四万「積善館」日本最古の湯宿建築&薬膳カフェをレポート

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今回は群馬県有数の温泉地である四万温泉にある湯宿建築 積善館と、茶屋 薬膳や 向新を訪れてきましたのでその模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・積善館・薬膳や 向新を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・積善館・薬膳や 向新の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・積善館・薬膳や 向新の建築的な見どころや注目ポイント

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1.日本最古の湯宿建築!?タイムスリップしたような建築群に注目

今回訪れた積善館は四万温泉はJR中之条駅からバスで約30分、四万温泉下車後歩いてすぐのところにある湯宿です。
四万温泉と言えば、古来から4万もの病に効くと多くの人から親しまれてきた群馬を代表する温泉地。
最寄り駅であるJR中之条駅まではJR上野駅から特急草津に乗って約2時間ということもあり、四万温泉は現在でも都心から気軽に行ける温泉地として人気のスポットとなっています。

四万の湯宿の歴史は古く、その歴史は戦国時代末期にまで遡るといいますが、そんな歴史ある温泉地に今も残る日本最古の木造湯宿建築と言われるのが、今回訪れた積善館です。

積善館

上の写真の手前に見えるのは昭和初期の1936年に建てられ、現在は茶屋となっている向新。
そこから橋を隔てて1930年築の前新、そして1691年に建てられてから増築や改修を繰り返して現在の姿になった本館、その裏に続く山荘と続きます。

積善館

橋の麓まで近づくと一瞬別世界にトリップしたような迫力の建築に思わず見とれてしまいます。
この積善館は映画「千と千尋の神隠し」で湯屋を描く際のモデルの1つにもなっているそうです。
橋の向こうにナニかがある、というのはイメージを搔き立てられて素敵ですね。

2.各時代を経て現在に残る湯宿建築がスゴすぎる

積善館_本館

橋を渡って正面に見えるのが元禄4年(1691年)に建てられた本館です。
建設当初は2階建ての建物だったそうですが、湯治客の増加に伴い明治時代に現在と同じ3階建てに増築されました。
江戸、明治、大正、昭和と各時代を経ながら増築・改修された建築には否応なしに歴史の重みと風格を感じます。

積善館_本館

正面向かって右側の1階の一部は歴史資料館として公開されていて、300年以上続く湯宿の歴史を体感することが出来ます。

建物は建設当初から変化している部分も多くあります。例えば1階は帳場や当主の住まい、2階が客室となっていて、建設当初は写真のような縁側はなかったそうです。
変わりに現在閉じられている2階部分には外気に面した外廊下があったそうで、宿泊客が外の景色を眺めながら夕涼みをしたり雑談したりすることもできました。

積善館_廊下橋
積善館_前新

朱色の橋と並行して架けられた長さ12.6mの廊下橋も1936年の建築で、前新と向新を軽やかに繋いでいます。
敷地内の1つ1つの構築物すべてが絵になりますね。
橋を渡ったところにある前新は1階が鉄筋コンンクリート造、2・3階が木造の建物で、1930年に建てられた建物です。

積善館_前新

鉄筋コンンクリート部分の1階は、アーチ型の可愛らしい窓が連続している洋風のつくり。こちらの建物の内部につくられた元禄の湯は建設当時から積善館を代表する名物スポットとなっています。
当時はまだ珍しかったと思いますが、大正ロマンの雰囲気を感じる洋風の建築と、その上に軽やかに乗せられた木造の客室は、まさに積善館の「顔」となっています。

積善館_向新

橋から振り返って見える向新(1936年築)は従業員の宿舎としてつくられ、一時期は客室も設けられていました建築です。
2020年には大幅な改修がなされ、薬膳粥や薬膳酒などの薬膳料理が頂ける茶屋へとリニューアルされました。

3.リニューアルされた薬膳や 向新で、歴史ある建物を堪能

薬膳や 向新_外観

薬膳や 向新は2020年の11月にリニューアルオープンしたばかりのお茶屋さん。
四万温泉は宿以外の食事処がかなり限られてているので、休憩・ランチの両方で楽しめるこちらの茶屋はかなりのおすすめスポットです。

薬膳や 向新
薬膳や 向新

温泉で体を癒すと同時に、「食で体を整える」ことをコンセプトに幅広いメニューが頂けます。
薬膳は店内で購入することもできて、体質に合わせた薬膳も提案してもらえます。

薬膳や 向新

食事は券売機で購入するシステムとなっているので、まずは入り口の券売機でメニューを選びます。

薬膳や 向新
薬膳や 向新

店内は思った以上にゆったりと空間にリノベーションされています。
座席は1階・2階の両方が利用でき、1人から利用できる大きなテーブル席から、家族で利用できる円卓席、外の景色が楽しめる窓際の席など様々です。

薬膳や 向新

今回は2階のテーブルで頂きます。
実は私が訪れた時は、先客の2人組がいたのですが、ちょうど食べ終わったところだったそうで、窓際の2人席を譲っていただきました。本当にありがたかったです。

積善館

窓の外には積善館の前新と本館がしっかり見える絶景スポットでした。
どの席に座れるかは運次第のことろもありますが、お昼のピークの時間帯を避ければ意外とこちらの席も座れる可能性は高いと思います。

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4.はじめての薬膳料理!そのお味は?

薬膳や 向新

メニューはサムゲタン粥、薬膳かぼちゃ粥、夏季限定の黒ごま素麺など様々ですが、今回私が頂いたのは人気メニューの1つである薬膳肉みそ黒米粥(1400円)

薬膳や 向新

テーブルにある薬膳粥の美味しい召し上がり方を見ながら早速いただきます。
まずはお粥をそのまま頂き、薬膳の香りと素材の味を楽しみます。
はじめての薬膳料理なのでどんなものかとドキドキしていましたが、思った以上に美味しかったです。

薬膳や 向新

やはりちょっと味は薄く感じるので、途中からは天然塩と半熟卵を入れて楽しみます。
お粥と半熟卵の組み合わせはピッタリで、とっても美味しくいただけました。

薬膳や 向新

薬膳料理と一緒にいただくのは薬膳ハイボール 脾/巡るです。
こちらのハイボールはフェンネル・陳皮・生姜が調合されていて食欲がない人にピッタリだとか。
薬膳ハイボールは他にも眠れない人に向けた高麗人参・シナモン・蓮の実を配合した 薬膳ハイボール  心/調うもありました。

はじめての薬膳料理でしたが、 薬膳や 向新 で料理もお酒も建築空間もたっぷりと堪能して、大満足の体験ができました。
奇跡のように受け継がれてきた積善館、皆さんも四万温泉を訪れた際は是非立ち寄ってみて下さい。

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積善館
設計:大塚栄建築設計事務所(前新、山荘、廊下橋)
所在地:群馬県吾妻郡中之条町大字四万4236-1
アクセス:中之条駅からバス約30分、四万温泉下車徒歩約3分
竣工:1691年(本館)、1930年(前新)、1936年(山荘、廊下橋)
備考:国指定重要文化財(本館)、国登録有形文化財(前新、山荘、廊下橋)
公式HP:https://www.sekizenkan.co.jp/

薬膳や 向新
設計:大塚栄建築設計事務所
所在地:群馬県吾妻郡中之条町四万4227
アクセス:中之条駅からバス約30分、四万温泉下車徒歩約3分
竣工:1936年(2020年改修)
備考:国登録有形文化財
営業時間:11:00~16:00
定休日:月~木曜日
公式HP:https://yakuzenya.jp/


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