中野「哲学堂公園」個性的な建築とランドスケープが集まる哲学の公園をレポート

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今回は東京都中野区にある哲学堂公園を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・哲学堂公園を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・哲学堂公園の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・哲学堂公園の建築的な見どころや注目ポイント

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1.東洋大学創設者 井上円了がつくった哲学堂公園を訪問

今日訪れたのは、東京都の中野区にある哲学堂公園です。
哲学堂公園は、明治の哲学者であり東洋大学の創立者でもある井上円了氏によってつくられた公園です。

公園内には精神修養と学問の場として創られた建築や彫刻群が点在しているのが特徴で、明治〜大正時代に建てられた10棟の建物は中野区有形文化財にもなっています。

哲学堂公園のルーツは、1903年に現在の東洋大学の前身である私立哲学館大学が創立したことを記念して建設された「四聖堂」が始まりです。
そんな歴史のある哲学堂公園は、2020年には国の名勝にも指定されていて、公園内には宇宙館や絶対城など独特の名前のつけられた建物が点在しています。

建物は普段は外観のみの公開となりますが、毎年4月と10月には建築物の内部も公開されていているので、今回は内部公開に合せて見学してきました。

哲学堂公園は、最寄り駅である新井薬師前駅または落合南長崎駅から歩いて10分ちょっとの場所にあります。
徒歩でも十分アクセスできる距離ですが、最寄り駅からはバスも出でいるので時間があれば利用するのもオススメです。

2.哲学世界を具現化した様々な古建築が面白い

哲学堂公園では七十七場と呼ばれる哲学を建築やランドスケープ、像などで表現した名所が公園全体に散らばっています。

哲学堂公園に入り、野球のグランドを横目に進んでいくと、見えてくるのが哲理門です。

世界の本質に関する奥深い道理を探求する入口としての門には物質世界の不思議を表す「天狗」と、精神(心)世界の不思議を表す「幽霊」の木像が安置されていています。

屋根の先端には「哲」の文字が並ぶ門はインパクト大で、別名「妖怪門」とも呼ばれています。

門を抜けた先にあるのが時空岡(じくうこう)という広場で、最初に建設された四聖堂を初め多くの古建築が広場を取り囲んでいます。

明治後期の1904年に建てられた四聖堂は、孔子、釈迦といった東洋哲学の大家、ソクラテス、カントといった西洋哲学の大家の4人の哲学者が祀られた建物です。
4方それぞれを建物の正面とし、それぞれの方角に四聖が当てはめられているのが面白いです。

1909年に建てられた六賢台は、6人の賢者が祀られた塔状の建物です。
朱塗り六角形の建物は、可愛らしくもあり、しかし堂々とした出で立ちで鎮座している哲学堂公園のランドマーク的な存在です。

こちらの無尽蔵は、井上円了が海外と日本全国を巡った際に収集した品々を収蔵・展示した博物館のような建物です。

建物1階は「万象庫」、2階は「向上摟」と名づけられていて、現在は哲学堂公園に関連する写真や収蔵品の一部が展示されたギャラリーとなっています。

大正時代の1913年に建てられた宇宙館は、哲学の講話や講習会を行うための講義室としてつくられた建物です。
平屋建ての建物はシンプルではありますが、何処か違和感も感じるユニークな建物です。

1915年に建てられた絶対城は地上2階建ての図書館建築です。
様々な書物を万象とみたてて、それを読み尽くせば「絶対の妙境」に到達できるとの道理から名付けられた建物は、蔵書こそ現在は置いていませんが独特の雰囲気を醸し出しています。

同時代に建てられた図書館建築といえば、このブログでも以前、大阪府立中之島図書館(1904年)や上野の旧帝国図書館(1906年竣工)京都府立図書館(1909年)や三田の慶應義塾大学旧図書館(1912年)を紹介しました。
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西洋建築を範とした荘厳なこれらの建築に対して、円了の蔵書を中心とした和風でスモールサイズの図書館は、やさしい光が差し込む落ち着いた雰囲気の空間となっているのが印象的でした。

3.建築からオブジェ、ランドスケープまで公園内に点在するスポットを堪能

哲学堂公園では、これらのメインとなる建物の他にも、それぞれに哲学的な意味の込められたスポットが点在しています。

例えばこちらの三學亭は、日本古来からある神道、儒教、仏教の3つからそれぞれの偉人を選び祀った建物ですが。

この建物では3という数字がキーワードとなっていて、建物の柱から梁、屋根を支える部材にいたるまですべて3という数字をキーにデザインされています。

その他にも唯物論をテーマにした、唯物園エリアや、唯心論をテーマにした唯心庭のそれぞれでテーマにちなんだ建物やオブジェを見ることができます。

また、建築やオブジェだけでなく池などのランドスケープも哲学世界を表現した場としてデザインされているのが面白いです。

常識門、髑髏庵、鬼神窟等どのスポットも個性の強い名前と所以があって見どころがつきません。

広い敷地に散らばったこれらの場は、バリエーション豊かでとても楽しく巡ることができます。

ちょっと変わっているけどユニークで奥深い哲学堂公園をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート

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哲学堂公園
所在地:東京都中野区松が丘1-34-28
アクセス:新井薬師前駅より徒歩約12分、落合南長崎駅より徒歩約13分
竣工:1904年(四聖堂)、1909年(哲理門、六賢台)、明治後期(無尽蔵)、1913年(宇宙館)、1915年(絶対城)
開園時間:時期によって7:00~18:00の間で前後
入園料:無料
備考:国指定名勝
中野区指定有形文化財
公式HP:https://www.tetsugakudo.jp/


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