今回は2022年にオープンした東京都内の建築&スポットを紹介します。
2022年も著名な建築家による注目プロジェクトから、大規模な設計事務所の作品まで様々なスポットがオープンしましたが、この記事ではそれらの建築を実際に訪れてみて感じた感想や注目ポイントについてレポートしたいと思います。
尚、2020年~2024年オープンの建築については以下の記事にまとめてありますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
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【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・2022年にオープンした著名な建築家がデザインした建築をまとめ
・2022年にオープンした注目建築を写真と文字でレポート
1.(tefu) lounge(2022年1月OP)
まず初めに紹介する(tefu) loungeは、2022年1月に下北線路街に新たに生まれたレンタルオフィス、カフェラウンジ、ミニシアター等の複合施設です。
立体的な路地によって下北沢の街を繋ぎ、様々な人々が交錯する仕掛けや工夫が随所に散りばめられているのも特徴で、アップデートの進む下北沢を象徴するような建築です。
駅前の広場空間を使ったイベントや、すぐ先にあるBONUS TRACKやシモキタエキウエとの繋がりも含めて下北沢の様々なモノ・ヒト・コトのハブのような施設となっています。
設計:UDS
インテリアデザイン監修:福田和貴子
家具デザイン:BULLPEN+未来創作所
所在地:東京都世田谷区北沢2-21-22
アクセス:下北沢駅より徒歩約1分
竣工:2022年
公式HP:https://www.te-fu.jp/shimokita
2.ミカン下北(2022年3月OP)
続いて紹介するミカン下北は、京王電鉄の高架下空間に建てられた複合施設です。
ミカンの名の通り常に未完であり続けることをテーマにデザインされた建築は、スケルトンの躯体が印象的な街区や、コンテナ状のその他の街区など、現在から未来にかけて常に進化・更新されていくイメージを随所に感じます。
変わらないものとしての土木構築物と、変わるものとしての建築・マーケットのコントラストも鮮やかで、単なる都市施設でも建築でもない独特の空間にワクワクしてしまう注目のスポットです。
ちなみに下北沢で建築巡りにおススメの建築ついてはこちらの記事で詳しくレポートしていますので、興味のある方は是非合わせてご覧ください。
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設計:山下泰樹/DRAFT
所在地:東京都世田谷区北沢2
アクセス:下北沢駅より徒歩約1分
竣工:2022年
公式HP:https://mikanshimokita.jp/
3.カメイドクロック(2022年4月OP)
続いて紹介するKAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)は、亀戸駅の東口を出てすぐのところに建つ商業施設です。
元々この場所はセイコーの本社と工場があった場所ですが、1997年に開業したサンストリート(北山孝二郎+K計画事務所)が2016年まで営業、その後野村不動産が土地を買取り2022年4月にこちらのKAMEIDO CLOCKがオープンしました。
中でも注目なのが、このブログでも何度か取り上げている窪田建築都市研究所がデザイン監修した1階のフードホールカメクロ横丁です。
入口から徐々に通路の幅が狭くなって路地状になる配置などの様々なデザイン上の工夫が散りばめられていて、様々なお店が渾然一体となりながら賑わう注目のスポットです。
デザイン監修(カメクロ横丁):窪田建築都市研究所
設計:東急設計コンサルタント
所在地:東京都江東区亀戸6-31-6
アクセス:亀戸駅より徒歩約3分
竣工:2022年
公式HP:https://www.kameidoclock.jp/
4.寿月堂本店(2022年4月OP)
寿月堂は1854年に創業の丸山海苔店による日本茶専門店です。
寿月堂本店のはいる築地KYビルは、元々1980年代に建てられた建物の改修プロジェクトとして、隈研吾建築都市設計事務所の設計で2016年にリニューアルしましたが、さらに2022年に建物の1階にこちらの寿月堂(じゅげつどう)本店がオープンしました。
壁面に木目調の細かいアルミパネルを並べた建物は、竹の野点傘をモチーフにしたデザインが特徴で、絶品の日本茶やスイーツを頂けます。しなやかなカーブを描きながら空間を覆う竹材は、受け継がれる伝統と共に移りゆく現代を象徴するようでとても興味深いです。
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都中央区築地4-7-5
アクセス:築地駅より徒歩約1分
竣工:1988年(2022年改修/寿月堂本店)
営業時間:9:30~17:30
土曜、日曜、祝日 13:00~18:00
定休日(カフェ):日曜、祝日
5.アートアクアリウム銀座(2022年5月OP)
アートアクアリウムは、様々なテーマでデザインされた水槽と金魚を鑑賞する展示施設です
アートアクアリウム銀座は、そんなアートアクアリウムの常設美術館の第2弾として銀座三越の8階につくられた美術館です。
列柱のようなアクアリウムから、複数の壁がレイヤー状に重なり合うアクアリウム、ガラスのキューブが連なるアクアリウムなど、受講を凝らしたアクアリウムは、まさに現代アートのようです。
アクアリウムは単なる見た目だけでなく、音と連動した展示や、著名な華道家とのコラボレーションなどの企画も盛りだくさんで、今銀座で最も注目を集めるエンタメスポットとなっています。
詳細記事
・銀座「アートアクアリウム美術館 GINZA」で非日常の世界を堪能
所在地:東京都中央区銀座4-6-16銀座三越 新館8階
アクセス:銀座駅直結
竣工:2022年
営業時間:10:00~19:00
公式HP:https://artaquarium.jp/
6.Think Coffee/岡田ビル(2022年6月OP)
Think Coffeeは、1969年に竣工した岡田ビルを改修してつくられた建物の1・2階にはいるカフェです。
改修にあたっては現在の法律に不適合となっていた建物の床や壁を抜いて減築することで、適法化と耐震化、光や風などを通す快適な空間を実現しているのが面白いところ。
カフェスペースも限られたスペースを最大限に活用していて、垂直方向は吹抜け、水平方向は街と繋がる半屋外テラスが抜け感をより演出していて、気持ちのよい空間が広がっています。
改修設計:再生建築研究所
所在地:東京都千代田区神田錦町2-9岡田ビル1・2F
アクセス:大手町駅より徒歩約5分
竣工:1969年(2022年改修)
営業時間:
平日 8:00~18:00
土曜、日曜 11:00~18:00
備考:2023年度グッドデザイン賞
7.THE TOKYO TOILET 広尾東公園公衆トイレ(2022年7月OP)
広尾東公園トイレは、日本財団が渋谷区と連携して実験的に実施している話題のプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の13カ所目の公衆トイレです。
パブリックアートのようなトイレを目指したというトイレの壁面には、世界の人口と同じ79億通りのパターンが常に変化しながら映し出されています。
一期一会の出会いのような、その瞬間だけ目撃できる風景は、季節や昼夜によっても変化しながら様々イメージを喚起させてくれます。
ちなみにTHE TOKYO TOILETについてはこちらの記事で詳しくレポートしていますので、興味のある方は是非合わせてご覧ください。
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・渋谷のTHE TOKYO TOILETを建築好きが巡る!全トイレを徹底レポート
設計:後智仁
所在地:東京都渋谷区広尾4-2-27
アクセス:広尾駅より徒歩約3分
竣工:2022年
8.洞洞(2022年8月OP)
洞洞(ほらほら)は、このブログでもオープン時にレポートした下北沢のBONUS TRACKなどを手掛けたツバメアーキテクツの事務所1階に2022年にオープンしたドーナツ店です。
鉄骨の軽やかな躯体と、タイルや木などどこかぬくもりを感じる素材を組み合わせた店内は、洗礼されたスタイリッシュさと安心感のある温かみが共存しています。
1階はイベントスペースとしても利用されることもあり、近隣の人たちを引き込んだまちづくりの拠点としても活用されています。
定番のドーナッツから、生ハムやベーコンが乗ったオリジナルドーナッツ、黒ごまドーナッツなど工夫に富んだ絶品ドーナッツが味わえる注目のドーナッツ店です。
設計:ツバメアーキテクツ
所在地:東京都世田谷区代田2-36-19
アクセス:下北沢駅、世田谷代田駅より徒歩約5分
竣工:2022年
9.駒沢大学駅東口ビル(2022年8月OP)
駒沢大学駅東口ビルは、東急田園都市線の地下区画駅のリニューアルプロジェクトの第1弾として改修された駒沢大学駅の駅ビルです。
老朽化した古い既存の駅舎に対して、駅を1本の木に見立てながら、地下から土地の魅力を吸収しながら育つイメージを反映しているのが注目ポイント。
1・2階にはいるカフェは、多摩産の木材をふんだんに使った明るい木質空間となっていて、旧駅舎や線路の廃材を使った家具が散りばめられた空間でほっと一息つくことができます。
設計:東急電鉄+交建設計+UDS
所在地:東京都世田谷区上馬3-18-12
アクセス:駒澤大学駅直結
竣工:2022年(改修)
備考:第68回鉄道建築協会賞作品部門佳作
10.芝浦工業大学 豊洲キャンパス 本部棟(2022年9月OP)
2006年より田町から豊洲に移転した芝浦工業大学ですが、豊洲キャンパスに2022年9月に本部棟と呼ばれる新たな校舎がオープンしました。
羽を広げるようにせり上がるデザインが特徴の本部棟は、遠景ではシンボリックに見えますが、低層部は訪れた人を奥の研究棟・教室棟・交流棟へと引き込む大きなピロティとなっています。
このピロティは、芝浦工大の校歌にある「白亜の殿堂 ここに聳え」という歌詞からインスピレーションを得たデザインとなっていて、神殿のような白い柱が印象的な空間です。
またピロティの両側には建築家の坂茂氏がデザインを手掛けた銀座シシリア 豊洲店とSIT Global Caffe empowered by Segafredoが入ります。
ピロティを挟む対角状に配置された店舗は、シャッターを開くことで建築をピロティ、さらには街と連続させるようなデザインとなっています。
坂茂氏は紙管を使った建築でも知られますが、店内では内装材から家具に至るまで様々なところで紙材を使ったデザインとなっていて、世界的建築家である坂茂氏の建築をたっぷりと堪能できます。
また、このシャッターは先程紹介した「白亜の殿堂」のピロティのコンセプトとも通じますが、以前このブログで紹介した自由が丘の「ガラスのシャッタースタジオ」の発展形であることも興味深いです。
詳細記事
・豊洲「銀座シシリア 豊洲店」坂茂氏デザインの学内レストランをレポート
SIT Global Caffe empowered by Segafredoでは店内に使われる白ブナ材の合板を新たに開発することにもチャレンジしていて、工業大学のキャンパスにふさわしいチャレンジ精神と独自の技術が詰まった建築となっています。
研究棟・教室棟・交流棟設計:日建設計・NTTファシリティーズ設計・監理共同企業体
本部棟設計:日建設計
本部棟設計監修:堀越英嗣
カフェデザイン:坂茂/坂茂建築設計
所在地:東京都江東区豊洲3-7-5
アクセス:豊洲駅より徒歩約5分
竣工:2022年(本部棟)
営業時間:
レストラン 11:30~21:00
カフェ 平日、土曜 8:00~19:00
日曜、祝日 9:00~18:00
公式HP:https://www.shibaura-it.ac.jp/
11.九段会館テラス(2022年10月OP)
九段会館テラスは、元々は旧日本軍の軍人会館として建てられた九段会館の建替えにより建てられた地上17階地下3階の複合施設です。
ルネッサンス様式の建物に和風の瓦屋根を載せた帝冠様式の建物は、特に1930年代の国関係の建物で多く用いられた様式ですが、この九段会館は現存する帝冠様式の建物の代表格ともいえる建築でした。
当時の様式を現代に伝える貴重な建築遺産ですが、残念ながら東日本大震災の天井崩落事故の影響もあって外壁など一部を残して地上17階建ての複合に建て替えが行わることになりました。
昭和初期の建物が、巨大な複合施設に飲み込まれるような姿は現代の社会を象徴しているようで面白いです。貴重な外観を保存しつつ、古きデザインを現代のデザインとして再構成する丁寧で高度な技量を存分に体感できる建築です。
原設計:川元良一
建替設計:鹿島・梓 設計・工事監理業務共同企業体
所在地:東京都千代田区九段南1-6-5
アクセス:九段下駅より徒歩約3分
竣工:1934年(2022年建替え)
12.本の森ちゅうおう(2022年12月OP)
本の森ちゅうおうは、2022年12月にオープンした図書館・郷土資料館・カフェの複合施設です。
「共に創る森」をコンセプトにした建物は、大きな張り出したヴォリュームやバルコニー、街から連続する立体的なオープンスペースなどと共に様々な機能が森の生態系のように繋がり、共生しているのが特徴です。
はじめて訪れたときは正直迷ってしまいましたが、建物の中を彷徨いながら本を探したりお気に入りの場所を見つける体験ができる素敵な建築でした。
また、1階にはカフェもあるので、読書や建築見学の合間の休憩にもピッタリです。
設計:類設計室
カフェ内装設計:Puddle
所在地:東京都中央区新富1-13-14
アクセス:八丁堀駅より徒歩約1分
竣工:2022年
13.OKA CAFE(2022年12月OP)
OKA CAFE(オカカフェ)は、2022年の12月に昭和記念公園内に新設されたカフェです。
その特徴は「緑豊かな環境に溶け込む大地のキャノピー」をイメージしたという木組みによって支えられた大屋根。
隈研吾氏らしい木組みによって大きく張り出した屋根は、ダイナミックな躍動感を生み出しつ昭和記念公園の自然と建物内を緩やかに繋いでいます。
大胆な木の構造体に目が行きがちですが、隈研吾氏は以前このブログでも紹介した浅草文化観光センターや高尾山口駅、高輪ゲートウェイ駅をはじめとして長年に渡り「屋根」をテーマとた建築を追求してきた建築家でもあります。
公園の大地の連続であり、訪れた人をひとつ屋根の下に包み込むようなカフェは隈研吾氏の建築のテーマが凝縮した作品となっています。
関連記事
・隈研吾氏が設計した浅草文化観光センターを徹底レポート
・隈研吾氏「高輪ゲートウェイ駅」建築デザインのポイントを解説
設計:隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都立川市緑町3173
アクセス:西立川駅より徒歩約12分
竣工:2022年
営業時間:
3月~10月10:30~16:30
11月10:30~16:00
12月~2月11:00~15:30
定休日:火曜、年末年始
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・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート
2024年4月18日には「一級建築士矩子の設計思考」第3巻が発売になりました。
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