今日は東京都の葛西エリアで建築巡りをしてきましたので、そこで出会ったオススメの建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・葛西エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・葛西エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・葛西エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.西葛西アパートメント(駒田建築設計事務所)
西葛西アパートメントは2000年に建てられた西葛西APARTMENTSと、18年後に建てられた西葛西APARTMENTS-2、2つの間にあるの間にある共有スペース「7丁目PLACE」から成る建築群です。
まるで街の中にできた渓谷のように、地域の人やこの建築を訪れた人が憩えるスペースになっていて、私が訪れた人も子供が走り回ったりロードバイクを停めて休憩している人がいたりと賑わっていました。
西葛西アパートメントの中でも特に注目なのが、西葛西APARTMENTS-2の1階につくられたゴンノ ベーカリー マーケット(gonno bakery market)です。
こちらのベーカリーは設計者である駒田建築設計事務所が企画から設計、さらに運営まで行うベーカリー。
内部は十字壁を使った構造形式により可能となった大開口やフレキシブルなプラン割が特徴で、これから時間をかけて地域に根差していくのが楽しみな建築となっています。
詳細記事
・葛西「ゴンノベーカリー」街に開いた名建築パン屋さんを徹底レポート
設計:駒田建築設計事務所
所在地:東京都江戸川区西葛西7-29-10
アクセス:西葛西駅より徒歩約10分
竣工:2018年(西葛西APARTMENTS-2)、2000年(西葛西APARTMENTS)
備考:ローカルリパブリックアワード2019入選
2019年度グッドデザイン賞受賞
2020年度日本建築学会作品選集
2.モクビル南葛西(スターツCAM+加藤詞史)
モクビル南葛西は、葛西駅から環七通りを南下したところに建つ地上9階建ての集合住宅です。
最大の特徴は、建物の下5階が鉄筋コンクリート造、上4階が木造の混構造となっていること。
上部を木造とすることで建物の重量を減らしつつ基礎を小さくした経済的な設計を実現し、その分の費用で免震装置を付加した手法は、新たな都市型住宅の可能性を示しています。
設計:スターツCAM+加藤詞史/加藤建築設計事務所
所在地:東京都江戸川区南葛西2-4-5
アクセス:葛西駅より徒歩約15分
竣工:2022年
3.D-RESIDENCE(中尾英己建築設計事務所)
環七通りをさらに進んで、左近通りを左折した先に建つD-RESIDENCEは、地上3階建てのベーカリー、コインランドリー、住宅の複合施設です。
1階のSANBON BAKERYでは、浮遊感のある軒やグレーに塗られた軒下の外装によって、街と建築の中間領域の縁側のようなデザインとなっているのが面白いです。
そうしてみると、障子のようなガラスのカーテンウォールや段々に連なる奥性のあるテラスなど、スタイリッシュでありながら日本の伝統建築から受け継いだ要素がさり気なくデザインされているのが素敵です。
テイクアウトの他、店内のカフェスペースやテラス席もあるので、建築巡りの合間の休憩スポットとしてもオススメの建築です。
設計:中尾英己建築設計事務所
所在地:東京都江戸川区南葛西2-24-2
アクセス:葛西駅より徒歩約25分
竣工:2020年
4.魔法の文学館
魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)は、魔女の宅急便などの作品でも知られる童話作家の角野栄子氏の名を関した児童文学館です。
江戸川沿いの公園の丘の上に建てられた建物は、白い外壁に花びらのような屋根が立体的に折り重なったようなデザインが特徴です。
館内に入ると雰囲気が一変。角野氏の作品の世界観をイメージしたというメルヘンチックなピンク色の空間が広がります。
公園の緑や空を取り込みつつ、物語の世界に誘う空間は見どころが満載。
小さなスケールの様々な要素が折り重なり、対比されたり調和しながら非日常的な世界観を実体化している建築に注目です。
詳細記事
・葛西「魔法の文学館」本の世界に誘う素敵な児童文学館
建築設計:隈研吾建築都市設計事務所
内装デザイン監修:くぼしまりお
所在地:東京都江戸川区南葛西7-3-1なぎさ公園内
アクセス:葛西駅よりバスで約10分
竣工:2023年
開館時間:9:30~17:30
休館日:火曜、年末年始
入館料:
一般(15歳以上)700 円
こども(4歳~中学生)300円
備考:原則事前予約制
チケットは江戸川区民割引などあり
公式HP:https://kikismuseum.jp/
5.葛西臨海公園
都民の憩いの場として多くの人が訪れる葛西臨海公園ですが、実は建築家谷口吉生氏の建築作品が一挙に3作品も見られる建築好き必見の公園でもあります。
□葛西臨海水族園
葛西臨海水族園はドーナツ型の大水槽を回遊するクロマグロが有名で、オープンから約30年でのべ約5500万人が訪れた関東を代表する人気の水族館。
この建築は入口から変わっていて、水族館の入り口には約30mの巨大なドームと水盤があるのみ。水盤は目の前の東京湾と連続するようにデザインされていて、水盤の下に入ることによってまるで海の中に入っていくような体験ができる水族館となっています。
谷口氏の建築はガラスとコンクリートというモダニズムの素材を使いながら、日本古来からの建築要素や周辺環境との関係性を巧みに建築に反映させていていて、まさに日本の現代建築の一つの完成形ともいえます。
設計:谷口吉生/谷口建築設計研究所
所在地:東京都江戸川区臨海町6-2-3
アクセス:葛西臨海公園駅徒歩約5分
竣工:1989年
開園時間:9:30~17:00
休園日:水曜日、年末年始
入園料:
一般 700円
中学生 250円
65歳以上 350円
□展望レストハウス クリスタルビュー
公園の中央園路の先に建つ展望レストハウス クリスタルビューも谷口氏がデザインした建築。
地上に見えるガラス部分が東京湾や公園を見渡せる展望台、地下部分がカフェや休憩スペースとなっていて、建物内を回遊しながら360度のパノラマ風景を楽しめます。
設計:谷口吉生/谷口建築設計研究所
所在地:東京都江戸川区臨海町6-2-1
アクセス:葛西臨海公園駅徒歩約5分
竣工:1995年
開園時間:9:00~17:00
休園日:年末年始
入館料:無料
□水上バス待合所
谷口建築の3つ目はこちらの水上バス待合所。
軽やかの屋根とガラスの箱によるシンプルなデザインは、小さいながら谷口氏の魅力が凝縮されているようです。
少し離れてみると空中に浮いているかのような白い屋根は建物から見妙に縁が切られていて、船上のデッキに建つ帆のような軽やかさがあります。
こちらの待合所は水族園やクリスタルビューと比べるとマイナーな存在ではありますが、葛西臨海公園の建築巡りの際には是非訪れてほしい名建築です。
設計:谷口吉生/谷口建築設計研究所
所在地:東京都江戸川区臨海町6-2
アクセス:葛西臨海公園駅徒歩約7分
竣工:1993年
ちなみに葛西臨海公園の建築についてはこちらの記事で詳しくレポートしていますので、興味のある方は是非合わせてご覧ください。
詳細記事
・葛西臨海公園は建築に注目!名建築が一挙に巡れる公園を徹底レポート
ちなみに葛西臨海公園の駅前には「パークアウトドア」をコンセプトにした施設もFfがオープンしました。
内部は1階はコンビニとスターバックスコーヒー、5つの飲食店が集うフードホール、2階にはアウトドアブランドのノルディスクや宮古島発の人気ハンバーガー店、オープンスペースが入っています。
高架下にフィットするように建てられた建物が水平の建物が高架とマッチして、葛西臨海公園の新たな顔になりつつあります。
縁側のようなバルコニーや、高架を屋根に見立て、その下に集う家族を表現したアイディアなど面白い見所が満載の建物となっています。
詳細記事
・葛西「Ff」葛西臨海公園駅の高架下にできた新施設をレポート
所在地:東京都江戸川区臨海町6-3-4
アクセス:葛西臨海公園駅徒歩約1分
竣工:2021年
公式HP:https://ffffff.sc/
6.EN4185(篠原聡子/空間研究所)
EN4185は、西葛西駅と葛西駅の中間エリアに建つ地上5階建て総戸数13戸の集合住宅です。
コンクリートの躯体とメタルの外装がスタイリッシュなデザインですが、内部は天井高4mのメゾネットタイプの住宅があったり、バイクを持ち込める部屋があったりと、限られたスペースの中で都市生活を楽しむ仕掛けが満載です。
設計:篠原聡子/空間研究所
所在地:東京都江戸川区中葛西4-18
アクセス:西葛西駅より徒歩約12分、葛西駅より徒歩約10分
竣工:2006年
7.東京ガス ライフバル江戸川(鹿島建設)
続いて紹介する東京ガス ライフバル江戸川(タグボート・ビルディング)は、地上4階建てのオフィスビル兼ショールームです。
タグボート(港などの狭いエリアで大型船を引く曳舟)の名の通り、都心の狭小地を優雅に進む船のようなデザインが特徴の建築となっています。
また、設計者の押野見邦英氏は八重洲センターやこの建物と同年に竣工した赤坂のノアビルの設計でも知られていますが、角地を活かしたカーブする外壁や帯状の水平窓などの共通点も興味深いです。
設計:押野見邦英/鹿島建設
所在地:東京都江戸川区江戸川6-18-4
アクセス:葛西駅より徒歩約25分、船堀駅より徒歩約16分
竣工:1985年
8.平成庭園・源心庵(日建設計+野村加根夫設計事務所)
平成庭園・源心庵は、船堀街道沿いにある行船公園内につくられた日本庭園と数寄屋造りの建物です。
行船公園は、昭和初期に地元の政治家であった田中源氏が東京市へ寄付した公園がルーツとなり、戦後の1950年に東京都から江戸川区の管理へと移行しつつ整備されてきた公園です。
1980年代には動物園が開業したり、1989年(平成元年)の大規模整備が行われ、現在の形となりました。
池畔を中心に都心にあるとは思えない自然や、池湖に張り出した月見台をもつ本家的な数寄屋建築など隠れた魅力が満載のスポットです。
設計:日建設計+野村加根夫設計事務所
所在地:東京都江戸川区北葛西3-2-1
アクセス:西葛西駅より徒歩約20分
竣工:1989年
9.クレッセント船堀(プラネットワークス)
クレッセント船堀は、船堀街道を北に程なく進んだところに建つ地上11階建て総戸数93戸の集合住宅です。
建物配置上、街道沿いの立面は共用廊下や階段室といった本来裏方となるような要素で占められていますが、5種類のガラスと金属スクリーンによって美しさと変化に富んだデザインとなっています。
バルコニーのある東側のシンプルなデザインと、街道側の多様な要素が調和するデザインの対比も魅力的です。
設計:プラネットワークス
所在地:東京都江戸川区字宇喜田町1125-1
アクセス:船堀駅より徒歩約7分
竣工:2009年
備考:2010年度グッドデザイン賞受賞
10.T邸(大塚聡)
T邸は、閑静な住宅街の中に建つ地上3階建ての店舗併用住宅です。
ガリバリウム鋼板のスタイリッシュな外観が特徴的な建物ですが、1階は駄菓子コーナーのあるもんじゃ焼き屋さんとなっていて、昭和み溢れる木質の空間となっています。
限られた敷地いっぱいに建てられた建物の内部は、吹抜けなどを組合せながら立体的な豊かさがデザインされています。
設計:大塚聡/大塚聡アトリエ
所在地:東京都江戸川区船堀6-1-10
アクセス:船堀駅より徒歩約7分
竣工:2000年
11.江戸川区立船堀小学校(石本建築事務所)
船堀街道を船堀駅のすぐ手前まで歩いたところに建つ江戸川区立船堀小学校は、格子状のテラスが特徴的な地上4階建ての小学校です。
設計を手掛けたのはこのブログでも数々の作品を取り上げている学校建築の名手 石本建築事務所。
生徒たちの日常を切り取るスクリーンであり舞台のようでもある南側外装や、中庭に面してボックス状のスペースが大きくせり出していたりと、学校生活そのものが建物の表情となるようなしかけが満載の建築です。
設計:石本建築事務所
所在地:東京都江戸川区船堀2-22-22
アクセス:船堀駅より徒歩約3分
竣工:2015年
12.タワーホール船堀(岡設計+日本設計)
最後に紹介するタワーホール船堀は、船堀駅北口に建つ店舗、ホール、結婚式場、展望台等の複合施設です。
緩やかなカーブを描く7階建てのボリュームと帆柱を思わせる展望タワーは船のイメージを元にデザインされていて、内部は巨大な吹き抜けによって上下に繋がれているのが特徴です。
高さ100mを超える展望台では、360度の絶景が広がり葛西だけでなく都心のビル群や千葉まで見通すことができます。
都内でも珍しい展望台としての建築は、知名度こそ高くはありませんが、一度は訪れてほしい隠れ名スポットです。
設計:岡設計+日本設計
所在地:東京都江戸川区船堀4-1-1
アクセス:船堀駅より徒歩約1分
竣工:1999年
展望台料金:無料
公式HP:https://www.towerhall.jp/
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