札幌「モエレ沼公園」大地を彫刻した巨大な建築&ランドスケープをレポート

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今日は北海道札幌市にあるモエレ沼公園を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・モエレ沼公園を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・モエレ沼公園の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・モエレ沼公園の建築的な見どころや注目ポイント

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1.彫刻家ノグチイサムが夢見た奇跡のような公園を訪問

今日訪れたのは北海道の札幌市にある公園、モエレ沼公園です。

今回の北海道旅はいつもの建築巡りとして訪れた訳ではなかったのですが、札幌を訪れた時には是非行ってみたとかねてから考えていたこともあって今回の旅程に組み込みました。

モエレ沼公園は、その名前の通り元々はモエレ沼という沼地とその内陸のゴミの埋立て場跡につくられた公園です。
公園全体のマスタープランは、アメリカ出身の彫刻家、造園家、デザイナーであるノグチイサムが提案したものが元となっていて、敷地の全体をひとつの彫刻作品とする壮大な計画が実現しました。

私が訪れたのは冬手前の11月で、札幌では前日に初雪が降ったことがニュースとなっていました。訪れる前は鮮やかな緑の大地の印象が強かったモエレ沼公園ですが、訪れてみるとうっすらと雪化粧をした静かな大地が広がっていました。

ノグチイサムは、1904年にアメリカのロサンゼルスで生を受け、3歳から14歳までを日本で過ごした後、再びアメリカに戻り芸術家となります。
また、ノグチの作品は、彫刻作品から建築、ランドスケープといった巨大なスケールの作品、作庭からインテリアやプロダクトまで幅広いことも特徴と言えます。

そんなノグチがモエレ沼公園の計画に関わることになったのは1988年、彼が84歳の時でした。
様々な作品を生み出してきたノグチは、20代の頃、ニューヨークを舞台に大地・地球を彫刻をする「プレイグラウンド」を構想しています。
このニューヨークの計画は実現することはありませんでしたが、半世紀以上経った1988年に、そんな若かりし頃の夢の計画を日本の北海道で実現する機会がやってきます。

前述の通り当時のモエレ沼は都市で出たゴミを廃棄する埋め立て場となっていましたが、ノグチは人間社会のマイナス面を受け止めてきたこの大地を芸術の力で癒し、蘇らせることを構想し、モエレ沼の公園計画に参画します。

当時公園化の計画は札幌市を中心に進められていましたが、ノグチは視察からわずか数ヶ月でマスタープランを完成させ、現在に続く北海道の大地を彫刻にしたモエレ沼公園の計画が大きく方向付けられました。
しかし、マスタープランをお披露目した直後のこの年の12月、ノグチは84歳でその生涯を終えることになります。
ノグチの死後はイサム・ノグチ財団と建築家のショージ・サダオ氏らが監修を務めて計画は受け継がれ、1993年に一部エリアを、2005年にグランドオープンを迎えることとなります。

2.自然と人工物が交錯する壮大な風景を堪能する

公園内では広大な大地に、モエレ山モエレビーチプレイマウンテンガラスのピラミッドなどが点在しています。

また、公園内には陸上競技場やテニスコートなどもあります。

こちらのガラスのピラミッドは、モエレ沼公園の中で一番大きな建物で、中にはレストランやギャラリー、公園の管理事務所などが入っています。

雪原から巨大なアトリウムに入ると、建築のシェルターとしての安心感と同時に、外部とはまた違った風景を体験できます。
四方からの光を屈曲させ、集中させるプリズムのように、このピラミッドがあるからこそ感じる自然との関係性がとても印象的でした。

遠目からはわかりませんでしたが、建物の足元は駐車場になっています。
真ん中には大きな穴があけれていて、半透明の手すりが雪景色に染まった稜線と実見上手く調和しているもの素敵です。

ちなみに降り積もった雪は毎年春前に地下に設けられた発電施設に蓄えられ、夏場の空調にも活用されます。

こちらの写真の右手に見える白い建物はミュージックシェルと呼ばれる野外ステージです。
ここでの建築は出演者の控室などを収めつつ、向かいのプレイマウンテンに向けた反響板の役割も果たしています。

こちらが向かいのプレイマウンテンの段々状の斜面です。
公園内のそれぞれの彫刻は、離れていながらも音や視線で互いにリンクしているというのも素敵ですね。

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3.アートを通して自分とその先に広がる大地を体感する

プレイマウンテンは、若かりし頃のノグチがニューヨークで構想した遊び山を再び蘇られたもの。

99段の石段は古代の遺跡のようでありますが、反対側からは自然の緩やかな山道のようでもあり、プリミティブな感覚を想起されられます。

巨大な三角形の彫刻テトラマウンドも、人工物によって大地や空といった自然を改めて感じられるモニュメントです。
ノグチの作品は実態のあるソリッド部分だけでなく、その周りにある「空」の部分に特徴がありますが、こちらのテトラマウンドもそんな野口氏の特徴が特大サイズで体感できます。

また、太さ約2mのステンレスのフレームは、静けさと同時にダイナミックさも溢れ、こちらもノグチらしいです。

他にも円形のカラマツの中には噴射される水が彫刻となる海の噴水があったり、桜に囲まれた遊具広場があったりと、それぞれの場所で特色のある風景が見られます。

モエレ沼公園で最大の構築物は、写真の奥に見える高さ約50m、各辺約300mのモエレ山です。
この山は残土とゴミによって筑山されたもの。一歩一歩踏みしめながら登りきった後に見える風景はとても美しかったです。

段々と日が暮れていくと、僅かな照明が雪景色に反射する風景に変わっていきます。
モエレ山から見える広大な大地と、その先に見える街の灯がとにかく美しいです。

とりわけ都心にいると、普段自分が今立っている足元の大地への意識はほとんど感じません。
この場所に立つと、自分の身体を通してその先に地続きに広がる大地を肌感覚で感じることができます。

散策を終えると辺りはすっかり暗くなり、大地と建築のシルエットが、夕方とはまた違った風景をつくりだしていました。
静かに佇む彫刻を最後まで堪能して、この日の建築巡りも大満足なものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも北海道を訪れた際には是非立ち寄ってみてくださいね。

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モエレ沼公園
マスタープラン:ノグチ・イサム
監修: イサム・ノグチ財団+ショージ・サダオ
設計:アーキテクト・ファイブ
所在地:北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1
アクセス:札幌駅より車で約20分
オープン:1993年(一部エリア)、2005年(グランドオープン)
入園料:無料
開園時間:7:00~22:00
※時期によって各ゲートの開放時間は異なります。
公式HP:https://moerenumapark.jp/
備考:2007年土木学会デザイン賞
2002年度グッドデザイン賞

※記載している営業時間や金額は記事執筆時点のものです。変更となっている場合もありますので、訪れる際は公式HP等をご確認ください。


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