こんにちは。建築好きのやま菜です。
今日は中目黒駅周辺の建築巡りをしてきましたので、私が建築巡りで出会った建築について紹介したいと思います。
中目黒は昔から代官山と並んで文化の発信地として人気のスポットではありますが、駅からスグの地域に貴重な建築が密集している建築パワースポットでもあります。
建築巡りをしていると、1本裏の通りを歩いていれば面白い建築に出会えたのにといったことや、知らないとつい見過ごしてしまう名建築があった、という経験も少なくありません。
そんな有名建築家の作品や注目の建築が溢れる中目黒から、今回は18作品をピックアップしていますので建築巡りや建築鑑賞のガイドにしてもらえればと思います。
【こんな人におすすめ!】
・中目黒駅周辺にある名建築について知りたい
・中目黒駅周辺で建築巡りをする際のガイドにしたい
・建築に興味があって、いろいろな建築について知りたい
1.目黒区庁舎

目黒区庁舎は、日生劇場や有楽町の旧読売会館を手掛けた日本の戦後を代表する建築家・村野藤吾の代表作ともいえる建築です。
元々は千代田生命保険の本社ビルでしたが、千代田生命の経営破たん後、目黒市庁舎として改修されて今に至ります。
アールがかかった外装のフレームや水面に建物を美しく反射する池、細かい意匠が施された天井や階段など見どころが満載です。
建築に興味があれば一度は見ておきたい名建築です。


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・目黒区総合庁舎がスゴイ!村野藤吾の傑作建築を徹底レポート【東京中目黒】
設計:村野藤吾(改修:安井建築設計事務所)
所在地:東京都目黒区上目黒2-19-15
アクセス:中目黒駅より徒歩約5分
竣工:1966年(改修:2003年)
備考:第10回BCS賞
2.中目黒クロスオーバー

中目黒クロスオーバーは、駒沢通り沿いに建つ地上6階地下3階建ての集合住宅です。
中目黒という都心の真ん中の駅近くに建ちながら、地形の多い周辺敷地の特性をなぞり地形や大地のように立ち上がる設えがとても印象的です。
また、格子状にクロスする外装デザインからは、障子のような優しさや繊細さといった日本建築の美意識を感じるのも注目ポイントです。


デザイン監修:SUPPOSE DESIGN OFFICE
設計:東京電力パワーグリッド+東電設計
所在地:東京都目黒区上目黒2
アクセス:中目黒駅より徒歩約4分
竣工:2019年
3.SANU NOWHERE

SANU NOWHEREは、元々ブルーボトルコーヒーがあった跡地を改修してつくられたタコスレストラン、カフェ、イベントスペース等の複合施設です。
元々の建物躯体の味を活かしたブルーボトルの内装を継承しつつ、巨大な石や植物をインテリアに取り入れたデザインが特徴の店舗です。
無機物と有機物のそれぞれがお互いを引き立たせているのがとても素敵でした。


改修設計:武田清明建築設計事務所
所在地:東京都目黒区中目黒3-23-16
アクセス:中目黒駅より徒歩約10分
竣工:2024年(改修)
4.中目黒アトラスタワー

中目黒アトラスタワーは、中目黒の駅前に建つ地上45階地下2階建ての集合住宅、店舗、事務所、保育所等の複合施設です。
円形に近い多角形の平面をもつ高さ約160mのタワーは、1本の樹木をモチーフにデザインされていて、最上層部はスカイラインに溶け込む淡い色彩となっているのが大きな特徴です。
低層部は中目黒の地に根を張る大地のようなデザインとなっているのもユニークで、土地に根付きながら中目黒の風景の一部になろうという意図が伝わってくるようです。


設計:日本設計
所在地:東京都目黒区上目黒1-26-1
アクセス:中目黒駅より徒歩約1分
竣工:2009年
5.富士銀行中目黒センター

富士銀行中目黒センターは、今から50年近く前に建てられた全国でも初期の全国銀行オンラインシステムのコンピュータセンターで、その為閉じた壁面が極端に多いのが特徴のビルです。
赤茶色のタイルとガラスによって、変形した敷地に無駄なく建ちながら外部の自然環境や光をふんだんに取り入れる開口部の配置が巧みな建築です。
半世紀近く建つ建物とは思えないくらい上質な佇まいをしているのに驚きです。

※2022年追記:残念ながら解体されてしまいました。
設計:松田平田設計
所在地:東京都目黒区
アクセス:中目黒駅より徒歩約3分
竣工:1974年
備考:第17回BCS賞
※現存せず
尚、跡地には2025年には地上11階地下1階建てのみずほ中目黒スクエアが竣工しました。

外観はスマートさと透明さをもつシンプルなデザインの建物となっていますが、連なる庇や分節された障子のようなカーテンウォールからは日本的な美意識を感じるのが面白いところ。
歴史ある銀行の建物らしい建築は、中目黒クロスオーバーと合わせて中目黒駅前の新たなランドマークになることが期待されています。
設計:大成建設
所在地:東京都目黒区上目黒2-9
アクセス:中目黒駅より徒歩約3分
竣工:2025年
6.日本生命中目黒ビル

日本生命中目黒ビルは、目黒駅のすぐ近くに建つ地上8階のオフィスビルです。
前面の正方形に綺麗に処理されたガラスの外装が印象的な建物は、周囲の建物とは一線を画した美しさを纏っています。
幾何学の図形の組み合わせた端正なデザインの建物は、スタイリッシュなデザインではありますが、凛とした日本的な美しさを感じるのも面白いです。

※2022年追記:残念ながら解体されてしまいました。
所在地:東京都目黒区上目黒2-9-3
アクセス:中目黒駅より徒歩約2分
竣工:1985年
備考:現存せず
7.スタンレー電気本社ビル

スタンレー電気本社ビルは、中目黒駅から山手通り沿いに程なく歩いたところに建つ地上7階地下1階建てのオフィスビルです。
法的要件の解決策として階段状にセットバックした各フロアを傾斜した大屋根で覆っているのが大きな特徴で、目黒川と山の手踊りの水平ラインと呼応するスタイリッシュなオフィスビルとなっています。
ひとつ屋根の下に各フロアが横断することで部署間のコミュニケーションを促しつつ環境性能にも寄与しているのもユニークな建物です。


設計:プランテック総合計画事務所
所在地:東京都目黒区中目黒2-9-13
アクセス:中目黒駅より徒歩約10分
竣工:2009年
備考:第47回SDA賞優秀賞
8.平安51

続いて再び中目黒駅の南側に移動して山手通りを10分ほど歩いたところにあるのが建築家 高松伸氏がデザインしたオフィスビル 平安51ビルです。
高松伸氏と言えば日本のポストモダン建築を牽引した建築家の一人ですが、こちらもビルでもメタリックで機械的な高松建築の特徴を随所に見ることが出来ます。
現在の東京で見ることのできる高松建築は数少ないですが、バブルとポストモダンの記憶をパッケージしたような建築は、40年たっても変わらず当時の雰囲気を感じさせてくれる記念碑のようでもあります。

設計:高松伸/高松伸建築設計事務所
所在地:東京都目黒区中目黒3-5-8
アクセス:中目黒駅より徒歩約10分
竣工:1989年
9.カーサ中目黒

最後に紹介するカーサ中目黒は、中目黒駅からしばらく歩いた坂の中腹に建つ集合住宅です。
まるで海外のリゾートホテルもしくは修道院のようにも見える外観はどこか只者ではない雰囲気を醸し出しています。
この一風変わった建物を設計したのは建築好きの間では知らない人はいないほど有名で、日本のガウディとも呼ばれる梵寿綱氏です。梵寿綱氏は規格化や工業化が進む現代社会に真っ向から反対して、作り手の個性や情念のこもった作品を数多く生み出している建築家です。
カーサ中目黒はそんな梵寿綱氏の最初期の作品で、中央の日時計から翼のように広がる住居はその後の梵寿綱氏の活躍を予感させるような個性と広がりを感じさせます。


尚、梵寿綱氏の都内の建築についてはこちらの記事にもまとめていますので、興味のある方は是非併せてご覧ください。
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・異端の建築家 梵寿綱がデザインした東京都内のおススメ作品10選【東京】
設計:梵寿綱
所在地:東京都目黒区中目黒5-7-23
アクセス:中目黒駅より徒歩約17分
竣工:1974年