今日は東京都中央区の月島周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築について紹介したいと思います。
月島と言えばもんじゃのイメージが強いという方も多いかもしれませんが、実は建築もかなり興味深い作品が沢山あります。
昔ながらの風景と新たな臨海部としての姿がまじり合う月島建築の世界に、一緒にトリップしていきましょう!
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・月島エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・月島エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・月島エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.ファミール月島グランスイートタワー(マイケル・グレイブス)
まず初めに訪れたファミール月島グランスイートタワーは、月島駅を出て北にすぐの場所に建つ地上29階地下1階、総戸数242戸のタワーマンションです。
外観デザインは世界的にも評価の高い建築家マイケル・グレイブス氏を起用していて、グレイブスらしい色彩鮮やかなデザインが都心のマンションでありながらリゾート地のような優雅さと非日常感をもたらしています。
上部と四周をに施されたブルーのバルコニーは海に呼応しながら臨海部である月島に新たな景観を生み出していて、単調になりがちな他のマンションと一線を画すデザインになっています。
外観デザイン:マイケル・グレイブス
内観デザイン:メディアファイブ
建築設計:前田建設工業
所在地: 東京都中央区佃2-19-1
アクセス:月島駅より徒歩約2分
竣工:2002年
2.カーサ相生(梵寿綱)
清澄通りさらに進んだ所にあるカーサ相生はその独特のデザインから一部で熱狂的なファンを持つ梵寿綱氏がデザインした集合住宅です。
梵寿綱氏のキャリアの中でも最初期に建てられた物件ということもあり、他の梵寿綱作品と比べるとだいぶ落ち着いて見えますが、近づいてみれば見るほどその独特のデザインや色遣いに個性が光ります。
特に独特の模様や孔雀をあしらった褐色の外壁と、工芸品のようにカーブするバルコニーの手すりは一見の価値ありです。
足元には瓦屋根の門や小庇がついていて、まるで南国のリゾートを思わせるデザインとなっているのが何とも面白い建築です。
伊東忠太氏の東京都内のおススメ建築についてはこちらの記事にまとめていますので、伊東氏の建築を訪れる際は是非参考にしてみて下さい。
関連記事
・異端の建築家 梵寿綱がデザインした東京都内のおススメ作品10選
設計:梵寿綱
所在地:東京都中央区佃2-22
アクセス:月島駅より徒歩約5分
竣工:1973年
3.風の卵(伊東豊雄)
風の卵はIHI東京工場跡地に建てられた大川端リバーシティ21のゲート兼オブジェです。
この宇宙船にも思えるような不思議な物体は建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞も受賞した建築家伊東豊雄氏が約30年前にデザインしたもの。
竣工当初は内部に仕込まれたプロジェクターによって金属メッシュの表面に映像が投影されるようにデザインされていたそうで、まさに風に揺らめくようにその表面に様々なイメージが投影されていました。
今年で竣工から30年を迎える卵は、竣工時の儚く軽やかなイメージから、その圧倒的な物体感と建築の永続性を主張するオブジェとして新たな存在感を獲得しています。
伊東豊雄氏の東京都内のおススメ建築についてもこちらの記事にまとめていますので、伊東氏の建築を訪れる際は是非参考にしてみて下さい。
関連記事
・建築家 伊東豊雄がデザインした東京都内のおススメ作品12選
設計:伊東豊雄/伊東豊雄建築設計事務所
所在地:東京都中央区佃2-2
アクセス:月島駅より徒歩約7分
竣工:1991年
4.リバーシティ21センチュリーパークタワー(日本設計+三井建設)
風の卵のさらに先に建つリバーシティ21センチュリーパークタワーは地上54階建地下4階、総戸数は756戸の超高層マンションです。
まるでリゾート地のホテルのように細部にわたって上品且つ優雅につくりこまれたデザインは見応え抜群です。
臨海部のタワーマンションの先駆例ともいえる開発は地元住民の反対運動を内包しながらも、良い意味でも悪い意味でも月島の風景を一変させ、全く違った文脈の街をつくり出しました。
また、先ほど巡ったカーサ相生やグランスイートタワーにもそうですが、どの建築も都市に住まいつつリゾートのような暮らしというテーマが共通しているのもとても興味深いです。
設計:日本設計+三井建設
所在地:東京都中央区佃2-1-1
アクセス:月島駅より徒歩約10分
竣工:1999年
備考:2000年グッドデザイン賞受賞
5.月島警察西仲通交番(東京市)
月島警察西仲通地域安全センターは月島のもんじゃストリートの中腹にある築95年の交番です。
関東大震災から間もなくに建てられた鉄筋コンクリートの交番は現存する東京都内の最古の交番ともいわれ、100年近い間地域の安全を守ってきました。
さまにヒューマンスケールと言える小さな交番は、堅牢ながら角部のアールがかった丸みや小さく分節されたパーツによって人懐っこさを感じさせます。
よくよくデザインをみるとさりげなく三層構成となっている立面や、細かい意匠などよくデザインされていることが伝わってくる建築です。
設計:東京市
所在地:東京都中央区月島3-4-3
アクセス:月島駅より徒歩約5分
竣工:1926年
6.コルテ(伊藤博之建築設計事務所)
西仲通交番のすぐ先に建つコルテは地上8階建ての賃貸マンションです。
間口の狭い昔ながらの建物がひしめき合うもんじゃストリートにおいて、建物内部を縦横に貫く吹き向けを設けることで豊かでオリジナリティ溢れる住まいを実現していることに注目の建築です。
正形に整った外観とは対照的に内部は大きくアール状にカーブする壁が住戸の内部に動きを創り出していて、暮らしの中に時間や季節に応じて違った表情を与えてくれるユニークな都市型マンションとなっています。
設計:伊藤博之建築設計事務所
所在地:東京都中央区月島3-4-7
アクセス:月島駅より徒歩約6分
竣工:2019年
7.AQUA(TKビルド+NRC一級建築士事務所)
コルテのすぐ先に建つAQUAはパチンコ・スロット店です。
コルテを見学した後に、まるで以前の記事で取り上げた渋谷のSANKYO新東京本社ビルのような外観が気になって詳しく見たのですが、まさかパチンコ・スロット店。SANKYOといえば国内最大手のパチンコメーカーですが、特にこのビルとは関係がなさそうですが不思議な偶然に思わずニヤリとしてしまいます 笑
よく見てみると単なる上部の装飾に留まらず1階部分まできちんと配置されているクロス格子や、まるでスパのような重厚なエントランスなどデザイン的によく練られていることに驚きます。
中に入る勇気はなかったのですが、後で調べてみると店内のインテリアもまるで海外のカジノのような上質なデザインとなっているようで、パチンコ店と言って侮れない良建築でした。
関連記事
・SANKYO新東京本社ビルは宙に浮く建築!?山手線から見える不思議な建築を解説!【東京渋谷】
設計:TKビルド+NRC一級建築士事務所
所在地:東京都中央区月島3-5-5
アクセス:月島駅より徒歩約6分
竣工:2018年
備考:The Architecture Master Prize 2018受賞
8.住吉神社
最後に訪れた住吉神社は江戸時代初期に人工的に築島された佃島に創建された神社です。
水運の都として栄えた江戸の街の入口の神社として広く信仰を集めた神社の境内には見応え抜群の建築がいくつも残されています。
社殿・拝殿も立派なのですが、中でも隠れた注目建築として見逃せないのが拝殿の横にひっそりと建つ旧神輿庫です。
1911年の大改修時に建てられたイギリス積みの煉瓦造りの蔵は、震災や戦火を逃れて今尚当時の姿を保つ貴重な歴史遺産でもあります。
尚、敷地内の水盤舎は旧神輿庫よりさらに41年前の1869年に建てられたもので、その欄間には当時の佃島を描いた浮彫が巡っていて、こちらも合わせて注目したい建築です。
所在地:東京都中央区佃1-1-14
アクセス:月島駅より徒歩約8分
竣工:1869年(水盤舎)、1910年(旧神輿庫)、1923年(神楽殿)
備考:中央区指定有形文化財(水盤舎)
【読むだけで建築について詳しくなれるイチオシの漫画】
実際に一級建築士の資格を持つ人気R18漫画家が描く、唯一無二の建築漫画が話題になっています。
話ごとに建築のデザインはもちろん、法規や構造、施工や不動産に渡って幅広く扱っていて、建築好きなら毎回ワクワクしながら読めて、建築の知識も吸収できる超おススメ漫画です
>Amazonで詳細が読めます
また、当ブログでも漫画のレポートと、漫画と舞台となった亀戸の建築巡りについて紹介していますので、是非併せてご覧ください。
関連記事
・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート
2024年4月18日には「一級建築士矩子の設計思考」第3巻が発売になりました。
いかがでしたでしょうか。
実際に巡ってみるとバリエーション豊かな建築が一挙に見れる月島は建築巡りにピッタリです。今回ご紹介しきれませんでしたが、古くからの街並みや長屋住居も多く残る月島は建築巡りにピッタリですので、皆さんも機会があれば是非一度訪れてみて下さいね。
建築学ランキング
にほんブログ村
↑建築系のブログランキング。よければクリックして応援してもらえると嬉しいです。
建築やデザイン好きな人は、他にも面白いブログや参考になるブログがいっぱいあるので是非見てみてください^^
■他にもこんな記事がおススメです
・2023年オープンの都内の注目建築を総まとめ!話題の新スポットを徹底レポート
・広島平和記念資料館がスゴい!丹下健三氏による建築の魅力をレポート
・日本を代表する建築家のオススメ作品集10選【建築本】