千駄木「森鴎外記念館」鴎外の文学を建築化した素敵な記念館をレポート

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今日は東京都文京区にある区立森鴎外記念館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・森鴎外記念館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・森鴎外記念館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・森鴎外記念館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.森鴎外が暮らした住居跡につくられた記念館を訪問

今日訪れたのは、千駄木駅を出て団子坂と呼ばれる坂を進んだ先に建つ文京区立森鴎外記念館です。

森鴎外記念館

森鷗外といえば明治・大正時代に活躍した文豪で、代表作「舞姫」をはじめとした文学作品が有名ですが、東京大学医学部創業後軍医として活躍したり、軍医を引退後は宮内省で帝室博物館の総長や図書頭を務めるなど多彩な経歴でも知られています。

ここ文京区立森鴎外記念館は、そんな鴎外が30歳から亡くなる60歳までの30年間を過ごした旧居「観潮楼(かんちょうろう)」の跡地に建てられた記念館です。

森鴎外の住居としては、以前明治村に移築された森鴎外・夏目漱石住宅(元々は文京区千駄木町)を訪れましたが、この森鴎外・夏目漱石住宅は鴎外が観潮楼に移る直前の1890年から約1年程の間借家していた住宅でした。

森鷗外・夏目漱石住宅
森鴎外・夏目漱石住宅(現在は愛知県の明治村に移築)

ちなみにこの森鴎外・夏目漱石住宅は、鴎外が転居してしばらくたった1903年から、30年以上に渡って夏目漱石が住むことになります。
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尚、現在の森鴎外記念館の前身であった文京区立森鴎外記念本郷図書館は昭和を代表する建築家である谷口吉郎氏の設計でした。

旧記念本郷図書館が老朽化によって建て替えとなり、2012年に新築されたのがこちらの記念館なのです。
建物の外観は、思った以上にシンプル。

外装材の煉瓦は貼り付けた後に表面を削り取ることで、煉瓦の風合いと素材感を残しつつ、どこか凛とした緊張感と繊細さを感じるデザインとなっています。

過剰な装飾をせずに、シンプルながら素材が元々持つ特性や美しさを再表現するデザインは、森鴎外の作品とリンクしているようです。
煉瓦や亜鉛メッキのルーバーの外観は、記念館の中に納められた貴重な資料を外部の環境から守る堅牢な収蔵庫としての記念館としてだけでなく、今後何十年と使われていく建築としての安心感と力強さを感じます。

森鴎外記念館の庭

建物が建つ敷地は大きな高低差がありますが、メインの展示室は地下に納められています。
敷地の裏手の門へ繋がる通路は緩やかなスロープとなっていて、スロープを下るとシンボルツリーや地下1階のカフェが見えます。

森鴎外記念館の庭

尚、裏門は森鴎外が住んでいた観潮楼時代は正門として使われていて、観潮楼の名の通り、当時は2階から門の先に東京湾が望めたそうです。

森鴎外記念館の裏門

2.鴎外の作品が建築化されたような素敵な空間と展示を堪能

巨大な彫刻のような建物の内部は外観の煉瓦からコンクリート打ち放しの美しい内観に変化します。
入ってすぐ左手がチケットカウンター兼ミュージアムショップとなっているので、まずはチケットを購入します。

チケットは、通常展 一般で300円ととてもリーズナブルです。
私が訪れたときにはちょうどコレクション展「鴎外の東京の住まい」が開催されていて、建築好きとしてはかなりラッキーでした。
建物は堅牢なコンクリートのシンプルな内装ですが、光や影を巧みに取り入れる計画が印象的。

森鴎外記念館の内観

内部の展示物を守るために窓はほとんどない作りですが、写真の人物パネルの奥に光が満ちているように、天窓などを使いながら劇的な光の効果が随所にみられます。

一見シンプルな文体ながら美しくも的確な言葉選びと、時には劇的な展開をみせる森鴎外の作品を、まさに建築で表現しているようです。

展示は森鴎外の暮らしについて、図面や写真を多く使ってその足跡を辿っていて、かの文豪の暮らしぶりや生活の様子が目に浮かびました。

また、森鴎外自身の生涯も、単なる文豪としてだけでなく、かなりドラマティックで面白かったです。
特に森鴎外の人生に大きく影響し、処女作「舞姫」のモチーフにもなったドイツ渡航時代についてや、小説家業と並行して行われる医学者としての側面など、今まで知らなかった鴎外の一面が垣間見れました。

こちらは地下の休憩室。地下ですが、庭からの光が降り注ぐ気持ちのいい空間です。

また、同時に開かれていたコーナー展示では、樋口一葉、正岡子規、石川啄木といった日本の文学史に残る作家と森鴎外の関係についても知ることができ、とても興味深かったです。

3.地下に入るモリキネカフェで、鴎外に思いを馳せる幸せなひと時を

ひと通りの展示を満喫したあとは、地下1階にあるモリキネカフェでひと休みします。
カフェは地下にありますが、最初にみた裏門エリアは高低差によって低くなっているので、大開口からは豊かな自然と明るい自然光が降り注いできます。

メニューは鴎外が過ごしたドイツをモチーフにしたスイーツが看板メニューとなっています。
私はシュネッケンと呼ばれるドイツ発祥のロールパンのセット(1000円)をチョイス。

森鴎外記念館のカフェ

シナモンと散りばめられた木の実の風味がベストマッチで、とっても美味しかったです。
中央に添えられたアイスと絡めながら、ゆっくりといただきました。

森鴎外記念館のカフェ

窓の外に見える庭は、一部に鴎外のゆかりの木なども残されているそうで、展示の内容を振り返りながら幸せなひと時を過ごしました。

素敵な展示と建築をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
ややマイナーなスポットですが、とてもオススメの建築でしたので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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■文京区立森鴎外記念館
設計:陶器二三雄/陶器二三雄建築研究所
所在地:東京都文京区千駄木1-23-4
アクセス:千駄木駅より徒歩約3分
竣工:2012年
開館時間:10:00~18:00
休館日:第4火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始ほか
観覧料:一般300円(通常展)
公式HP:https://moriogai-kinenkan.jp/
備考:第55回BCS賞
   2015年日本芸術院賞


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