今日は東京大手町で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・大手町エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・大手町エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・大手町エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.大手町野村ビル
まずはじめに紹介する大手町野村ビルは、大手町の入口の永代通り沿いに建つ地上27階地下5階建てのオフィスビルです。
建物の南側の立面は、元々この地に建っていた丸ノ内野村ビルディング(設計:佐藤功一/1932年竣工)の立面を継承したデザインとなっているのが特徴で、ランドマークにもなっていた時計塔や尖塔が再現されています。
重厚感のある南側に対して、クリアな印象的の北側のガラスのアトリウムが対比的にデザインされているのも注目です。
設計:大成建設
所在地:東京都千代田区大手町2-1-1
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:1997年
備考:第39回BCS賞
2.大手町タワー
大手町野村ビルの向かいに建つ大手町タワーは、地上38階地下6階建ての事務所、ホテル、店舗、駐車場等の複合建築です。
大手町では2010年以降再開発による高層ビルの建設や古い建物の大型改修が相次ぎますが、その先駆けともいえるのがこちらの建物。
空のブルーを反射させつつ巨大な宝石のように輝く外観デザイン、地下2階から地上に向けて広がる吹抜け空間「プラザ」、周辺も含めた環境と繋がる地上の「大手町の森」など、建物単体だけでなく地下鉄や周辺の広場や街を巻き込んだ複合的で立体的が実現する大手町の新たなシンボル的な建築となっています。
設計:大成建設
外装デザイン:Kohn Pedersen Fox Associates(KPF)
所在地:東京都千代田区大手町1-5-5
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:2014年
備考:第57回BCS賞
第42回東京建築賞 優秀賞
第25回AACA賞 特別賞
3.大手町ファーストスクエア
大手町ファーストスクエアは、永代通りを皇居方面に進んだ先に建つ地上23階地下5階建てのオフィスビルです。
高さ約100mのツインタワーが街区に対して45度の角度で聳え立ち、その間をガラスのアトリウムで繋いだ構成となっていて、低層部の重厚なデザインから徐々にガラスを織り交ぜた近未来的なイメージに変化していくデザインが特徴です。
同時期に竣工した新宿の東京都庁舎は集積回路が外観のモチーフのひとつだとも言われていますが、こちらの建物も東京都庁舎に近いイメージを感じるのが面白いところ。
NTTの建物ということもあり外観デザインにはコンピュータや回路がつくりだす未来のイメージが込められているように思えます。
設計:NTT都市開発+NTT建築部
所在地:東京都千代田区大手町1-5-1
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:1992年(2017年改修)
備考:2018年度グッドデザイン賞(サンクンガーデンリニューアル)
4.大手町ビルヂング
大手町ビルヂングは、まだ戦後の復興期が終わりつつあった1950年代後半に建てられた地上9階地下3階建てのオフィスビルです。
敷地面積10万㎡を超える東西約200mにも及ぶ街区いっぱいに建てられた建物は、当時としては東洋最大級の建物で、戦後復興を象徴する近代ビルでもありました。
大手町の他の建物が次々に高層ビルに建て変わる一方で、こちらのビルは大規模な改修によって元の建物を活かしつつリニューアルしているのが特徴。
素材の組み合わせや立面の面割、近辺のモチーフの引用によって大手町の新たな顔となることが目指されています。
設計:三菱地所
改修設計:三菱地所設計+メック・デザイン・インターナショナル
所在地:東京都千代田区大手町1-6−1
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:1958年(2020年改修)
5.新大手町ビルヂング
新大手町ビルヂングは、大手町の南東エリアに大手町ビルヂングの竣工した翌年の1959年に建てられたオフィスビルです。
こちらも大手町ビルヂングと同様に大規模な改修によって元のビルを生かしたリ・デザインが行われています。
元の建物は力強い躯体の柱が理路整然と並ぶデザインが印象的な建物でしたが、それらの構成を生かしつつ外側にカーテンウォールを付加する手法によって、旧デザインの継承と現代の建物として求められる性能面の向上を両立させています。
設計:三菱地所
所在地:東京都千代田区大手町2-2−1
アクセス:大手町駅より徒歩約3分
竣工:1959年(2001年改修)
備考:第12回BELCA賞ベストリフォーム部門
6.アーバンネット大手町ビル
アーバンネット大手町ビルは、かつて丸ノ内野村ビルディング3号館が建っていた跡地に建てられた地上22階地下5階建てのオフィスビルです。
北西の広場の隅部を切り欠いたロの字型のプランが特徴で、中央の22層吹抜けのアトリウムを中心にぐるりと執務室が取り囲んでいます。
多くのテナントが入居し、変化の激しいフレキシブルなオフィスが求められる中で、変化への柔軟な対応と豊かなオフィス環境を実現している大手町の隠れた名建築です。
設計: NTT都市開発
所在地:東京都千代田区大手町2-2-2
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:1990年
備考:第33回BCS賞
7.東京サンケイビル
東京サンケイビルは、産経新聞東京本社を始めとするフジサンケイグループがはいる地上31階地下4階建てのオフィスビルです。
重厚で伝統的なイメージの建物が大勢を占めた大手町の建物の中で、上階がダイナミックにせり出したガラスの巨大なボリュームは建設当初から大きな話題を呼びました。
大胆な上部に対して実は足元周りのデザインが丁寧になされているのも注目ポイントで、様々な素材を使い分けたり、魅力的な空地を設けたグランドデザインも見どころ満載の建物となっています。
設計:三菱地所+竹中工務店
所在地:東京都千代田区大手町1-7-2
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:2002年
備考:第45回BCS賞
8.大手町プレイス
大手町プレイスは、東京サンケイビルから大名小路を挟んだ向かいに建つオフィス、店舗、駐車場等の複合施設です。
かつて旧逓信省や旧郵政省の建物が建っていた跡地に建てられた高層ビルは、水平強調の深い庇や丸柱などかつての逓信建築のスタイルを現代的なデザインで継承しています。
人々が行き交い、時には憩いの場となるような足元のデザインも注目ポイントで深い庇の下の立体的な広場がとても素敵な建築です。
設計:日本設計+NTTファシリティーズ(ウエストタワー)、日本設計+NTTファシリティーズ+大林組(イーストタワー)
所在地:東京都千代田区大手町2-3-1,2
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:2018年
9.星のや東京
星のや東京は、大手町の中心地に建てられた地上18階地下3階建て総客室数84室のホテルです。
外装のデザインは江戸小紋のモチーフに2重の外装材が重ね合わされたデザインとなっていて、見る方向や時間によって微妙に表情を変えるのがとても魅力的です。
スタイリッシュさと繊細さ、訪れる人への細かい気配りが散りばめられた建築は、オフィス建築が立ち並ぶ大手町においてひと際目立つ存在となっています。
内部は日本文化を最上級のおもてなしで体感できる空間つくりがなされていて、2023年には「世界のベストホテル50」にも選出された、日本を代表するラグジュアリーホテルです。
設計:三菱地所設計+NTTファシリティーズ
内装設計・外装デザイン協力:東利恵/東環境・建築研究所
所在地:東京都千代田区大手町1-9-1
アクセス:大手町駅より徒歩約2分
竣工:2016年
備考:第27回AACA賞優秀賞
2018年照明デザイン賞優秀賞
10.大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
大手町フィナンシャルシティ グランキューブは、大手町の北側エリアに建つ地上 31階地下4階建てのオフィス、店舗の複合施設です。
広大なエリアと事業費のかかる再開発事業を逆手に取り、周辺エリアの街路との関係や防災拠点としての役割などを複合的に考慮してデザインしているのが特徴。
まさに建築が街を作り、エリア全体を含めた賑や国際競争力を向上させることが目指された高度で野心的な建物となっています。
設計:三菱地所設計+NTTファシリティーズ
所在地:東京都千代田区大手町1-9-2
アクセス:大手町駅より徒歩約2分
竣工:2016年
備考:2017年度グッドデザイン賞
11.Otemachi One
Otemachi Oneは、日比谷通りの西側に建てられたオフィス、ホール、ホテル、商業等の複合施設です。
ガラスの外観が印象的なOtemachi Oneタワーは皇居側に建つ三井物産ビルと対比するようにデザインされていますが、日本の木組みや伝統技法をモチーフに日本的な美意識が各所でデザインに取り入れられているのも注目ポイントです。
地下から大階段を上がると皇居の緑や水系が目に飛び込んでくる演出も素敵で、日本の伝統とビジネスの中心地の両方の側面をもつ大手町らしさを存分に味わえる建築となっています。
設計:日建設計+鹿島建設
デザインアーキテクト:Skidmore, Owings & Merrill(SOM)
所在地:東京都千代田区大手町1-2
アクセス:大手町駅より徒歩約1分
竣工:2020年
12.TOKYO TORCH 常盤橋タワー
TOKYO TORCHは東京駅八重洲口の北側にある常盤橋エリアの再開発プロジェクトで、2027年度には高さ約390mのタワーが誕生します。
国家規模ともいえる一大プロジェクトの第1弾として2021年の7月に完成したのが、地上38階地下5階建て高さ約212mの常盤橋タワー。中でも注目の1~3階に入る飲食店街TOKYO TORCH Terraceは、先行整備された広場や日本橋川沿いの景観を取り込むテラス席と一体となるようデザインされていて、食・働・癒の新たな結節点にあることが目指されています。
私が訪れた時は錦鯉のアート遊具をはじめとするパブリックアートが点在していたりと様々な仕掛けやイベントも満載で、これからの東京を象徴するスポットに育っていくことが期待される注目の建築です。
詳細記事
・大手町「TOKYO TORCH」に注目!建築好きがその魅力をレポート
設計:三菱地所設計
所在地:東京都千代田区大手町2-6-4
アクセス:大手町駅より徒歩約5分
竣工:2021年
備考:2022年日本空間デザイン賞入賞
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