテラスとなっており、晴れていればこちらでドリンクを味わうのがおススメです。
杉を使った木の庇が空の方向に傾いていて、とても気持ちのいいテラスでした。
隈研吾氏の建築では、上で紹介した高尾山口駅や浅草文化観光センターをはじめ、新国立競技場や2020年開業の高輪ゲートウェイなど庇をどうデザインするかが最近のテーマになっています。
隈建築の中でも比較的身近なスケールでこの庇を体験できることもロースタリー東京の注目ポイントですね。

5.合わせて見たい中目黒おススメ建築3選

最後にロースタリー東京を訪れた際に、合わせて見ておきたい名建築を紹介します。
本当は見ておきたい建築はもっとあるのですが、ここでは3つに絞りました。
さらに詳しくはこちらの記事まとめましたので興味があれば是非一緒に見てみて下さい。
関連記事
・中目黒駅周辺の建築見学におススメな建築10選【東京中目黒】

■目黒区庁舎

日生劇場や有楽町の旧読売会館の設計でも知られ、日本の戦後を代表する村野藤吾の傑作の一つともいわれる建築です。
元々は千代田生命保険の本社ビルでしたが、千代田生命の経営破たん後、目黒市庁舎として改修されて今に至ります
アールがかかった外装のフレームや外構、水に反射する外観、細かい意匠が施された天井や階段など見どころが満載、建築に興味があれば一度は見ておきたい建築です。

設計:村野藤吾(改修:安井建築設計事務所)
所在地:東京都目黒区上目黒2-19-15
竣工:1966年(改修:2003年)

■中目黒高架下

中目黒駅を起点として東急線の高架下約700mを再開発したプロジェクトです。
SHARE(シェア)をコンセプトに東急線の一つ屋根の下、空間や時間をシェアする新しい街と商業の関係が試みられてます。
代官山の蔦屋書店と同じくここ中目黒の蔦屋書店もクライン ダイサム・アーキテクツが手掛けていることにも注目です。

蔦屋書店デザイン:クライン・ダイサム・アーキテクツ
建築設計:東急設計コンサルタント
商環境デザイン:丹青社
所在地:東京都目黒区上目黒1丁目、2丁目、3丁目
竣工:2016年

■中目黒Tビル

最後の最後にご紹介するのは伊東豊雄氏の設計の中目黒Tビルです。
当時としては珍しかったガラススクリーンと吹き抜けを前面に使った建築は、その後の日本建築に多用され多くな建築の流れになる「透明性」やこのブログでも何度か触れている「明確な階数を分らなくする建築」に繋がる最初期の建築でもあります。
ロースタリー東京から歩いて5分程の距離にあるちょっとマニアックな建築ですが、伊東氏の初期~中期の重要な作品です。

設計:伊東豊雄
所在地:東京都目黒区東山1-17-16
竣工:1990年


↑隈研吾氏について詳しく知りたい人はこちらの本がおススメです。

外観設計:隈研吾
所在地:東京都目黒区青葉台2-19-23
最寄駅:東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅徒歩15分
東急田園都市線の池尻大橋駅徒歩15分
竣工:2019年


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