立川「花みどり文化センター」昭和記念公園の必見建築をレポート

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今回は取り上げる建築は東京立川の昭和記念公園の中にある花みどり文化センターです。
昭和記念公園は以前の記事でも紹介したとおり、実は魅力的な建築やランドスケープ作品が目白押しの隠れ建築パワースポットでもあります。はそんな昭和記念公園において一押しの建築が「花みどり文化センター」 です。

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それでは早速、公園と一体となったこの不思議な建築の魅力について紹介してきたいと思います。

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1.花みどり文化センターとは?

まずこの建築の概要について触れておくと、 花みどり文化センターは立川の昭和記念公園に建てられた建築で、緑の文化をテーマにした展示や体験、情報発信を行っている建物です。
設計は日本を代表する建築家である伊東豊雄氏アトリエ・ワンが行っていて、大地がそのままめくれ上がったかのような人工地盤の下に昭和天皇記念館、カフェ、ギャラリーといった施設が納められています。

建物は「ゆめひろば」と呼ばれる隣接する大きな広場と一体となっていて、記念館としての機能だけでなく、散策したり休憩したり坂をかけ上がったりと各々の過ごし方ができるような施設となっています。
昭和記念公園には入場料がかかりますが、こちらの建物のあるゾーンは無料で入場できるゾーンにあるのと、建物内部に入るのにも入場料はかからないので誰でもすべて無料で楽しむことができます。

2.早速見学!遠景と近景で印象がガラリと変わる!

立川駅の北口から5分程歩いて昭和記念公園立川口を入ると早速遠くに花みどり文化センターが見えてきます。
遠目で見ると本当に大地の一部になっていて、ここに建物があることにほとんど意識がいきません。

段々と近づいていってはじめて想像以上の大きさだったことに気づいてかなり驚きます。
これは反対側から見ても同じで、西側から歩いてきても、建物の屋上が完全に大地になっているのでこの下に建物があるとは思わない作りがかなり新鮮です。
下の写真は反対側から建物の屋上に入るところですが、一見して建物の屋上だとは分からないですね。

この建物は何回か訪れていますが、一緒に訪れた人に後から聞いてみても「あそこにそんな建物なんてあった?」と、通り過ぎるだけならば多くの人は建物に意識がいっていないというのが本当に驚きでした。

3.屋上に注目!起伏溢れる大地がスゴイ

円形の開口部にあるエスカレータを上がると屋上の人工地盤「浮游の庭」が広がります。
この屋上部分は立体トラスで組まれた屋根の上に厚さ23cmのコンクリートスラブが打たれ、深さ約10cmの土壌が敷かれているのですが、屋上感は全くないです。

これだけの起伏をつくるのはかなり大変だったと思いますが、その効果は凄くて、デコボコとしたコブの周りを子どもが走り回ったり大喜びしながら登っている姿が見られます。
あの子供たちのイキイキとはしゃいだ姿を見ると、これだけ大掛かりなことをやっても、誰が何を言おうとこの建築が成功していると思わざるを得ないです。

屋上からひょっこり姿を出しているエレベータが、これが建築だったことを思い起こさせてくれます。
屋上の起伏は注意深く見ると広場のほうになだらかに下がっているので、さりげなく広場に視線が抜けつつ、屋上の大地の延長に地上の大地があるように感じます。もちろん屋上の端部の部材は見えないので本当に連続しているような一体感がありました。

4.過去の建築との関連にも注目!

ここで少し他の建築と比較して見たいと思います。
建築好きとしてはまず浮かぶのは、伊東豊雄氏の同時期の代表作である「仙台メディアテーク(2000年)」や「アイランドシティ中央公園ぐりんぐりん(2005年)」です。

上の写真はせんだいメディアテークですが、透明なガラスの箱の中に円形のチューブのエレベータや階段といったコアが納められている構成はそっくりです。
また、アイランドシティ中央公園ぐりんぐりんは花みどり文化センターと同じ年にできた建築ですが、人工地盤がぐりんぐりんとうねりながら広がっている様が特徴的な建築で、これらの建築のイメージが色濃く反映されている点も興味深いです。

また、伊東氏は戦後の日本を代表する建築家である丹下健三氏の建築を現代に再解釈している建築家でもあります。
先ほど挙げた仙台メディアテークでは丹下健三氏が設計した山梨文化会館という建築を反転させた構成となっているのですが、そう考えると「花みどり文化センター」は「大阪万博お祭り広場」の現代再解釈版と見ることも出来ます。

こちらは大阪万博お祭り広場の模型ですが、お祭り広場は立体トラスで直線の屋根を支えていました。この建築ではその屋根を現代の技術でもってぐにゃぐにゃと起伏させ、屋根の上と下に人々の為の広場をつくっているとも考えられます。そう考えるととても面白い建築に見えてきます。

5.あいまいな空間が心地いい建築

この建築を見る上での補助線となるキーワードに「あいまい」さが挙げられます。
例えばどこからが建物でどこからが広場といった明確なくくりがないので、広場と建築が曖昧に繋がっています。私が見に行ったときには屋根下の半屋外空間で親子がバトミントンしたり、中学生がボール遊びしたりと、広場の延長としてしっかり活用されていました。

これは建物の内部を見てみても同じで、エレベーターやトイレ、駐輪場といった決まった役割の機能は円形のコンクリート柱の中にすべて入っていて、それ以外の室内の空間はゆるやかに繋がっています。
通常であればここが研修室、ここが展示室、と明確に区切ってしまいますがそうなっていないのです。

ちなみにこの境界を曖昧にする、というのは部屋と部屋に限ったことではありません。例えば天井に見えるルーバーはよく見ると半透明のメッシュなので、風でゆらゆら揺れています。

これによって天井の境界も曖昧になって、屋根の下の空間はまさに内部と外部の中間のような空間に感じられます。

いかがでしたでしょうか。
実際に体験してみると、この空間が何とも心地よくてずっとその場にいられるような感覚を覚えました。広場のようで庭のようで自分の家のリビングのような、そんな空間体験ができ、大満足の1日となりました。

花みどり文化センター
設計:伊東豊雄+アトリエ・ワン(鈴木雅和+貝島桃代)
所在地:東京都立川市緑町3173
アクセス:立川駅より徒歩約5分
竣工:2005年

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