今日は東京都の銀座で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った建築の中から2000年以降に建てられた現代建築にフォーカスして紹介したいと思います。
銀座は貴重な近代建築から最新の現代建築まで様々な建築が点在している日本有数の建築パワースポットですが、特に2000年以降には著名な建築家や大手設計事務所による注目作品が数多く建設されました。
是非建築巡り・街歩きの参考や、バーチャル建築巡りとして楽しんでいただければと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・銀座エリアでの現代建築巡りを写真と文字でレポート
・銀座エリアの著名な建築家がデザインした現代建築をまとめ
・銀座エリアの最新建築の見どころや注目ポイントを解説
1.銀座888ビル

まず初めに訪れた銀座888ビルは、銀座通りの最も新橋寄りのエリアに建てられた地上13階2階建ての店舗・オフィスの複合施設です。
13階の巨大なボリュームは余計な看板や装飾の一切を省いたデザインとなっていて、シンプルな3層の構成と厳選された素材によってその存在をアピールしています。
「きららかさをもつ宝石箱」をコンセプトにデザインされた建物は、銀座の風景を鋭く反射しつつ重厚な素材感も持っていて、歴史ある銀座通りの入口にふさわしい上品な表情を見せています。

設計:大成建設
所在地:東京都中央区銀座8-8-8
アクセス:新橋駅より徒歩約4分、銀座駅より徒歩約7分、有楽町駅より徒歩約10分
竣工:2008年
2.Hulic & New Ginza 8

Hulic & New Ginza 8は、銀座中央通り沿いに建つ地上12階建てのテナントビルです。
建物の立面には長さの異なるフィンが木の葉のように散りばめられていて、見る角度や天候によって微妙にその表情を変化させています。
銀座の1等地に建つ建物として最大限合理的で効率的な建物を目指しつつ、表面材の処理でオリジナリティある建物がデザインされていることにも注目。現在はアップルのストアとなっていますが、数年後数十年後は全く異なる装いにできるように計画されているのも面白いです。


デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所
設計:竹中工務店
所在地:東京都中央区銀座8-9-7
アクセス:新橋駅より徒歩約5分
竣工:2021年
■アップルストア銀座

ちなみにアップルといえばこちらのアップルストア銀座は、日本初となるアップルの旗艦店でした。
1960年代に建てられた既存ビルを全面改修して2003年にオープンした建物は、低層部のステンレスパネルと、上層部のセラミックプリントを施したガラスによるシンプルなデザインとなっていて、まさにアップル製品がそのまま建築となったようでした。
アメリカ本国をはじめ数々のアップルストアを手掛けるボーリン・シウィンスキー・ジャクソン事務所と、日本の最大手ゼネコンのデザイン力と技術力が存分に発揮された注目建築でしたが残念ながら解体されてしまいました。

設計:ボーリン・スゥインスキ・ジャクソン設計事務所+鹿島建設
所在地:東京都中央区銀座3-5-12
アクセス:銀座駅より徒歩約2分、有楽町駅より徒歩約6分、銀座一丁目駅より徒歩約4分
竣工:2003年(改修)
備考:現存せず
3.東京銀座資生堂ビル

東京銀座資生堂ビルは、銀座通りの南端に近い角地に建つ地上11階地下2階の建物です。
元々この場所には1902年に資生堂パーラーの前身であるソーダファウンテンが、関東大震災後には資生堂パーラー(設計:前田健二郎)が、その後1962年に資生堂会館(設計:谷口吉郎)が建っていました。
2000年に建てられた東京銀座資生堂ビルはバロセロナ出身の建築家リカルド・ボフィル氏を中心とする設計チームが組まれました。
リカルド・ボフィル氏といえば古典建築を引用した格式高いデザインと、集客を意識した商業空間を両立させる建築に定評のある建築家。
こちらのビルでも流行に左右されない普遍性と商業施設としてのキャッチーさの両方が見事に融合しています。

設計:リカルド・ボフィル+文化科学高等研究院研究事業+清水建設
所在地:東京都中央区銀座8-8-3
アクセス:新橋駅より徒歩約5分、銀座駅より徒歩約6分、有楽町駅より徒歩約9分
竣工:2000年
備考:2002年度グッドデザイン賞受賞
第28回東京建築賞優秀賞
■資生堂銀座ビル

ちなみに同じく銀座に建つ資生堂銀座ビルは、資生堂の新たな拠点として建てられたオフィス、ホール、ギャラリー等の複合施設で、銀座を訪れた際はあわせて巡りたいおススメの建築スポット。
建物の全面を覆う「未来唐草」のアルミシェードをはじめ、上品ながらオリジナリティ溢れるデザインが各所で試みられているのが注目ポイント。
シンプルな中に普遍的な美しさと、時間帯や季節によって変わる表情の面白さが光る注目建築です。

設計:竹中工務店
所在地:東京都中央区銀座7-5-5
アクセス:新橋駅より徒歩約6分、銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約6分
竣工:2013年
備考:備考:第56回BCS賞
2014年度グッドデザイン賞
4.FUKUHARA GINZA

東京銀座資生堂ビルの向かいに建つFUKUHARA GINZAは、地上11階地下2階建ての商業、飲食、オフィス、クリニックの複合施設です。
元々この場所には銀座ソニービルの設計者でもある芦原義信氏が手掛けたTHE GINZA(1975年)が建っていましたが、2011年に息子である芦原太郎氏によって建替えられまさた。
ガラスのカーテンウォールには銀座のビルには珍しい木質パネルが散りばめられていて、様々なテナントが集まる森のような建築となっています。

設計:芦原太郎建築事務所
所在地:東京都中央区銀座7-8-10
アクセス:新橋駅より徒歩約5分、銀座駅より徒歩約6分、有楽町駅より徒歩約9分
竣工: 2011年
5.ヤマハ銀座ビル

続いて紹介するヤマハ銀座ビルは、言わずも知れた総合楽器メーカーであるヤマハの旗艦店ビルです。
外観で音を表現することをテーマにデザインされた建築は1500枚近い菱形のガラスパネルが散りばめられていて、個性的な店舗がひしめき合う銀座の中でも独特の存在感を示しています。
時間や天気によって刻々と変化するファサードは、長く見ていると独特のリズムや動きを感じることが出来き、常に新しいことにチャレンジするような企業精神も感じてワクワクしてきます。

設計:日建設計
所在地:東京都中央区銀座7-9-14
アクセス:新橋駅より徒歩約5分、銀座駅より徒歩約6分、有楽町駅より徒歩約9分
竣工:2010年
備考:第53回BCS賞
2012年日本建築学会作品選集
6.Salvatore Ferragamo銀座本店

Salvatore Ferragamo銀座本店は、イタリアの靴職人サルバトーレフェラガモが創業したファッションブランドの旗艦店です。
GINZA SIXの対角に建つこのビルが、戦後日本を代表する建築家である丹下健三氏が手掛けたものであることはあまり知られていません。
地上8階地下1階は低層部に連続する門型のエントランス兼ショーウィンドウとなっていて、待ちゆく人からの視線を意識したデザインとなっています。
また、昼と夜とで全く違った立面デザインになるのも特徴で、まるで建物自体がドレスアップしたように見えます。

設計:丹下都市建築設計
所在地:東京都中央区銀座7-8-2
アクセス:新橋駅より徒歩約6分、銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約8分
竣工:2003年
7.ニコラス・G・ハイエックセンター

ニコラス・G・ハイエックセンターは、スイスに本社を置き、オメガをはじめとする様々なブランドを擁するスウォッチグループの店舗兼オフィスです。
地上14階地下2階の建物は地上階を通り抜けができるパブリックな路上空間しとしつつ、上階は3〜4層ごとに新たな空中地盤を創り出しているのが特徴です。
各フロアが立体的に積層することで、銀座の一等地の限られた敷地を最大限活用しつつ、豊かで奥行きのある風景を創り出しています。

設計:坂茂/坂茂建築設計
所在地:東京都中央区銀座7-9-18
アクセス:新橋駅より徒歩約6分、銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約8分
竣工:2007年
備考:第19回JSCA賞作品賞
■銀座ライオン 銀座七丁目店

ちなみにニコラス・G・ハイエックセンターの2軒隣に建つ銀座ライオン 銀座七丁目店は、現存する日本最古のビアホールとも呼ばれる老舗のビアホールです。
銀座の街から一歩中に入ると様々な装飾が散りばめられた天井や柱、大迫力のガラスモザイクの大壁画、豊穣と収穫をイメージした照明など、どこをみても惚れ惚れとしてしまう素敵な空間が広がります。
お酒にピッタリのちょっと濃い目の味付けの料理、活気溢れるホール空間、キビキビとしたスタッフさんの動きなどと共に昼間からビールを頂く至高の時間が楽しめる銀座のオススメランチスポットです。


詳細記事
・老舗ビアホール「銀座ライオン」 素敵すぎる建築で絶品ランチ
設計:菅原栄蔵
所在地:東京都中央区銀座7-9-20
アクセス:新橋駅より徒歩約6分、銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約8分
竣工:1934年
備考:登録有形文化財
公式HP:https://www.ginzalion.jp/shop/brand/lionginza7/
8.TORAYA GINZA/TORAYA Ginza Building

TORAYA GINZAは、室町時代に創業した老舗の和菓子店とらやの新店舗です。
銀座通りとすずらん通りに挟まれた地上12階地下1階建て複合施設TORAYA Ginza Buildingの4階に設けられた店舗は、多くよとらやの店舗のデザインを手掛けてきた建築家の内藤廣氏によるもの。
赤い左官仕上げのエレベーターホールをでると照明を落としたシックな内装の店舗が広がり、素材の質感を活かした上質なおもてなし空間が広がります。
様々な素材を組み合わせ、細部までこだわり抜いてデザインすることで、伝統を感じつつ今まで見たことのないスタイリッシュで新たな空間をつくりだしているのはさすがの一言。
シックな空間を抜けた先には外部に開いたテラス席が設けられていて、心地よいそよ風と水盤に流れる水のゆらめきを感じながら、絶品の甘味を味わうことができます。


設計:鹿島建設+内藤廣建築設計事務所(TORAYA GINZA)
所在地東京都中央区銀座7-8-17
アクセス:銀座駅より徒歩約5分
竣工:2024年
9.ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店

資生堂銀座ビルのすぐ先に建つルイ・ヴィトン銀座並木通り店は、言わずも知れたファッションブランドであるルイ・ヴィトンの新店舗です。
ゆらめく水面が立ち上がったようなガラスのカーテンウオールは水の柱をコンセプトとしていて、重さも存在感もこれまでの建築とは全く異なる新たな建築の姿が体現されています。
その特徴的な外装は周囲の風景を反射しながら日常と非日常の世界の間を揺れているようでもあります。
個人的には2021年に訪れた約1000ほどの建築の中で最も感動した建築で、銀座の新たなランドマークというに相応しい美しい建築でした。

設計:青木淳/AS+ピーター・マリノ/Peter Marino Architect
所在地:東京都中央区銀座7-6-1
アクセス:新橋駅より徒歩約6分、銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約5分
竣工:2021年
■ルイ・ヴィトン 松屋銀座店

ちなみに中央通りに建つルイ・ヴィトン 松屋銀座店も青木淳氏とピーター・マリノ氏の協働によってデザインされた建築です。
銀座松屋の一角に建てられた店舗はルイ・ヴィトンのモチーフを抽象化した立面デザインが特徴で、昼は太陽の光を絶妙に反射して、夜は仕込まれたライトによって抽象化されたパターンが浮かび上がります。
外皮一枚でここまでできるのかという驚きを楽しめる作品は、すっかり銀座のランドマークとして定着しています。

設計:青木淳/AS+ピーター・マリノ/Peter Marino Architect
所在地:東京都中央区銀座3-6-1
アクセス:銀座駅より徒歩約4分、有楽町駅より徒歩約6分、銀座一丁目駅より徒歩約3分
竣工:2004年
10.GINZA SIX

GINZA SIXは、銀座松坂屋を含む10数の建物の建て替えプロジェクトで、商業、オフィス、ホール、広場などからなる複合施設です。
「ひさし」と「のれん」をイメージしたファサードは日本の伝統的な美意識を想起させつつ、物凄いスピードで変化が求められる商業施設のファサードに対してフレキシビリティをもたらしているのが特徴です。
シンプルな構成ながら、水平に伸びつつ建物を1つにまとめ上げるひさしと、垂直にヴォリュームを分節するのれんを組み合わせることでオリジナリティ溢れる建築を生み出してしまう手腕はさすがのもの。
外観デザイン以外にも、内部の吹抜や屋上庭園など見どころが満載なので、銀座を訪れた際には一度は見ておきたい必見建築です。


設計:谷口吉生/谷口建築設計研究所+鹿島建設
所在地:東京都中央区銀座6-10-1
アクセス:新橋駅より徒歩約8分、銀座駅より徒歩約3分、有楽町駅より徒歩約6分
竣工:2017年
備考:第60回BCS賞
【見逃し厳禁!東京ホテル建築総まとめ】
東京で泊まりたい、建築が素敵なホテル・旅館についてのまとめも書いてます。
【洋館好き必見のイチオシ漫画】
「数寄です!」などの建築漫画で知られる漫画家さんが、水色のかわいい洋館に一目惚れ。
土地ごと売却され、再開発さそれうになった近代建築をなんとか残そうと奮闘するルポ漫画。
業者とのヒリヒリするやりとり、億単位のお金と多くの人を巻き込む責任など、建築保存のリアルな葛藤と闘いが生々しく描かれているイチオシ漫画です。
2023年の3月についに完結!取り壊される洋館がどんな運命を辿るのか、今なら現在進行形で楽しめます。
>Amazonで詳細を見る
11以降も注目の建築を紹介します