三鷹「ジブリ美術館」の建築と魅力を徹底レポート

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みなさんは三鷹の森ジブリ美術館に訪れたことはありますか?
私は今年になって初めて訪れたのですが、訪れてみて細部まで来館者のことを考え、楽しんでもらう工夫にあふれた美術館となっていていたのです。

最初は企画色の強い美術館と敬遠していたのですが、100%楽しめる美術館でした。そこで今回はそんな三鷹の森ジブリ美術館について建築的な目線を踏まえてご紹介したいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・三鷹の森ジブリ美術館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・三鷹の森ジブリ美術館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・三鷹の森ジブリ美術館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.まず三鷹の森ジブリ美術館って?

ジブリ美術館は正式名称を三鷹市立アニメーション美術館といい、スタジオジブリの宮崎駿氏が発案して2001年に開館した美術館です。
宮崎さん自身が考える理想の美術館を、宮崎さん自身が書いた断面スケッチを元に設計が行われました。
建築設計は日本設計造園設計は安西デザインスタジオが担当しています。

その施設は企画展示室、常設展示室のほか図書閲覧室「トライホークス」、映像展示室「土星座」、カフェ「麦わらぼうし」、ラピュタのロボット兵のいる屋上庭園などが合わさった建築で、細部にまで「利用者にとってこんな美術館でありたい」「こんな体験をしてほしい」という思いが詰まった美術館となっています。

アクセスは三鷹駅・吉祥寺駅から徒歩で15分、バス6分、井の頭公園駅より徒歩で15分の距離にあります。

2.開館日などの情報とおススメの入場時間について

まずは施設の開館時間と入場時間は以下のようになっています。(※記事執筆時点の情報です)
開館時間:10:00~17:30
入場時間:1日6回(予約時に10時、11時、12時、13時、14時、15時の6回から選べます)
休館日:火曜日

一度入場してしまえば退場時間はないので、その後はいつまでいても大丈夫です。
チケットを入手するときに都合のいい時間を選択すればいいのですが、チケットは完全予約制なので、入手するときの人気状況によっても変わってきます。

ちなみにチケットの価格は
・大人・大学生:1000円
・高校・中学生:700円
・小学生:400円
・幼児(4歳以上):100円

となっています。
このチケットで美術館の入場と、施設内のシアターで見れる短編映画を見ることができます。

入場時間はいろいろな考えがあるかと思いますが、私のおススメの時間は12時です。
理由は2つあります。
・回を追うごとに人は増えていく
前述したとおり、ジブリ美術館では退場時間に制限がありません。回を追うごとに人は増えていく傾向にあるので、12時の入場がベストだと思います。10時はちょっと早いのでちょっと早目の昼食を外で済ませてから行くのがおススメです。
・12時入場すると、その後三鷹近辺の建築見学ができる!
ジブリ美術館の滞在時間は多くても3時間を見積もっておけば充分です。
12時に入場すれば夕方前には三鷹駅に到着できます。夕方から夜にかけて駅周辺の建築を見て回るのもおススメです。

三鷹にはこちらの記事でも紹介した隈研吾さんのハモニカ横丁ミタカをはじめ、いくつか有名建築があります。また、すぐ隣の武蔵境駅には話題の図書館である武蔵野プレイスや、村野藤吾氏のルーテル学園大学、こちらの記事でも紹介した三鷹天命反転住宅などもあります。

せっかく訪れる三鷹ですので、合わせて普段見れない建築トリップをしてしまいましょう。
建築に詳しくない人と一緒の場合は、武蔵境の駅前にある武蔵野プレイスか、三鷹の駅前にあるハモニカ横丁ミタカがおススメです。特にハモニカ横丁ミタカはグルメスポットとしてもおススメなのでジブリ美術館に行ったあとは夕食はここでとってみてはいかがでしょうか。

3.入場チケットは、日時指定の予約制なので注意

ジブリ美術館のチケットは日時指定の事前の完全予約制なので注意が必要です。
チケットの販売は毎月10日の10時から翌月1ヵ月分のチケットが購入できます。つまり例えば12月に行きたいのであれば11月10日の10時から予約開始となります。

チケットの販売はローソンチケットでの販売のみとなっていますので、こちらのサイトから申し込みます。
特に土日の人気は激しいので、人気のある週末に行きたい場合は10日の10時ジャストに申し込みをすることをおススメします。平日でも日にちによってはとれないことも多いので毎月10日はチケットの大争奪戦が起こります。
詳細は三鷹の森ジブリ美術館の公式HPにも記載がありますので、一度のぞいてみて下さい。

ここで私が実際に行ったチケット入手のコツを紹介すると、1つは「近隣市民枠チケット」を利用することです。
これは地域の方(三鷹市・武蔵野市・小金井市・西東京市に在住・在勤・在学)に優先的にチケットを販売するというもので、みたか観光案内所で購入できます。
詳しくはみたか観光案内所の公式HPに記載がありますので、ご自身や友人が該当する可能性がある方は一度見てみて下さい。
但し、予約できるチケットは3カ月先で毎月の月の初めの営業日から販売開始という点に注意が必要です。

その他にもキャンセル待ちを利用する方法も有効のようです。
というのもジブリ美術館のチケットは10日の10時に販売されますが、支払いの問題などから毎回キャンセルがでます。キャンセルされたチケットは3日後の13日から購入できるので、買えなかった!という方は諦めずに13日に見てみると意外と購入できることもあります。

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4.いざジブリ美術館へ。外観にみる建築的工夫

まずは入口。ジブリ美術館は井の頭公園の一角につくられており、井の頭駅から行く場合は公園を通りながら歩いているとジブリ美術館が見えてきます。

井の頭公園から入るとまず最初にあるのが、こちらのチケット売り場です。
トトロがいる!とテンションが上がりますが、実はこれ本物のチケット売り場ではありません。よく見ると小さく「本物の受付→」と書かれています。

こういった冗談や来た人の心を緩ませるしかけからも宮崎氏の「威張った美術館にしたくない、権威的な美術館にしたくない」という方針を伺えます。

この受付は建築的にも効果的で、写真のように手前に小さなスケールの疑似受付を置くことで、建築のスケールを巨大なものから身近なものに落とし込んでいます。
これはただの高くそびえる壁があるだけの場合を想像してみるとよく分かると思いますが、意外と気づかないさりげない工夫が伺えます。写真右に見える設備のキューブも建築のスケールを小さく軽減させるアイテムとしても機能しています。
反対側の入り口はこちら。

この写真を見ても手前に1つ小さなスケールの建物があったり、奥の緑化した建物が段々状になっていて、威張った、権威を象徴した美術館にしないというコンセプトに建築的にどう回答しているかが分ります。

この入口を右に曲がると本当のチケット売り場があります。ここであらかじめ購入したチケットを先ほどの映画のフィルムのチケットと交換して入場します。

5.内部はまさに物語の世界

受付でチケットを交換して、建物の中にはいるのですがここから緩やかな階段でまずは地下にはいります。
段々と外の光が弱まっていき、照明の落とされた地下の空間に入ります。ここで地上の日常的な空間から一気に物語の中のような美術館の世界に入っていきます。

まさに映画「千と千尋の神隠し」にでてきるトンネルのような効果です。
館内は宮崎氏の「この空間をご自分の目で見て、体で感じてほしい」という想いから撮影禁止となっていますので写真はないのですが、こうやって物語世界の中に引き込まれていきますので、どっぷりと、安心してその世界観を味わうことがきます。

常設展ではアニメーションの原理を実際の機材を使って体感できるようになっていたり、ジブリ作品の絵コンテなどの資料が充実していました。また、受付でもらったチケットで映像展示室「土星座」の短編映画を見ることができます。
尚、上映される映画は期間ごとに変わっていますので、何度行っても楽しめるようになっています。

その他では、屋上までの吹抜け(天井のフレスコ画には一面にジブリのキャラクターが描かれている)が気持ちのいい空間だったことが印象的でした。
宮崎氏をはじめジブリ美術館の関係者がこだわり抜いた美術館だけあって訪れた人が本当に楽しめる美術館になっています。

⑥再び外へでて、屋上庭園へ

中の展示を一通り見終えたら、外に出てみます。
内部の空間は温かく、守られているような空間なのですが、外に出ると一気に解放感があり気持ちがいいです。

先述のように建物は地下に埋まっているのですが、外から見た以上に高く大きい建物だったことが実感できます。建物は大きいのですが、すべての壁は丸みを帯びている上に植物で覆われているので圧迫感はありません。
建物が自然の谷のようになっていて、建物内部とは違った大きな自然の中にいるような空間体験ができることが興味深いです。

植物覆われた円形の外階段をぐるぐると回って屋上へ行きます。
ここまで登ると眺めも最高によいです。井の頭公園に隣接していることもあり、余計なビルはほとんど視界に入ることなく物語の世界に没入できます。

屋上には天空の城ラピュタに登場するロボット兵がいて、人気の写真スポットになっています。
足や手の隙間から顔を出したり、足に抱きついたりと思い思いのスタイルで記念写真を撮ります。

このロボット兵は約5mもあり、外から見たときに文字通り頭一つ抜けてその存在が分ります。まさにこの建物のランドマークとしても機能しており、その配置や高さ設定の妙を感じることもポイントの1つです。

屋上を満喫したら奥内に戻って再度展示を見るよもし、カフェで一休みをするもよし、ミュージアムショップでお土産を買うもよし、最後までこの美術館を満喫しましょう。
帰りは美術館の出口からすぐのところからバスも出ているのでそちらを利用するのもおススメです。

いかがでしたでしょうか。
細部の細部に至るまでつくり手の工夫と情熱が溢れるジブリ美術館。
訪れた際にはちょっと建築的な視点で見てみると、この素敵な美術館を120%満喫できるのではないかと思います。

三鷹の森ジブリ美術館
基本構想:宮崎駿
建築設計:日本設計
造園設計:安西デザインスタジオ
所在地:東京都三鷹市下連雀1-1-83
アクセス:三鷹駅・吉祥寺駅より徒歩約15分、バス6分、井の頭公園駅より徒歩約15分
竣工:2001年
公式HP:https://www.ghibli-museum.jp/

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