旧坂本小学校を見学!貴重な復興小学校を解体前にたっぷりと堪能【東京入谷】

今日は東京入谷にある旧坂本小学校の解体直前に行われた見学会に行ってきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
100年近い歴史を積み重ねた貴重な建築。一体どんな建築だったのか、たっぷりと紹介できればと思います。

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1.解体間際の復興小学校を見学!

旧坂本小学校はJRの鶯谷駅と東京メトロ日比谷線入谷駅のちょうど中間地点にある小学校。
鶯谷駅を出て言問通りを3分ほど歩くと校舎の北側外観が見えてきます。

旧坂本小学校は、1875年に第五中学区第一五番公立小学下谷学校として開校し、1908年に入谷尋常小学校と改称された歴史ある学校。
その後、1923年に起こった関東大震災の復興事業の1つとして、1926年に鉄筋コンクリート造による校舎となり、1996年に閉校となるまで実に70年間に渡って使われ続けてきましたが、2022年3月から解体される予定となっています。

こうした復興小学校と呼ばれる小学校は、関東大震災による教訓から鉄筋コンクリート造の建物が普及するきっかけとなった最初期の公共建築であることや、当時世界で流行していた表現派やインターナショナルスタイルの影響を色濃く残している点合理性や安全性・平等性など当時の最新鋭の学校建築の知見が反映された点などから歴史的にも大変貴重なものとなっています。

また、1939年にはじまる第2次世界大戦の影響で、こうした小学校や公共建築は大正時代から昭和初期のわずかな期間にのみ建築されたということも特徴です。

しかし建設から100年近い年月が経とうとしている現在、老朽化や設備の更新などの理由から現存する復興小学校は段々と少なくなっているのが現状です。
例えば以前上野の建築巡りの記事で紹介した旧下谷小学校(1928年竣工)も、一部を倉庫や地域の交流拠点として活用していましたが、再開発による取り壊しが決まっているそうです。
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一方で高輪にある港区立高輪台小学校(1935年竣工/2005年改修)千代田区立九段小学校(1926年竣工/2018年改修)のように、一部を保存・活用しつつ新しい小学校として生まれ変わる復興小学校もあります。
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千代田区立九段小学校
千代田区立九段小学校(2018年に改修)

旧坂本小学校も様々な関係者の方が保存・活用に尽力されたそうですが、残念ながら2022年の3月より取り壊し工事が行われることになってしまいました。
しかし、取り壊される前に棟下式と呼ばれるお別れ会が企画され、2022年の2月27日・28日に一般の人も参加できる見学会や各種展示・イベントが行われました。(ちなみに1週間前には卒業生による見学会や校内にメッセージを書き込むイベントも行われたそうです。)

私も正直直前まで行くかどうか迷っていたのですが、結果的に歴史の蓄積した貴重な建築を見れただけでなく、坂本小学校に関係した様々な人の思いに触れることも出来き、参加して本当によかったと思っています。

2.内部は工夫溢れるデザインや仕掛けが盛り沢山

言問通りから路地を1本入ると西側にあるエントランスが見えてきます。
北側の立面はかなりシンプルでしたが、メインエントランスとなる西側は、当時流行していた表現派と呼ばれるデザインがハッキリと読み取れます。

尖頭アーチのデザインは、先ほどの九段小学校のように階を跨いで用いられることが多いですが、坂本小学校では1階の庇と一体にデザインすることでなんだか洞窟の中に入り込むこうなワクワク感と安心感を感じます。

入ってすぐの所が昇降口になっていて、中庭の明るい光が差し込んできます。
一度洞窟のような昇降口に入った後に、光に導かれるように子供たちの庭である校庭に繋がっているのは合理的でありながら素敵な演出ですね。

復興小学校は建物をコの字型またはL字型に配して、真ん中に校庭を設ける形式が多用されていましたが、ここ坂本小学校でも南側に開いたコの字型の配置となっています。
こうすることで限られた敷地を効率的に使い、すべての教室に日照を確保しながら、建物から校庭の様子も窺える合理的な小学校が実現しています。

昇降口を右手に進むと職員室、その先に体育館(講堂)が見えてきます。
私は坂本小学校の出身ではないですが、床の感じや備え付けられた器具などに妙な懐かしさを感じます。
小学生の時には遥か遠くに見えたバスケットのゴールも、改めて見てみるとだいぶ低く感じます。

過剰な装飾があるわけではないですが、屋根を支える為の構造体によって斜めにせり出した袖壁のデザインなど、意匠的にもよく考えられているのも素敵です。

校内のいたるところには、子供たちが怪我をしないようにアールがかかったデザインが採用されているもの注目ポイント。
子供は真っすぐ直角には動きませんから、大人数の人が出入りする講堂の入り口としても合理的なデザインです。

主にコの字型の端と入隅部分に設けられている階段も味わい深いです。
こうしてみると光と影のコントラストがとてもうまく効いていて、装飾は決して多くないはずなのに見ていて全く飽きません。

こちらの階段では格子状のカバーがつけられていますが、児童が手すりを滑り台にして遊んだのが問題になったのでしょうか。
古い建築、特に小学校は長い歴史の中で様々に付け足しがされていますが、付け足しにも様々な物語を想像することができて面白いです。

隅部は階段の他トイレにもなっています。坂本小学校では、最新鋭の小学校として当時は小学校では珍しかった水洗式トイレが採用されたそう。
換気の問題もあってトイレは入り隅部でも外側に配置されていたりして、見れば見るほど合理的でよく考えられています。
床の装飾も素敵で、休み時間に子供たちがここに集まっている姿が目に浮かびます。

3.96年の歴史の積み重なった建築をたっぷりと堪能

私が訪れた2月の26日は13時から見学会が開始だったのですが、私が訪れた1時過ぎには既に私のような建築ファンの他にも地元の人や、小学校のOB・OGらしき人などが沢山訪れていました。

校内を歩いていると「私は昭和○○年に卒業して~」などと話しているおじいちゃんの話が聞こえてきたり、改めて色々な人の記憶を内包している場所であったことを感じます。

それぞれの教室、音楽室、理科室、家庭科室…それぞれに色んな人の思い出が残されているのを感じながら各教室を巡っていきました。

中には和室があったりもして、「自分の小学校には和室なんてあったかな?」なんて思ったり、小学生の時には入ることのなかった特別教室裏の準備室を覗いてみたりと、色々な発見があって楽しかったです。

1階にある宿直室やアーチ状の屋上ペントハウスなども見学出来ました。
細かいデザインに知性とこだわりを感じて惚れ惚れしてしまします。

こちらの廊下のステンドグラスはデザインからして後から防煙等の理由で付け加えられたものだと思いますが、校内の雰囲気にピッタリとあっています。
長い建物の歴史の中で変化してきた部分も含めて坂本小学校なのだと改めて感じました。

最後は棟下式の1週間前に卒業生限定で行われた解体前の建物へのメッセージサイン会で書かれたメッセージから1枚。

最初はいくのを迷っていながらも、最後にこの小学校を見学することができて本当に幸せでした。
小学校の取り壊し後の活用方法は未定の部分も多いようですが、この場所が次にどのような場所として生まれ変わるのか、引き続き注目していきたいと思います。

■旧台東区立坂本小学校
設計:東京市
所在地:東京都台東区入谷1-12-8
アクセス:鶯谷駅徒歩約3分、入谷駅徒歩約3分
竣工:1926年
備考:2022年解体予定

■おまけ:同時代の銭湯を改修したCafeレボン快哉湯
今回旧坂本小学校の見学と併せて、ずっと気になっていた銭湯を改修したカフェ「レボン快哉湯」を訪れてきました。

レボン快哉湯は、坂本小学校から歩いて5分ほどの場所に建っていて、竣工も坂本小学校の2年後の1928年とほぼ同時代です。
まさに坂本小学校と併せて訪れるのにピッタリの建物の中には、銭湯の空間を丸々活用したカフェになっています。
「マリアージュ」をコンセプトにした珈琲とアイスのセットはまさに絶品。
古き良き伝統と、新しい時代に向けた革新性の両方を楽しめるおススメのスポットです。

■レボン快哉湯
所在地:東京都台東区下谷2-17-11
アクセス:入谷駅徒歩約2分
竣工:1928年(2020年改修)
営業時間:
 平日 12:00~19:00
 土曜、日曜、祝日 11:00~19:00
座席数:16席
公式HP:https://www.rebon.jp/

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