今回は東京六本木にある国立新美術館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・国立新美術館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・国立新美術館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・国立新美術館の建築的な見どころや注目ポイント
ちなみに六本木・乃木坂周辺の建築についてはこちらの記事でもレポートしていますので、六本木を訪れる際には参考にしてみて下さい。
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1.乃木坂と六本木の間に建つ国立新美術館を訪問
今日訪れたのは、東京六本木に2007年1月にオープンした国立新美術館です。
東京都内の国立美術館といえば上野の西洋美術館(1959年竣工)や竹橋の東京国立近代美術館(1969年竣工)、大阪のがありますが、国立新美術館は実に30年以上ぶりに建てられた国立美術館です。
乃木坂駅から徒歩約3分、六本木駅から徒歩約5分の好立地の敷地に建てられた美術館は、延べ床面積約50000㎡を超える日本最大級の美術館です。
建物の設計を手掛けたのは、このブログでも何度も作品を紹介したことのある建築家黒川紀章氏の設計事務所と、大手組織設計事務所である日本設計の設計共同体です。
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敷地に入るとまず見えてくるのが、緩やかなカーブを描くガラスのカーテンウォールの外装です。
国立新美術館では巨大な展示空間を建物東側に集約し、西側に大きくうねるようなガラスのアトリウムを設けることで、日本最大規模の展示スペースの効率的な運用や厳しい環境管理を実現しつつ、「街に開かれた森の中の美術館」というコンセプトを実現しています。
このカーテンウォールは、建物沿いに設けられた遊歩道に沿って幾重にもカーブしていて、正面からだけではわからない様々な表情を見せてくれます。
ガラスや金属といった硬くてシャープな素材が優しく柔らかくみえるのがとても不思議であり魅力的です。
美術館の構成はこちらの平面図をみるとわかりやすいです。
巨大な整形の展示スペース・バックヤードが正面のアトリウム空間によって繋がり、街に溶け出していくような構成となっています。
この美術館の特徴は常設の展示物を持たず、公募展や企画展といった外部から持ち込まれた美術品を展示する美術館であるということ。
会期によってフレキシブルに展示品を入替えられるシンプルな箱と、大きな自然が立ち上がったような前面の空間の対比がとても鮮やかです。
この建物の構成は横から見るとよく分かります。
国立新美術館では、ついついガラスのカーテンウォールに目が行きがちですが、横から見た美術館も個人的にはとても好きです。
2.圧巻の空間とつくり込まれた建築がスゴい!共生の建築をたっぷりと堪能
美術館の入口付近には大きく円を描く庇の建物がありますが、こちらは傘立てゾーンとなっています。
膨大な来館者が訪れる美術館において傘と雨水の問題は重要ですが、国立新美術館ではこの問題を建物に入る前にクリアにしています。
デザインも近未来的で、傘立てゾーンにテンションが上がります。
円形の金属庇は曲線を描くガラスのカーテンウォールとも調和していて、傘立てゾーンの周りに軒下空間をつくりだしているのも黒川氏らしいデザインです。
建物の入口も見上げるとガラスの円錐のデザインとなっていたり、過去に黒川氏が手掛けてきた作品のエッセンスがこれでもかというくらい凝縮しているのが面白いです。
建物の内部に足を踏み入れると、息を呑むような圧巻のアトリウムが広がっています。
明るい自然光が差し込み、外には緑の風景が見え、内部はガラスやコンクリートの圧倒的な造形が立ち上がっています。
この美術館では、「環境建築」ということで安易に自然素材を多用するのではない素材の使い方や対比が行われているのも素敵です。
ガラスや金属といった工業的で硬質な素材を柔らかな質感にデザインしたり、斜めに傾けることによって周りの環境と時には対比し、時には融合するような素材の使い方には驚きました。
ガラス、鉄、コンクリート、木といった素材が1つの空間の中に自然と納まっています。
また、このアトリウムは建築と街だけでなく、屋外と屋内、人工物と自然環境、日常と非日常といった対立する2つの要素を結び付け、緩衝させる中間領域にもなっていて、正に黒川建築の集大成となっています。
2007年の都知事選への立候補やそれに伴う発言などもあり、実は個人的には長らくこの美術館をあまり好きになれないでいました。
最近になって改めて再訪してみると、空間の美しさや細かいデザインの面白さ、黒川氏のいう共生というテーマを実感でき、改めてこの美術館の魅力に気づかされました。
こちらの階段も宙に置いているようなシャープなデザイン。
階段の上の照明は足元を明るく照らすだけでなく、夕刻になると塔状の階段空間を浮かび上がらせる効果もあります。
アトリウムにはカフェやレストラン、時期によってはちょっとしたイベントスペースが点在しているので、展示と建築を堪能した後はこちらで一休みするのがオススメです。
また、地下にはミュージアムショップや休憩スペースもあるので訪れた際はこちらも要チェックです。
国立新美術館のもう一つの注目ポイントは、美術館の前に建つこちらの別館です。
この別館は1928年に竣工した旧歩兵第三連隊兵舎を改修したもので、古い躯体や意匠を残しつつ、本館側は美術館のアトリウムと呼応するようなデザインとなっています。
魅力的な建築と展示をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメの美術館ですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
尚、美術館周辺の六本木・乃木坂エリアのオススメ建築については、こちらの記事でも紹介していますので、国立新美術館を訪れる際には参考にしてみてください。
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国立新美術館
設計:黒川紀章・日本設計共同体
所在地:東京都港区六本木7-22-2
アクセス:乃木坂駅より徒歩約3分、六本木駅より徒歩約5分
竣工:2006年
備考:第49回BCS賞
2008年度グッドデザイン賞
公式HP:https://www.nact.jp/
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