今日は東京の大井町周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築について紹介したいと思います。
古くから交通の結節点として発展してきた大井町は、近代から現代まで様々な建築がまじり合う建築パワースポット。
それではそんな大井町建築の世界に、一緒にトリップしていきましょう!
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・大井町での建築巡りを写真と文字でレポート
・大井町の著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・大井町の建築の見どころや注目ポイントを解説
1.りんかい線 大井町駅(日本鉄道建設公団+交建設計)
大井町の建築巡りでまず初めに紹介するのがりんかい線 大井町駅です。
地下深くにホームがあることでも知られるりんかい線の大井町駅では上下に2つのホームが積まれる2層構成になっていて、それぞれのホームごとに異なるイメージでデザインされています。
都心に向かう地下3階ホームは、躍動感あふれる暖色系、臨海地域に向かう地下5階は海を彷彿させる寒色系を基調にデザインされていて、それぞれの階で全く違った空間感覚を大変できます。
また、躍動感あふれる天井や車路、待合スペースのデザインも秀逸で、電車を待っているときのワクワク感を増大させてくれます。
設計:日本鉄道建設公団+交建設計
所在地:東京都品川区大井1-2-10
竣工:2002年
2.大井町駅前公衆便所(あかるい建築計画)
続いて訪れた大井町駅前公衆便所はパブリックコンペによって選ばれて2020年に建てられた駅前の公衆トイレです。
煙突型の個室が6つ連なるトイレは煙突効果による換気効果やトップライトから降り注ぐ光など従来の公衆トイレのイメージを払拭するだけでなく、まずは入口で男・女に振り分けるというこれまで当たり前とされてきたトイレのジェンダーのあり方を問い直している点でも注目されたトイレです。
角度をつけながら配置された6つの建物は、平面的にはひと一人ひとりのスケール感で配置されながら、それらが連なることで樹木や都市スケールにマッチする新たなスケール感を獲得していて、魅力的な都市風景をつくり出していました。
こちらのトイレは詳細レポートも書いていますので、よろしければ合わせてお読みください。
詳細記事
・大井町駅前公衆トイレがスゴい!線路沿いに建つ新トイレをレポート【東京大井町】
設計:あかるい建築計画
所在地:東京都品川区大井1-2-6
アクセス:大井町駅より徒歩約1分
竣工:2020年
3.三菱鉛筆本社新社屋(プランテック総合計画事務所+清水建設)
続いて訪れた三菱鉛筆本社新社屋は大手文具メーカーの地上6階建ての本社ビルです。
伝統と先端技術の両方を表現した建築は、外装は金属パネルとガラスによるシャープなデザインに、内部には木を効果的に使った優しいデザインとなっています。
敷地東側の遊歩道には通称「えんぴつロード」と呼ばれる鉛筆のつくられる製造工程が表現された6つのベンチも注目です。
設計:プランテック総合計画事務所+清水建設
所在地:東京都品川区東大井5-23-37
アクセス:大井町駅より徒歩約3分
竣工:2018年
4.仙台味噌醸造所
大井町駅を東に程なく歩いたところにある仙台味噌醸造所は江戸時代から続く老舗の味噌の醸造所です。
大きな切妻屋根と風合いを感じる下見板張りの建物は関東大震災の翌年に建てられたものです。
もともとこの地には仙台藩の品川下屋敷があったそうで、仙台から運ばれた大豆を使って仙台味噌を醸造するためにつくられたのがこちらの醸造所です。
現在内部は改修されていますが、外観の他、内部にも当時使われた味噌樽が展示されていて、当時の雰囲気と歴史を間近で体感することが出来ます。
所在地:東京都品川区東大井4-1-10
アクセス:大井町駅より徒歩約6分
竣工:1924年
営業時間:
月~水曜、金曜 8:00~19:00
木曜 8:00~17:00
定休日:土曜、日曜、祝日
5.旧大井町変電所
旧大井町変電所は京浜東北線の大井町の北西沿いに建つ建物で、元々は東京~高島駅間の電車運行の為の変電所として1914年(大正3年)に建てられた建物です。
関東大震災や戦火を免れた煉瓦造りの建物は、現在でもJRの現役の建物として使用されているというから驚きです。
現役のJRの建物のため近くに立ち入ることはできず、建物は大きく植物で覆われていているので詳細は見ることが出来ませんが、100年以上に渡って大井町に鎮座する長老建築は一見の価値ありです。
所在地:東京都品川区南品川6-8-30
アクセス:大井町駅より徒歩約6分
竣工:1914年
6.日本ペイント明治記念館
旧大井町変電所からさらに北上すると見えてくるのが、総合塗料メーカーである日本ペイント品川本社の一角に建つ日本ペイント明治記念館です、
現存する品川区最古の洋式建造物ともいわれるこの建物は、1909年(明治42年)に建てられた日本最古の油・ワニス工場で、現在は資料館として保存・公開されています。
事前の予約をすれば無料で内部を見学することができ、当時の機械や書類、そして建築を堪能することができます。
所在地:東京都品川区南品川4-1
アクセス:大井町駅より徒歩約12分
竣工:1909年
7.旧東急南大井ビル(坂倉建築研究所)
続いて訪れたのは大井町駅からしばらく南下した立会川駅から5分ほど歩いたところにある旧東急南大井ビルです。
エントランスに人々を誘い込むこうにカーブしたファサードは歩行者・車の両方の視点から視認性とランドマーク性を併せ持つとの条件からデザインされた形態です。
確かに通り沿いに近づいていくと、見る視点によって徐々にその表情が変わっていくのが面白い建築です。都市の中にできた巨大な渓谷のように人々を引き寄せられる磁場のようなものを発している建築でもあります。
設計:坂倉建築研究所
所在地:東京都品川区南大井1-13-5
アクセス:大井町駅より徒歩約15分、立会川駅より徒歩約5分
竣工:1994年
8.デュオ・スカーラ品川大井
旧東急南大井ビルのすぐ向かいには建築家吉村靖孝氏が「超合法建築図鑑」の中で紹介したことで一部の建築ファンに知れ渡ったデュオ・スカーラ品川大井が建っています。
超合法建築図鑑では一見不合理に見えたりトンデモ建築見見える街中の建物が、実は、建築法規をもとに合理的・必然的な形となっていることを解説している本です。
この建物も一見CGのようにも見えますが、日影規制という建築法規と、住戸面積の確保、敷地の形状といった条件から生み出された「超」合法建築だったりします。
実際に見てみると角度によってはあり得ないような不思議な形に、また違う角度によっては普通の狭小地マンションに見えたりして面白かったです。
所在地:東京都品川区南大井4-11-4
アクセス:大井町駅より徒歩約15分、立会川駅より徒歩約5分
竣工:2002年
9.パレ大森プルミエール(北山孝二郎)
デュオ・スカーラ品川大井から西に少し進んだところにあるパレ大森プルミエールは地上9階全91戸からなる集合住宅です。
前面道路のゆるかやなカーブに沿うように建てられた建物は、シンガポールのマリーナベイ・サンズを縮小して住宅街に持ってきたかのようなインパクトを持っています。
空中を横切るブリッジや共用部に設けられたプールなど、リゾート感あふれるつくりはキッチュでありながら遊び心を感じます。
住宅のプランもカーブする外壁や吹抜けに応じて様々なタイプがデザインされていて、見ているだけでも楽しい集合住宅です。
設計:北山孝二郎/K計画事務所
所在地:東京都品川区南大井5-15-1
アクセス:大井町駅より徒歩約15分、立会川駅より徒歩約7分
竣工:1998年
10.大井競馬場1号スタンド L-WING(松田平田設計)
最後に紹介するのが立会川駅から東にほどなく歩いたところにある大井競馬場です。
競馬場にはいったことがないという方も多いかもしれませんが、現在の競馬場は洗練された都会的なイメージのスタンドやアミューズメントパークのようなイベントの企画など様々な工夫がなされて従来の競馬場のイメージからの脱却が目指されています。
他の建築では見られないような躍動感を表現したような大屋根や、ダイナミックな構造など競馬場ならではのデザインはとても新鮮です。
私も年末に行われている競馬場を使ったイルミネーションイベント「メガイルミ」で訪れたのですが、その迫力は一見の価値ありです。
メガイルミは大井競馬場の広大な敷地を使った様々なイルミネーションが楽しめて、水田や棚田といった原風景から江戸、明治、大正、昭和とタイムトラベルするような光の体験ができるおススメのイルミネーションです。
2020年はコロナウィルスの影響でイベント中止となってしまいましたが、今後再開される際には是非チェックしてみて下さい。
詳細記事
・大井競馬場でイルミネーション!建築好きによる東京メガイルミレポート【東京大井町】
建築設計:松田平田設計
所在地:東京都品川区勝島2-1-2
アクセス:大井町駅より徒歩約20分、立会川駅より徒歩約10分
竣工:2003年
【洋館好き必見のイチオシ漫画】
「数寄です!」などの建築漫画で知られる漫画家さんが、水色のかわいい洋館に一目惚れ。
土地ごと売却され、再開発さそれうになった近代建築をなんとか残そうと奮闘するルポ漫画。
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