「神保町シアタービル」エネルギー溢れる現代の小劇場をレポート

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今回紹介するのは「古本の街」神保町の通りを1本入ったところにある神保町シアタービルを訪れてきましたので、その模様をレポートします。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・神保町シアタービルを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・神保町シアタービルの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・神保町シアタービルの建築的な見どころや注目ポイント

神保町シアタービル

神保町シアタービルは小学館と吉本興業が協同で企画した複合施設で、約300㎡ほどの小さな敷地に、映画館や吉本興業のお笑い劇場やNSC東京といった様々な施設が納められています。

この建築の大きな特徴は、何といってもその外観デザインです。

一度見たら忘れられないインパクトの大きなこの建物が、何でこんな形になったのか、何がすごいのかを知る為には、まず神保町をはじめとする狭い道路の中に建てられた建築が一般的にどういう形になるかを知っておかなければなりません。

基本的には建物を建てる際の基本的な法律として、建築基準法には「斜線規制」という規制があり、建物は一定の高さ以上の部分をは斜めにカットされた位置以上の位置に建ててはいけないことになっています。
この建築基準法の斜線規制は建物の形を強制的に決めるものではないのですが、限られた敷地に最大限大きな床面積をとろうとすると、必然的に法律で定められた斜めのラインいっぱいに建てることになります。

従って東京の狭い道路に建つビルを見てみると、かなりの確率で建物の上部は斜めにカットされていると思います。
斜めにカットする理由は、建物の敷地の外部となる道路(や隣地)に太陽の光を届け、通風を確保する為で、このルールに沿って建築を建てれば概ね最低限の光や風環境を確保できるということで採用されている基準でした。
しかし、2003年に施行された建築基準法の改正で天空率という新しい緩和基準が導入されました。 「天空率」とはざっくりいうと、「道路から建物を見たとき、斜線規制で斜めに切り取った建物よりも空が見える割合が大きければどんな形をつくってもいい」というものです。文章だけ見ると分るような分らないような何とも言えない感じなのですが、これはかなり画期的なことでした。

しかし大きな問題が1つあります。
「道路から建物を見たとき、空が見える割合が大きければどんな形をつくってもいい」なんていわれても、そんなのどうやってつくるんだよ!という疑問ですね。
天空率の法令の導入初期は上記の理由から、この規定をデザインにまで落とし込んだ建築はほとんどと言っていいほどありませんでしたが、神保町シアタービルではコンピューター上で3次元の建物をつくり、シミュレーションしながら設計することで、この法律をフルに使った建物を実現しました。

空が見える割合をできるだけ確保しながら、建物のボリュームも最大限にしていった結果、建物が少し膨らんだタケノコのような形になったのですね。

神保町シアタービルの凄いところは、そういった新しいルールをもとにつくられた形状からインスピレーションを得て、そのタケノコ状の形から卵の殻が割れて中からエネルギーが湧き出てくるような劇場のデザインに落とし込んだことにあります。
改めて建物を見てみると神保町界隈にかつてあった小劇場のエネルギッシュで活発な姿が現代の建築として成立しているように見えます。

役者や芸人が自らの殻を破りつつ、社会や他社に対してそのエネルギッシュな光を発散させる。まさに卵の殻が割れて、中から成長したひな鳥が飛び出していくような建築が、建物全体のデザインとして表現されているのです。
そう考えるととってもワクワクしてきますね。

一見すると奇抜に見えるデザインも、そういった意図を知ると途端に面白く見えます。
さらに裏口の開口部といった建物にどうしても出てくる開口部のデザインも、この卵の殻が割れたようなデザインの中に上手くカバーされているのも注目ポイントです。

神保町から徒歩3分と近く、デートや友人と訪れるのにもおススメの名建築。
皆さんも機会があれば是非訪れてみてはいかがでしょうか。

ちなみに神保町のおススメ建築についてはこちらの記事にまとめていますので、神保町を訪れる際は是非参考にしてみて下さい。
関連記事
・神保町で建築巡り!おススメの名建築15選を紹介

■まとめ
・「天空率」という新たな建築法規(ルール)を利用し、従来の2次元の建築のつくりかたからから新しい3次元の建築のつくりかたを実践した建築
・コンピュータで導き出されたタケノコ状の形からイメージを膨らませ、エネルギッシュで魅力的な建築へと昇華させた建築

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関連記事
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神保町シアタービル
設計:日建設計(山梨知彦+羽鳥達也)
所在地:東京都千代田区神田神保町1-23
アクセス:神保町駅より徒歩約3分
竣工:2007年
備考:2008年度グッドデザイン賞
公式HP:https://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

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