今回は私が訪れた埼玉県さいたま市にあるおススメの建築をピックアップしてまとめました。
さいたま市は都内からでも30分程度の距離ですので、都内を移動するより気軽にいけますが、素敵な名建築が沢山ある建築パワースポットでもあります。
では早速見ていきましょう。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・さいたま市での建築巡りを写真と文字でレポート
・さいたま市の著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・さいたま市のおススメ建築の見どころや注目ポイントを解説
ちなみに大宮駅やさいたま新都心駅周辺の建築についてのレポートも書いていますので、興味のある方は是非併せてご覧ください。
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1.埼玉会館(浦和区)
まずはじめに紹介する埼玉会館は、東西の大小2つのコンサートホールが広場を挟んで配置された市民会館です。
広場はホールの高さに合わせて段々と高くなっていて、建物と相互に関連しながら利用者の散策や憩いの場となっています。
建物の半分以上はこの広場の地下に納められていて、開放的な広場と落ち着いたホワイエの対比も楽しめます。
本棚建築!?紀伊國屋ビルディングは今見るべき建築で紹介した紀伊國屋ビル等でも試された、あらかじめコンク リートの型枠にタイルを埋め込んでおく打ち込みタイル工法が採用されていて、この時期の前川建築の特長が凝縮した建築です。
設計:前川國男/前川國男建築設計事務所
所在地:埼玉県さいたま市浦和区高砂3-1-4
アクセス:浦和駅より徒歩約5分
竣工:1966年
公式HP:https://www.saf.or.jp/saitama/
2.埼玉県農林会館(浦和区)
埼玉県農林会館は、建築界の重鎮清家清(せいけきよし)による農林会館です。
表側のコンクリートのルーバー状の箱部分と裏側に見える煉瓦タイル張りの塔の部分のギャップが面白い建築は、モダニズムの建築の影響や、清家清らしい日本らしさの融合など見どころの多い建築となっています。
また、コアの入る塔と執務空間の入る箱部分が明確に分離されていて、耐用年数の違いによるフレキシビリティが考えられているのも興味深い点です。耐震補強や煉瓦の張り替えが行われつつ、まだまだ現役で使われているのもうれしいさいたまの隠れた名建築です。
設計:清家清
所在地:埼玉県さいたま市浦和区高砂3-12-9
アクセス:浦和駅より徒歩約5分
竣工:1962年
3.埼玉県立近代美術館(浦和区)
埼玉県立近代美術館は、埼玉大学が移転した跡地に建てられた美術館で、建築家の黒川紀章氏が建物の設計を手掛けました。
並木道を抜けると現れるコンクリートのグリッドが特徴的な建物なのですが、実はこの高さは前面の並木道に合わせた15mの高さとなっています。
調和というよりは異質感が際立ちますが、自然と同化するのではなく異なるものとして対比したり、お互いを際立たせて共生するようなデザインとなっているのが注目ポイントです。
エントランスの波打つガラスとグリッドに囲われたこちらのバッファーゾーンは内部と外部の中間領域となっています。このエントランス空間では、正形のグリッドがガラスの外装に反射されてグニャグニャと歪んでみえますが、これから体験するアートの世界への入口を象徴しているかのようで面白いです。
六本木の新国立美術館も黒川紀章氏の設計ですが、新国立美術館の原型が約30年前のこの建物にも見てとれるのも興味深く、新国立美術館と比較してみるのも面白いです。
設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
アクセス:北浦和駅より徒歩約7分
竣工:1982年
開館時間:10:00~17:30
休館日:月曜
入館料:無料
観覧料:MOMASコレクション一般200円、大高生100円
備考:第24回BCS賞
公式HP:https://pref.spec.ed.jp/momas/
4.浦和博物館(緑区)
浦和博物館は、1878年に建てられた埼玉県師範学校(通称 鳳翔閣)の中央部外観を復元してつくられた博物館です。
元々の建物は両翼を広げたような全長約67mの横長の建物で1959年に解体されてしまいましたが、1972年に浦和の自然や歴史、文化等の資料を収集、保存、展示する施設として再建されました。
三角形のペディメントを中心に均衡のとれた迫力のデザインや、柱頭部にみられるアカンサスの葉の精巧な彫刻など、見どころは満載。
素材や工法は異なる部分もありますが、明治初期に建てられた洋館の姿を現在に伝える貴重な建築遺構でもあります。
所在地:埼玉県さいたま市緑区三室2458
アクセス:北浦和駅よりバスで約25分
竣工:1972年
備考:さいたま市景観重要建造物
5.ヒアシンスハウス(南区)
ヒアシンスハウスは、大正時代の1914年に生まれ、結核により24歳でその生涯を閉じた詩人 立原道造が残したスケッチをもとに建てられた週末住宅です。
現在は詩人として知られる立原道造は、東京大学建築学科で丹下健三、大江宏らの1つ上の学年で学び、将来を嘱望される建築家の卵でもありました。
地元の建築家や市民団体の有志による活動により、さいたま市営別所沼公園の畔に当時のスケッチや設計図を元にした建築が建てられたのは2004年のことで、週の半分ほどの開館日にはその内部を見学することができます。
池の畔に建てられた小さな小屋は、光が優しく室内を照らし、コンパクトながらそこでの穏やかな生活が目に浮かぶようです。立原がこだわった窓のデザインも素敵で、風景に寄り添うような詩的で美しい空間を堪能できます。
設計:立原道造
所在地:埼玉県さいたま市南区別所5-5-9
アクセス:中浦和駅から徒歩5分
竣工:2004年
開館日:水曜、土曜、日曜、祝日
開館時間:10:00~15:00
備考:開館日と開館時間は時期やイベント、その他諸事情によって変更になる場合があるので注意
6.「団地キッチン」田島(桜区)
「団地キッチン」田島は、西浦和駅前にある田島団地に隣接して建つ元銀行支店を改修してつくられたカフェ、シェアキッチン、イベントスペース、ブルワリー等の複合施設です。
既存の銀行機能を残しつつ、大きなリビングのような、また実験工場のような施設に改修されていて、地元の人を中心に多くの利用者で賑わっていました。
クリアな間仕切りや小さな段差を組み合わせて空間を仕切りつつも、視線が抜けて、それぞれが緩やかに繋がるようにデザインされているのも素敵です。
地元産の食材を使ったランチやデザートが堪能できたり、様々なイベントが催されたりと地域の新たな拠点となることが期待される注目建築です。
設計:日本総合住生活+つばめ舎建築設計+みのべ建築設計事務所
所在地:埼玉県さいたま市桜区田島6-1-20 JS田島ビル1F
アクセス:西浦和駅より徒歩約2分
竣工:1973年(2022年改修)
営業時間:11:00~20:00
定休日:水曜、日曜
備考:2023年度グッドデザイン賞
7.さいたま新都心駅・東西自由通路(中央区)
さいたま新都心駅は、さいたま新都心構想の一環として、さいたま新都心エリアの中でも一早くつくられた駅舎と自由通路です。
デザインを手掛けたのはこちらの記事で取り上げた渋谷の宇田川交番建築でも知られ、2019年9月に亡くなった鈴木エドワード氏。
自由通路の大屋根は包み込まれながらもダイナミックで開放的で、そのふくらみはそのままホームの屋根へと連続しているのが特徴。
自由通路ではほとんど柱がない大空間の実現をシンプルに見えますが大胆な形と構造で解決しています。
詳細記事
・さいたま新都心駅を建築ガイド!鈴木エドワード氏の代表作に迫る【埼玉県さいたま市】
ちなみにさいたま新都心を訪れた際は、スーパーアリーナや合同庁舎、けやき広場も合わせてみたいですね。
設計:鈴木エドワード建築設計事務所+ジェイアール東日本建築設計事務所JV
所在地:埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4-261-1
アクセス:さいたま新都心駅より徒歩約1分
竣工:2000年
8.彩の国さいたま芸術劇場(中央区)
さいたま芸術劇場は、舞台芸術の先鋭的発信地として複数のホール群と稽古場をはじめとする充実した練習室群が整備された埼玉を代表する劇場です。
様々な材料を組み合わせた中央の広場や回廊、光と壁の巧みな演出、ランドマークとして聳え立つ塔など、バブル経済・ポストモダン期らしい豊かなで多様な表現が随所に散りばめられています。
現在ここまでの規模と予算の建築をつくることは今後はなかなかできないと思いますが、それだけに埼玉に現存する貴重な建築遺産として、こだわりのデザインと空間をたっぷりと堪能できる見どころ満載の建築です。
設計:香山壽夫アトリエ+環境造形研究所
所在地:埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
アクセス:与野本町駅より徒歩約7分
竣工:1994年
備考:第36回BCS賞
公式HP:https://www.saf.or.jp/arthall/
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