建築家 隈研吾がデザインした東京都内のおススメ作品40選

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今日は建築家隈研吾氏&隈研吾建築都市設計事務所が手掛けた東京都内のオススメ建築についてレポートしたいと思います。
隈研吾氏といえば新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅などの建築を手掛け、今や日本で一番有名な建築家といっても過言ではない建築家です。

東京都内には隈研吾氏の手掛けた建築が数多くありますが、ここでは私が訪れた建築の中から40作品に厳選しておススメ建築を紹介していきたいと思いますので、建築巡りの参考やバーチャル建築ツアーとしてお楽しみ下さい。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築や街を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・隈研吾氏が関わった建築を写真と文字でレポート
・隈研吾の東京都内のおススメ建築作品が分かる
・隈研吾の建築の見どころや注目ポイントを解説

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1.ドーリック南青山ビル

まず初めに紹介するドーリックは、ギリシャのドリス式の柱が巨大化し、そのまま建築になったような一風変わったビル。
この作品は隈研吾氏が1990年に独立して事務所を立ち上げた最初期に手掛けた作品です。
当時、新進気鋭の若手建築家として活動し始めていた隈研吾氏は、ポストモダンの理論を使ってこのような建築を次々と発表し、注目を浴びていきました。

バブル崩壊と共にポストモダンの建築が終焉を迎えると、隈研吾氏は今までの理論とはむしろ正反対の、環境に溶け込む建築・自然の素材を使った建築家に転身することになります。
現在では日本建築界の大家となった隈研吾氏のルーツを知る上では欠かせない建築です。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都港区南青山2-27
アクセス:外苑前駅より徒歩約3分
竣工:1991年

2.M2ビル

続いて紹介するM2ビルは、先程のドーリック共に建築界で隈研吾氏の名を一躍有名なものとした出世作ともいえる作品です。
M2はマツダのMを表していて、元々は自動車メーカーマツダの拠点として建てられましたが、現在は売却されて葬祭場として使われています。

ドーリックがドリス式の柱を形どった建築だったのに対して、M2はイオニア式と呼ばれる様式のデザインが特徴。

カオスな東京にさらなるカオスをつくりだしたという建築は、発表当初から賛否両論の大議論を巻き起こし、色々な意味で隈研吾氏の代表作となりました。

M2ビル(東京メモリードホール)

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都世田谷区砧2-4-27
アクセス:千歳船橋駅より徒歩約12分
竣工:1991年

3.梅窓院

外苑前駅から程なく歩いたところに建つ梅窓院(ばいそういん)は正式名称を長青山宝樹寺梅窓院といい、青山という地名の語源にもなった由緒ある寺院です。
梅窓院は2003年に建築家隈研吾氏を中心に大規模な再生プロジェクトが行われ、新たな都市のコミュニティ施設をコンセプトにホールや事務所、集合住宅が建築されました。

まず注目したいのは寺院へのアクセスする竹林。この竹林は後の隈研吾氏の作品に度々登場するモチーフですが、ここでは青山通りの喧騒から宗教空間へとワープするトンネルの役割を担っています。

こちらの寺院棟では現代的な素材を使いながらも、彫の深い素材やルーバーを使って陰影を生み出したり、屋根が延長して建物全体をまとめ上げるといった隈研吾氏得意のデザイン手法を随所にみることができます。

その他にも、境内の一部に一般定期借地権を設定して事務所や共同住宅をつくるなど、都心の寺院の再生手法としても面白い取り組みをしています。

設計:隈研吾建築都市設計事務所+長谷工コーポレーション(寺院・住居棟)、松田平田設計(事務所棟)
所在地:東京都港区南青山2-26-38
アクセス:外苑前駅より徒歩約3分
竣工:2003年
公式HP:https://www.baisouin.or.jp/

ちなみに梅窓院のすぐ向かいに隈研吾事務所があることもあって、外苑前には隈事務所が設計を手掛けた建物がいくつもあります。

隈事務所の入るBY-CUBEビル

■エスコルテ青山
例えば外苑前駅を出てすぐの所に建つNTT青山ビルの低層部の改修プロジェクトであるエスコルテ青山。
こちらの建築は、2つの道路に接するL字の敷地に新たな地形と屋根をつくることによって建築と都市の関係をつくりだしているのが特徴。

物質的な建築部材だけではなく、光や影、人々の動線といった目に見えないものも上手くコントロールし、デザインに取り入れているのも面白いです。

改修設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都港区北青山2-7-15
アクセス:外苑前駅より徒歩約1分
竣工:2004年(改修)

4.JR渋谷駅改修

続いて紹介する渋谷駅は常に工事をしながら整備・拡張している駅舎でもありますが、安藤忠雄氏や内藤廣氏など日本を代表する建築家のデザインした建築を一挙に見られる建築パワースポットでもあります。

隈研吾氏は2003年にJRのハチ公口のファサードデザインを行っていて、特殊なガラスを使った印象的な空間がハチ公前の広場から堪能できます
巨大な広告で半分隠れてしまっているのが少し残念ですが、ガラスのファサードに雲の写真がプリントされていて、駅内部を透過したり、空を反射したりと不思議な風景をつくりだしています。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都渋谷区道玄坂
竣工:2003年(改修)

5.ONE表参道

ONE表参道は表参道の交差点から目と鼻の先に建つ店舗・オフィスの複合ビルです。
けやき並木の上に伸びるカラマツの木製ルーバーが特徴的な建築は、2000年代前半の隈研吾氏の作品の代表作ともいわれています。

低層部を表参道にふさわしい徹底的なガラスの開口部と広告スペースとしつつ、上層部はガラスの表面にルーバーを設けることで並木道への緩衝材としているのが注目ポイント。
ガラスをルーバー越しに見せることで上層部の存在感がより不確かになっていく様は、実際に現地で見てみるととても不思議な感覚を覚えます。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都渋谷区神宮前5-9-11
最寄駅:表参道駅より徒歩約2分
竣工:2003年

6.東雲キャナルコートCODAN

東雲キャナルコートCODANはUR都市機構によって江東区の東雲(しののめ)の工場跡地に創られた2000戸からなる集合住宅です。
東雲キャナルコートは6街区からなる各棟を日本を代表する建築画である山本理顕氏、伊東豊雄氏、 隈研吾氏などが手掛けていて、まるで建築テーマパークのような集合住宅群が大きな話題となりました。

それぞれの一流建築家が、集まって住まうこと、地域コミュニティ、住むことと働くこと、都市に集まって住まうことについてそれぞれのアンサーを試みていてとても興味深い建築群となっていて、隈研吾氏は3街区を担当しています。

軒が連続しながら伸びるようなデザインは、シャープで近未来的でありながら、屋根や軒下空間といった日本的なキーワードを追求してきた隈研吾氏のテーマとも繋がる注目ポイント。

特徴的な軒下空間だけでなく「離れ」がある住戸タイプ屋上菜園を持つ住戸タイプなど、多様な住まい方を許容する住宅が試みられていることも興味深いです。

基本計画:都市基盤整備公団
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所+RIA(3街区)
所在地:東京都江東区東雲1
アクセス:辰巳駅より徒歩約5分
竣工:2003年~2005年

7.ティファニー銀座

ティファニー銀座は銀座通りの中ほどに建つ1987年に竣工のビルを改修してつくられた宝飾品ブランド ティファニーの旗艦店です。
292枚にも及ぶパネルが微妙に角度を変えながら散りばめられた外観は、まさに宝石のようです。

「建築も表情を持つ」ということがたっぷり実感できる建物は、個性的な建築がひしめき合う銀座においてもひと際印象的に見えます。
一見単純に見える操作でデザインされた建物ですが、外観と通して街と建築の関係を問い直し、銀座の街並みに新たな表情をつくり出している銀座の隠れた注目建築です。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所+大成建設
所在地:東京都中央区銀座2-7-17
アクセス:銀座駅より徒歩約5分、有楽町駅より徒歩約6分、銀座一丁目駅より徒歩約2分
竣工:2008年(改修)

8.根津美術館本館

根津美術館本館は、表参道駅から程なく歩いた所に建つ美術館です。
表参道という都心の真ん中に建ちながら、路地状の通路や軒下空間を巧みに活用し、庭園の緑や空といった自然を巧みに建築と一体化するなど2000年以降の隈研吾氏の真骨頂ともいえる建築となっています。

伝統を意識した純和風のデザインですが、ガラスや金属といった現代的な素材を上手く活用・対比させているのも注目ポイントで、収蔵される美術品だけでなく建築の味わいも一級品の美術館です。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都港区南青山6-5-1
アクセス:表参道駅より徒歩約8分
竣工:2009年
公式HP:https://www.nezu-muse.or.jp/

9.玉川髙島屋S.C

二子玉川に建つ玉川高島屋S.Cは隈研吾氏の外装改修案件と新築案件が同時に2つも見られる注目の建築スポットです。

こちらの本館は2010年に大規模なリニューアルが行われ、建物の前面にうねるようなルーバーが連続するアーケード空間が追加されました。
このアーケード空間は手前に建つ南館の外部空間のコンセプトを継承しつつ、新たな髙島屋を象徴するインパクトと美しさを感じます。

また、極薄のアルミ板の連なるデザインは、中に入ると緑と光の溢れる魅力的な空間となっていて、街や建築を回遊する楽しさを存分に味わうことができます。

本館の奥に建つ玉川高島屋S.C マロニエコートは本館の改修官僚の前年に建てられた店舗。
建物の全面はステンレスメッシュとメッシュにはう植物によって覆われていて、街に対してやわらかな表情と境界をつくりだしています。

建築単体だけでなく、先程の本館と合わせて魅力的な都市空間・景観を形つくりだしていて、まさに髙島屋が二子玉川の成長と発展の立役者的な建物となっているのがよく伝わってきます。
竣工から10年以上経っていますが、きちんとメンテナンスも行き届いていて、とても好印象な建築でした。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都世田谷区玉川
アクセス:二子玉川駅より徒歩約1分
竣工:2009年(マロニエコート)、2010年(本館ファサード改修)
備考:2004年度グッドデザイン賞(南館)
公式HP:https://www.takashimaya.co.jp/tamagawa/sc/

10.赤城神社・パークコート神楽坂

赤城神社・パークコート神楽坂は神楽坂駅の北口を出て1分ほどの場所に建つ神社と集合住宅です。
赤城神社は鎌倉時代の1300年(正安2年)に創建された由緒ある神社で、2010年に老朽化などの理由から「赤城神社 再生プロジェクト」として大規模な建て替え工事が行われました。
建て替えに際しては、建て替え資金を賄うために神社の土地の一部を使って約70年の定期借地権を持つ分譲住宅が計画されたことが大きな特徴。

和の要素とガラスとアルミといった現代的な素材を組み合わせた建築は、伝統と革新の両方を突き詰める隈研吾氏のデザイン思想がよく表れています。
膨大な知識や経験をもとに生みだされる神社のデザインは、無駄な部分がそぎ落とされたとてもシンプルな姿ですが、この神社にしかないシャープさと美しさを持っています。

詳細記事
・赤城神社がスゴい!隈研吾氏デザインの新し過ぎる神社をレポート【東京神楽坂】

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都新宿区赤城元町1-10
アクセス:神楽坂駅より徒歩約3分
竣工:2010年

■都住創ラスティックビル
ちなみに赤城神社から西に5分程歩いたところには都住創ラスティックビルという隈研吾氏の最初期の作品があるので、訪れた際には合わせて見学することをおススメします。

都住創ラスティックビルは地上7階全10戸の共同住宅で、初期の隈研吾氏の作品に共通するコンクリートを多用したポストモダン的な要素を随所に見ることができます。

例えば道路際のには崩壊する過程のような柱の装飾があしらわれていて、出世作でもあるM2(イオニア式の柱を巨大化したような建築)やドーリック(ドリス式の柱を巨大化したような建築)の直前の建築としてみると一層興味深い建築です。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都新宿区天神町77-5
アクセス:神楽坂駅より徒歩約5分
竣工:1990年

11.Mesh / Earth

小さなスケールの隈研吾作品として見逃せないのが芝公園のすぐお隣の敷地に建つMesh/Earthです。

芝公園という都心の真ん中に建てられた3階建ての建物は、10億円を超える戸建て住宅として知る人ぞ知る有名邸宅で、日本の中でも指折りの超高級物件となっています。

Meshの名の通り超高級物件でありながら外観に重厚さは一切なく、スチールのメッシュが幾重にも重ねられたシャープなイメージなのも面白いところ。
以前このブログでも宝積寺駅前グリーンシェルターという栃木の隈研吾氏の作品を紹介しましたが、この建築もグリーンシェルターにも通じるデザイン手法によって、まるで霞のように環境に溶け込むデザインとなっています。
隈氏と言えばある時期から「負ける建築」を標榜していますが、まさにそんな隈研吾氏の負ける建築としての設計思想を存分に堪能できる建築です。

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都港区芝公園
アクセス:浜松町駅より徒歩約8分
竣工:2011年

12.浅草文化観光センター

浅草文化観光センターは雷門の目の前に建つ地上8階地下1階の観光センターです。
交差点角地の約300㎡の小さな敷地に観光案内所や多目的ホール、会議室、展示室、展望テラスが積層され、平屋の木造住宅が積み重ねられているようなデザインが印象的な建物です。
この平屋の家屋が積み木のように積み重なったデザインには、隈研吾氏が長年キーワードにしてきた屋根というテーマがよく表現されています。

積み重なった屋根の下では「閉じながら開く」「開きながら閉じる」といった日本古来の建築を彷彿させる建築手法が巧みに取り入れられているのにも注目です。

用途も観光センターなので、まずは内部も合わせてこちらの建築を見学して、その後は浅草の街に繰り出してみるのもおススメです。
詳細記事
・隈研吾氏が設計した浅草文化観光センターを徹底レポート【東京浅草】

設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都台東区雷門2-18-9
アクセス:浅草駅より徒歩約1分
施工:2012年

13.KITTE丸の内/JPタワー

KITTE(キッテ)丸の内は、東京駅前の東京中央郵便局を保存・修復・建替えをして建てられたJPタワー内に入る商業施設です。

JPタワーは1931年に建てられた東京中央郵便局の一部を保存・修復してつくられた建築ですが、隈研吾氏はこちらのJPタワー内の商業施設部分であるKITTEの改装デザインを手掛けています。
元々建物の北東部分が大きく切り取られた特徴的な敷地に建っていた東京中央郵便局ですが、改修に当たって隈研吾氏はこの敷地・建物形状を上手く利用して、象徴的な三角形のアトリウムをつくりだしました。

旧来の柱を光の柱で再現した「メタルチェーン」や、中央郵便局の柱の跡を取り入れた足元のデザイン、新旧の素材の対比など古い建物を活かしつつ、魅力的な商業施設を演出する仕掛けも満載です。
詳細記事
・JPタワーに潜入!近代建築の名残からKITTEまで魅力の建築をレポート【東京丸の内】

KITTE内装:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
建物設計:三菱地所設計
原設計:吉田鉄朗
所在地:東京都千代田区丸の内2-7-2
最寄駅:東京駅より徒歩約1分
竣工:2012年(1931年)
備考:第56回BCS賞
第24回BELCA賞ベストリフォーム部門
KITTE公式HP:https://marunouchi.jp-kitte.jp/

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次ページからは2011年以降の建築を紹介します

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