本日は東京駅前の旧中央郵便局の一部を保存・修復しながらつくられたJPタワーを見学してきたので、その模様をレポートしたいと思います。
では早速見ていきましょう!
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・JPタワーを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・JPタワーの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・JPタワーの建築的な見どころや注目ポイント
ちなみに丸の内周辺の建築巡りについてはこちらの記事でレポートしていますので、興味のある方は是非併せてご覧ください。
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1.東京中央郵便局を保存・改修して建てられたJPタワーが面白い
JPタワーは東京駅に隣接した敷地に建てられた、東京中央郵便局を保存・修復・建替えをして建てられた超高層複合ビルです。
東京駅の丸の内北口を出ると保存・修復された東京中央郵便局の外観が目に飛び込んできます。
この東京中央郵便局は昭和のモダニズム建築の傑作とも言われた建築。
2012年の工事に際しては、全体の設計は丸の内の建築設計を数々手掛ける三菱地所設計が行い、保存された中央郵便局の上部には高さ約200mのタワーが新設されています。
また、低層部に入る商業施設「KITTE」では、東京駅に面するファサードをはじめ、中央郵便局の一部を保存・修復したデザインとなっていて、内装の設計を隈研吾氏が手掛けたことでも大きな話題となりました。
東京中央郵便局のファサードの上部には38階、高さ200mのガラスのタワーが聳え立ちます。
白い外壁が東京駅のラインと揃っていて美しいですが、その上に乗っかるタワーは資本主義の象徴のようにも見えて面白いです。
東京中央郵便局の外壁はモダニズムらしいシンプルなものですが、この建築では明快な柱と梁が強調されていて、のっぺりとしたモダニズム建築とはちょっと違った印象を受けます。
設計者の吉田哲郎はモダニズム建築と日本の伝統的な建築の融合を試みた人で、日本建築の柱梁のイメージを重ね合わせたものともいわれています。
そうして見てみると柱梁の間に綺麗に割りつけられた窓は障子のようでもあり、モダニズム建築の中に日本的な意匠が見えてきます。
こちらは約10数年前に訪れた時の写真ですが、現在の外壁は見事にそのままに保存・修復がされているのが分ります。
中央に取り付けられた時計に時代を感じさせます。
このブログで過去に紹介した両国駅(1929年竣工)、上野駅(1932年竣工)もそうですが、当時は時計は個人が持ち歩くようなものではなく公共建築が時刻を知らせる役割を担っていました。
東京駅にはシンボルと言える時計塔はありませんので、丸の内の時刻を知らせる役目は東京中央郵便局が担っていたのでしょう。
ちなみに裏側はほんの少しの部分を残してガラス張りの外装となっています。
白いタイルの外壁とガラスの外装材の対比が、そのまま過去と現在の対比となっているのが面白いです。
2.内装の改修デザインは隈研吾氏!三角形のアトリウムが圧巻
内部に入ってまず目に入ってくるのは圧巻のアトリウムです。
5層の吹き抜けの最上部はガラス張りになっていて上部からは太陽の光が降り注ぎます。
写真の左側が旧中央郵便局のもともとの躯体を利用している面、正面と右側に見えるのが新たにつくられた内壁面です。
元々の躯体を残しながら三角形のアトリウムができるのが少し不思議ですが、平面図を見るとその構成がよく分ります。
もともとこの建物の建つ敷地は左下部分が大きく切り取られた形でしたが、建物外形はこの敷地形状に合わせて緩やかなカーブを描いています。
この変形敷地には元々の中央郵便局の設計を手掛けた吉田哲郎も頭を悩ませたようですが、今回内装の改修デザインを手掛けた隈研吾氏は、この建物形状を上手く利用して象徴的な三角形のアトリウムをつくることで元の建物を保存・活用しつつ、新たな商業施設のシンボルをつくりだしました。
上部からみると元々あった白い躯体と新たにつくられたガラスの面の対比がよく分ります。
床面をよく見ると六角形のマークが見えますが、これは元々あった中央郵便局の柱の跡をデザインに取り入れたものです。
一見すると見逃してしまいそうですが、柱痕を気にしながらこのアトリウムを歩いてみると中々面白いです。
さらに上部から垂れ下がるのは「メタルチェーン」と呼ばれる光の柱で、旧来の柱を光の柱で再現しています。
ちなみにこの六角の柱は当時としても珍しいもので、変形敷地においてどうしても出てくる斜めの柱割に対して吉田哲郎が悩んだ末に生み出した工夫の一つでした。
この六角形の柱を意匠として改修後のデザインの全面に取り入れるあたりは、旧建築へのリスペクトを感じて好感が持てます。
3.四階旧局長室で当時の空間にタイムスリップ!
内部で次に注目したいのは、当時の姿にできる限り復元したという4階の旧局長室です。
この旧局長室は、目前に東京駅を望むことも出来る絶好のビューポイントになっています。
旧局長室は現在では資料室として当時の内装や家具が再現されているのですが、休憩室としても利用できるのでショッピングの合間に是非立ち寄ってみたいスポットです。
内部でもうひとつ注目したいスポットが「インターメディアテク」です。
インターメディアテクは日本郵便と東京大学の総合研究博物館が協働で運営を行う博物館で、東京大学が1877年の開学以来蓄積してきた学術標本が常設展示されています。
2階・3階の2層に渡って展示される資料どれも貴重で見ごたえ抜群。
基本的には入場も無料でできる超お得スポットです。特別展示やイベントなんかも定期的に行っているので訪れる際は是非チェックしておきたいですね。
博物館内は基本的には写真撮影はできませんが、こちらの講義室はインスタスポットになっていて自由に撮影することもできます。
この博物館部分も中央郵便局時代の躯体も全面に露わした内装になっているので、訪れた際は必見のスポットです。
4.柱梁だけでなく天井や壁も工夫がいっぱい!
内装では柱や梁といった躯体の他には、天井に注目してみても面白いです。
一見した限りあまり気になりませんが、KITTEではあえて配管を見せている店舗が結構あります。
KITTEは東京駅前だけあって商品もいいものを揃えたショップが多いですが、設備が露わになったこのない感も意外としっくりきているのが興味深いです。
壁面のデザインが凝ったものになっているので、簡素な天井でうまくバランスが取れています。
先ほどの局長室もそうですが、天井に露わになった設備や梁はこの建築のひとつの注目点です。もちろん限られたスペースの中で天井高さを確保するためということもありますが、新規に意匠性を重視してつくられた足し算の壁面と、シンプルにつくられた引き算の天井のバランス感覚がとても面白いです。
ちなみに壁面は階によってガラリとデザインが変わっています。
エスカレータで各フロアを巡るごとに変わりゆく空間体験を楽しめます。
5.屋上もすごい!見逃さずにチェック!
最後に紹介したいのが、KITTEの6階にある屋上庭園「KITTEガーデン」です。
こちらもエスカレータで6階に上がり入場自由で入れるスポットなのですが、意外と人は少なめだったので知らない人も結構いるのではないでしょうか。
屋上に出るとアトリウムの立ち上がりが見えますが、やはりかなり巨大な立ち上がりです。側面も全てガラス張りになっていてアトリウムに降り注ぐ大量の光の秘密を垣間見れます。
東京駅側も絶景で、滅多に見れない上空からの東京駅や丸の内ビルの貴重な姿を観ることができます。
屋上にはカフェも併設されているのでKITTEを訪れた時は是非訪れてみることをおススメします。
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2024年4月18日には「一級建築士矩子の設計思考」第3巻が発売になりました。
JPタワー
設計:三菱地所設計
KITTE内装設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
原設計:吉田鉄朗
所在地:東京都千代田区丸の内2-7-2
アクセス:東京駅より徒歩約1分
竣工:1931年(2012年改修)
備考:第56回BCS賞
第24回BELCA賞ベストリフォーム部門
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