今日は大阪府の中之島にあるこども本の森 中之島を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・こども本の森 中之島を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・こども本の森 中之島の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・こども本の森 中之島の建築的な見どころや注目ポイント
1.建築家の安藤忠雄氏が手掛けた子供の為の文化施設がスゴい
今回はいつもの東京から少し離れて、大阪の中之島エリアに建つ文化施設 こども本の森 中之島エリアを建築巡り。
そんな中之島エリアでずっと訪れてみたいと思っていたのが、こちらのこども本の森 中之島です。
子供のための図書館といえば、つい先日東京上野の国際子ども図書館をレポートしました。
詳細記事
・国際子ども図書館がスゴい!新旧が融合した素敵図書館をレポート【東京上野】
国際子ども図書館では、1906年の旧帝国図書館を建築家の安藤忠雄氏が子ども図書館として生まれ変わらせていましたが、こここども本の森は、その安藤氏が構想・設計して、大阪市に寄附し、2020年にオープンした建物なのです。
安藤忠雄氏といえば東京では、さきほど触れた国際子ども図書館や、表参道ヒルズ、地下鉄渋谷駅などの作品が思い浮かびますが、生まれも育ちも活動の拠点も大阪の建築家。
生まれ育った大阪への思い入れも大きく、建築家としてまだ実績の少なかった頃はこの建物の建つ中之島エリアで架空のプロジェクトを逆提案したりしていたそうです。
この建物が建つ中之島エリアは、堂島川と土佐堀川という2つの川に挟さまれたエリアで、昔から大阪の経済や行政の中核を担ってきた場所。
大阪城下の水運の拠点として大いに栄え、明治以降も日本銀行大阪支店が置かれたり、大阪市役所が建てられたりと大阪の中核地としての歴史があります。
また、大阪府立中之島図書館や大阪市中央公会堂といった文化の拠点としての役割を担い、近年では美術館や博物館が建ち並ぶ文化芸術の拠点になりつつあります。
そんな中之島の一角に2020年に開館したこども本の森 中之島は、いま大阪で最も注目される施設のひとつといっても過言ではありません。
2.安藤ワールド全開の外観&オブジェに注目
こども本の森 中之島へのアクセスは、地下鉄中之島線のなにわ橋駅を出たすぐ目の前なので、地下鉄を使えば駅からは数十秒。
尚、このなにわ橋駅も安藤忠雄氏が設計を手掛けているので、訪れる際には是非気にしてみてみてはいかがでしょうか。
特によかったのは、中之島中央公会堂近くの4番出口。
この出口からも徒歩1分くらいでアクセスでくるので、行きか帰りは是非こちらの出入口に立ち寄ってみることをオススメします。
駅の地上出口をでると大きな孤を描くようなコンクリート打ち放しの建物の外観がみえてきます。
建物は半地下になっていて、正面の大階段を上がると、川越しの街が一望できるステージのような広場とエントランスに到着。
安藤氏のトレードマークともいえるコンクリート打ち放しの外観からは、力強さと安心できる堅実さと、中之島全体の都市スケールの地形とのリンクの両方のイメージを感じます。
安易に表面的な自然素材に頼らないのは、建築家としての安藤氏らしいスタンス。ガラスとコンクリート建物は、自然と人工物それぞれのよさをお互いに引き立てているように見えました。
広場には安藤氏自らがデザインしたという「永遠の青春」と名付けられた巨大な青りんごが鎮座しています。
このオブジェは、アメリカの実業家・詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフにデザインされたもので、子供に限らず人はいつでも永遠の青春とチャレンジができるのだという可能性と力強さを感じます。
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3.小さいけれどワクワクするような内部を堪能
コンクリートのスマートな外観から中に入ると、印象がガラリと一変します。
壁は一面の本棚、木質の優しい色あいの美しい内部空間に圧倒されます。
尚、このこども本の森 中之島は、事前予約は必要ですが、入館料は無料。
私が訪れたのは平日だったのですが、前日の予約でも余裕をもって入れました。
入口で予約番号を伝え、簡単な説明を受けて早速中へ。
施設の内部は延床面積も1000㎡に満たない小さな建物ですが、まさに本の森という名前にふさわしい空間は、本好きとしてはワクワクが止まりませんでした。
ちなみに名誉館長には京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏が就任されているそうで、山中氏の特集本棚もありました。
私が訪れたのは平日の昼間でしたが、来館者の半分以上が小さな子供連れの親子でした。
その他は幅広い年代の人がいて、私を含め1人で訪れている人も多い印象でした。
本棚の隙間が一定間隔で窓になっていたり、外の街や川が見れる大きな開口部があったりして、内部は思った以上に自然光が溢れています。
訪れる季節や時間、天候によっても空間の表情が変わりそうな素敵な空間でした。
建物は子供の目線で注意深くデザインされていて、階段や家具の下など子供だったら絶対入りたいようなスポットがところどころに設けられています。
ここでは、それぞれの人が思い思いの自分の居場所を見つけて、本を読んだり、物思いに耽っていたのももても印象的でした。
3つのフロアは、建物の真ん中にある大階段で行き来ができるのですが、この大階段も移動のための階段であり、読書スペースであり、時にはステージになったりもします。
また施設内は、まるで本の森か迷宮のように散策できるようになっていて、館内をぶらぶらと回遊しながら、本との出会いを楽しめます。
散策しながら目についた本を開いて読むという図書館ならではの本との出会いが堪能できます。
この図書館では、どこでも本と出会い、その世界に入り込むことができますが、本だけでなく、外に広がる大阪の風景だったり、本以外の環境との出会いも演出されています。
例えばこちらの窓では、大人は気づかないかもしれませんが、子供の目線となるとふと外部の街が目に入る絶妙な高さに開口部がつくられています。
また、こちらのちょっと狭く感じる通路は子供にとっては、ワクワクの探検道になるかもしれません。
興味深いのは、走りまわった子供がぶつからないように、死角となる手すりのパネル部分はしっかり格子状の向こうが透けて見えるデザインになっていて、ここにも建築家の丁寧な工夫と配慮をみることができます。
施設内には様々なテーマに沿った棚によってゾーニングされていたり、「言葉の彫刻」と呼ばれる切り取られた名文が建物全体に散りばめられていて、いろいろな形で言葉や本の世界と出会えるようになっています。
また、それらのしかけはどれも強制してくるものではなく、それぞれがそれぞれの心の趣くまま、それぞれの出会いを楽しんでいいという許容性を感じました。
4.イベントルームやプロジェクションマッピングも注目
この建物は、分厚いコンクリートと本棚で覆われているので、内部には都心の喧騒を感じさせない安心感と寛ぎ感があります。
かといって完全に外部から閉じているわけではなくて、今まで見てきたような外部環境との繋がりがあったり、こちらの1階の外部広場のように外部との繋がりも重視されています。
例えばこの外部の空間は、不定期の催しもののスペースとしても使われているそう。
また、こちらのイベント・セミナールームは、私が訪れたときには入れませんでしたが、屋内イベントはこちらで行っているようでした。
各種イベントやワークショップもよく行われているようなので、次回は時間を合わせて参加してみたいと思います。
この建物でもう1つ注目のエリアが、1階の奥にある休憩室とよばれるシリンダー状の空間。
コンクリートの壁に覆われたこちらの空間は、木の本棚に囲われた今まで見てきた空間とは一味違った静寂さと荘厳さを感じます。
壁には話題の作品を次々生み出しているデジタルアート集団のライゾマティクスによるプロジェクションマッピングが投影されていて、建築が持っている物資性とデジタルアートの持つ非物質性が見事に合わさっていました。
建物全体をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足なものとなりました。
本と建築の素敵な出会いが満載の素敵な建築。皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
ちなみに大阪大阪&梅田駅周辺の建築巡りについても書いていますので、興味のある方は是非併せてご覧ください。
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■こども本の森 中之島
設計:安藤忠雄/安藤忠雄建築研究所
所在地:大阪市北区中之島1-1-28
アクセス:なんば駅から徒歩約1分
竣工:2019年(2020年オープン)
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜、蔵書整理期間、年末年始
公式HP:https://kodomohonnomori.osaka/
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