洗足「勝海舟記念館」近代建築と現代建築の融合した建物を徹底レポート

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こんにちは。建築好きのやま菜です。
今日は大田区洗足に建つ大田区立勝海舟記念館を見学してきましたので、建築好きの視点からその魅力やポイントをレポートしたいと思います。

大田区立勝海舟記念館は1928年に建てられた建物を大田区が記念館として改修した建築です。
築100年近い建物と現代の建物が融合した建築は建築好きであれば一度は見ておきたい超おすすめの建築ですので、建築やアートに興味がある人は是非参考にしてもらえればと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・勝海舟記念館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・勝海舟記念館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・勝海舟記念館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.勝海舟記念館って?そのルーツとは

勝海舟記念館は大田区の洗足池からすぐの場所に建てられた勝海舟の記念館です。
もともと大田区の洗足には勝海舟の別邸である洗足軒(1891年竣工)があり、勝海舟の死後はこの洗足軒は財団法人清明会の講堂として利用されていました。
この清明会が1924年に洗足軒の隣の土地を譲り受けて、1928年には講堂兼図書館として建てられたのが今回紹介する清明文庫(戦後に鳳凰閣と名前が変わる)です。
その後2000年に旧清明文庫は昭和初期に建てられた貴重な近代建築として国登録有形文化財に指定され、2012年に大田区が買い取った後に2019年に大田区立勝海舟記念館としてリニューアルオープンしました。

リニューアルに当たっては既存の建物の東側に増築を行う形で改修がなされ、設計は佐藤総合計画が行いました。
佐藤総合計画といえば、以前の記事で赤レンガの兵器庫を改修した北区立中央図書館を取り上げましたが、近代建築と現代建築を組み合わせた保存・改修プロジェクトを多く行っている設計事務所でもあります。
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今回改修された建物も元の建物を保存しつつ、新たに増築された新築部分とのコントラストが面白い建築になっています。

2.早速見学!当時の姿を復元した旧建築と現代的な増築部分がマッチする建築

洗足駅を降りて洗足池を横目に5分ほど歩くと勝海舟記念館に到着です。
外観は中央の4本の小尖塔にネオゴシック建築の影響がみられるほか、当時世界中で流行していたアールデコ建築の特徴を見ることができます。当時の建物の多くは取り壊されてしまっている中で、これだけでもかなり貴重です。
右手の部分が新しく追加された増築部分ですが、元の建物の外壁面からセットバックしつつ、ガラスとステンレスのシンプルな外装となっています。

外部扉もいかにもエキゾチックなデザインです。扉の装飾も見ごたえがあるのですが、扉を取り囲む外壁部分も丁寧にタイルが貼られているのも注目です。

外壁は改装前はもともとの仕上げの上に塗装がなされていましたが、今回の改修に合わせて塗装材を剥がして竣工当初の仕上げに戻しています。
改修前はのっぺりいた印象でしたが、現在は骨材や表面を掻き落としたザラザラした仕上げとなっていてより素材感を感じることができます。

ちなみに東側の増築部分の側面はこんな感じです。
正面は主張を抑えるためになるべくシンプルなデザインに抑えられていましたが、こちらの東面はガラスが主張しています。元の建物が堅牢なイメージの分そのコントラストが鮮やかに見えます。
増築部分はボリュームを複数に分けつつ段々と続くように高くなっているのもいいですね。

3.内部に潜入!まずは増築部分は清明文庫を際立たせるための工夫がいっぱい

続いて増築部分のエントランスを通って内部を見学していきます。
建物内部の構成としては旧建物部分が展示室、増築部分には受付やトイレ、エレベータ、(小さいですが)ミュージアムショップと明確に機能が分離されています。

増築部分の内装はとても現代的で白と黒を基調としたシンプルなデザインです。
これによって清明文庫部分がより際立つようになっているほか、トイレやエレベータ、ロッカー等新たに追加する機能を増築部分に一手にまとめることで元の建物をなるべく壊さないで済むように工夫されています。

受付で大人300円のチケットを購入して早速1階の展示室を巡ります。
ちなみにこの勝海舟記念館は多くの部分で写真撮影が許可されているのですが、1階の展示室部分は写真NGでした。
勝海舟については教科書で習った程度の知識しかなかったのですが、展示内容はどれも興味深くて勉強になりました。
展示スペースは小さいので1階部分の展示は20分~30分もあればすべて見終えることができます。

4.新旧の建物が交錯する吹き抜けが面白い

続いて注目したいのが旧建物と新建物が合わさる接続部分の吹抜けです。
東側に作られた増築部分は旧建物の外壁がそのまま建物の内装になっていているのがとても面白いです。

この吹抜けは貴重な近代建築の外壁の一面が堪能できるという効果もありますし、面積が限られる増築部分のスペースをより広く、開放的にする効果も持っています。
こういった改修建築は新旧のデザインがクロスする場所に注目してみると面白いのですが、勝海舟記念館はそのあたりの見せ方がとてもうまいです。

屋根部分はガラス屋根になっていて優しいカーテンがかけられているのですが、建物の外部のようで内部という不思議な空間体験ができます。
増築されたスマートな現代建築で休憩していて、ふと振り返ると近代建築が眼前にあるという体験はなかなか面白かったです。

5.当時の面影を残す内装を堪能!

続いて正面の階段室部分を通って2階の展示室に向かいます。
ここからは旧建物ゾーンに入るのですが、復元された当時の建築が堪能できます。

まず階段室の注目ポイントは1階エントランス床面のアールデコ調のタイルです。シンプルでかわいらしくてそれていて品のあるデザインです。
続いてエントランスから続く階段室では片側には泰山風のタイル、もう片側には木製の手すりがありどちらも注目です。

階段を上ると貴賓室が見えてきます。
貴賓室の床はほかの場所と異なって何種類もの木を組み合わせた寄木貼りになっています。こちらは当時のものの再現ですが、その豪華で細かなつくりは必見です。

奥に見える枠に入っているのが当時の床です。手前の建物本体の床は当時使われていたものと同じ樹種の木を使って復元したもの。こちらは残念ながら中には入れません。

2階の講堂はアールデコ調の内装が特徴的で、濃いめの木を使った腰壁と上部のホワイトのコントラストがとても上品な雰囲気です。

こちらは断面模型。当時の建物の使われ方がよくイメージできます。
階段室・貴賓室・講堂はかなり当時の姿に近いことも確認できます。

2階の展示室はこの建物自体の解説やかつてあった勝海舟の別邸である「洗足軒」の模型展示なども多く展示されていて、建築好きとしては興味深い内容が多かったです。

建物を満喫した後は洗足池の周りを散策してこの日の建築巡りを終えましたが、想像を上回る建物のクオリティに大満足な1日となりました。
勝海舟というと歴史上の人物ということであまり興味のないという方もいるかもしれませんが、この勝海舟記念館は建築好きであれば一度は訪れてみたい超おすすめスポットでした。

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勝海舟記念館
設計:佐藤総合計画
所在地:東京都大田区南千束2-3-1
アクセス:洗足駅より徒歩約5分
竣工:1928年(2019年増築)
営業時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
定休日:毎週月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始ほか
入館料:一般300円、小中学生100円、65歳以上240円
公式HP:https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hakubutsukan/katsu_kinenkan/index.html


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