今回紹介する建築は銀座に建つ「MIKIMOTO Ginza 2」を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・MIKIMOTO Ginza 2を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・MIKIMOTO Ginza 2の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・MIKIMOTO Ginza 2の建築的な見どころや注目ポイント
MIKIMOTO Ginza 2は有楽町駅、銀座駅から歩いて5分ほどの立地に建てられた地上9階、地下1階建ての宝飾品のミキモトの直営店です。
建物の外皮には2枚の鋼板の間に厚さ20cmのコンクリートを流し込んだ鋼板コンクリート構造を採用していて、14m×17mの長方形で高さ48mの中に柱はありません。
この建築のデザインを手掛けたのは日本を代表する建築家である伊東豊雄氏です。この建築が建てられた2000年代は銀座や表参道で著名な建築家を起用した実験的な建築プロジェクトがいくつも見られましたが、それらの建築の代表格ともいえるのがこちらのMIKIMOTO Ginza 2です。
今回、この記事ではこの建築をみる上でのポイントを、「近代建築(モダニズム)を乗り越える新しい建築を試みたこと」に絞って紹介したいと思います。
この視点で建物を見るには、近代建築以降、今現在に至るまで我々の周りにある建築のほとんどは近代建築の枠組みの中にあるということを共有しなくてはいけません。
ここでいう近代建築とは、今現在私たちが当たり前だと思っている、柱で支えられて、壁で仕切られて、窓から光が入ってくる建築です。(そんなの当たり前って思いますよね。)
しかし、設計者の伊東豊雄さんはそんな当たり前のことに疑問と1つの提案を投げかけました。
この建築では外皮が建物を支える柱であって建物を区切る壁であり、その壁のパターンによって光を取り入れる窓だったり出入りする為のドアだったりして、「柱」や「壁」や「窓」といった旧来の建築を構成する言語を解体したのです。
もう1度建物をよく見てみると、どこまでが壁でどこまでが柱といった境がない、というのがよくわかります。
また、開口部も壁と窓の境目が限りなくゼロになるようにデザインされています。
通常の建築の窓やドアは「ここが窓ですよ」「ここがドアですよ」と当然はっきりと区切られていると思いますが、MIKIMOTO Ginza 2はそうした旧来の枠組みを取り払った建築をつくるという意思が感じられます。
こうした建築は2000年以降くらいから、コンピュータ技術の発展とともに世界的にも各地で試みられるようになり、以前このブログでも取り上げた横浜の「横浜大さん橋国際客船ターミナル」(2002年竣工)がその転換点といわれています。
同じ伊東豊雄氏の設計では表参道の「TOD’Sビル」なんかも同じコンセプトが試みられています。
もちろんこうした建築が実現できたのは、日本の優秀なゼネコンをはじめとする様々な関係者の技術力と努力の結晶が不可欠だったことはいうまでもありません。
実際にこの建築でも日本を代表するゼネコンである大成建設が設計と施工を行っています。
高度経済成長期以来着々と培ってきた高い技術力、コンピューター技術の発展と普及、建築家・構造家など様々な関係者による協働など、いくつものピースがうまく組み合わさって生まれたこの時期の建築は個人的にはとても好きです。
まさにジュエリーボックスのようなこのビルは、近代建築からの脱却し、まさにその先にある未来の建築像を模索する建築としてもみることができます。
そうしてみると、この建築がより輝いて見えるのではないでしょうか。
ちなみにMIKIMOTO Ginza 2は夜の姿もとっても美しいです。
建物全体に開けられた孔は昼と夜で全く違った表情を見せてくれるので、夕暮れ時に銀座を訪れた際にも是非立ち寄ってみてほしいです。
最近は、はす向かいにヘルツォーク&ド・ムーロンによるUNIQLO TOKYOもオープンしていて、この界隈の注目建築スポットがどんどんアップグレードされています。
ちなみにその他の建築巡りにおススメの銀座の建築についても、こちらの記事で詳しくまとめていますので、興味のある方は是非併せてご覧ください。
関連記事
・銀座で建築巡り!おススメの現代建築30選を紹介【東京銀座】
■まとめ
・柱や壁や窓といった今まで当たり前だった建築要素を転換して、新たな時代の建築を目指した
・コンピュータをはじめとする技術の進歩が可能にした建築
MIKIMOTO Ginza 2
設計:伊東豊雄/伊東豊雄建築設計事務所+大成建設
所在地:東京都中央銀座2-4-12
アクセス:銀座一丁目駅より徒歩約1分
竣工:2005年
備考:2006年度グッドデザイン賞
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