今回は京都に建つ新風館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・新風館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・新風館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・新風館の建築的な見どころや注目ポイント
ちなみに京都のおススメ近代建築・現代建築についてはこちらの記事でもレポートしていますので、興味のある方は是非合わせてご覧ください。
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1.近代建築と現代建築が融合した京都の注目スポットを訪問
今日訪れたのは京都の烏丸御池駅を出てすぐのところに建つ商業施設・ホテルの複合施設である新風館。
新風館は元々は1926年に建てられた旧京都中央電話局を増築・改修して建てられた建物です。
旧京都中央電話局の設計を手掛けたのは、昭和の日本を代表する建築家である吉田鉄郎。
吉田氏は1919年に東京帝国大学建築学科を卒業し、臨時電信電話建設局、逓信省で電話局や郵便局などの通信関係の建築を手掛けています。
吉田は旧京都中央電話局の他、以前このブログでも取り上げたJPタワーの元となった東京中央郵便局(1933年竣工)も手掛けていて、東京中央郵便局(現JPタワー)は増築・改修が行われながら現在もその姿を残しています。
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この旧京都中央電話局が最初に大きな転換点を迎えたのは2001年です。
世界的建築家リチャード ロジャースらにより大規模な増築・改修が行われ、元の建物を活かしつつ、古い建物と対を成すようなビビットな色の鉄骨や中庭のイベントスペースが印象的な建物が完成し、「新風館」と名前もリニューアルされました。
そして2021年に隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修を行った大規模な改修が行われて、現在の新風館が完成しました。
このリニューアルでは、旧京都中央電話局の東側の中庭を継承しつつ、新たに地上7階地下2階建てホテル・レストラン・商業施設がつくられました。
こちらは烏丸御池駅を出て、新風館に向かの途中の風景。
隈研吾氏がよく用いる木や金属といった素材を組み合わせながら、静と動の両方を感じるような新棟となっています。
遠目では一見して落ち着いているようで、近づいてみるとダイナミックなデザインとなっていたり、逆に近づいてみて初めて感じられる木や錆などの素材感がとても印象的でした。
こちらはホテルのエントランスの空間。
大きく張り出した屋根によってつくられる軒下空間が印象的です。
こちらは東側の商業施設のエントランスです。
敷地は3つの道路に挟まれているので、それぞれの通りが建物内の通路や軒下空間で繋がり、交錯するようなデザインとなっています。
元々の旧京都中央電話局はモダニズムらしいシンプルなデザインが印象的でしたが、その建築に現代的な隈氏の建築がお互いの特徴を際立たせるようにデザインされているのが印象的でした。
2.京都の街が引き込まれ交錯する新たな回遊動線に注目
旧京都中央電話局部分の東側には木組風の半屋外空間が設けられていて、敷地内に明確な回遊動線が生み出されているのも注目ポイントです。
よく見ると構造的には不要な梁が敢えて設けられ強調されているのも面白く、伝統的なデザインを踏襲しているようで、今までに見たことのないダイナミックな空間になっています。
この日はちょうど雨が降っていたのですが、建物内は軒下空間や半屋外空間で繋がっているので中庭に降り注ぐ雨を感じながら、快適にショッピングが楽しめるようになっています。
それぞれの通りに繋がる入口からは、絶えず人々が入り、出ていっていて、この建物が街の動線の一部になっているようです。
敷地は三条通りから烏丸御池駅に向かう途中でもあるので、私も今回の京都旅行の中で何度もこの建物内のストリートを利用しました。
地下には映画館アップリンク京都が入っているので、雨の日デートにもよさそうです。
敷地の真ん中につくられた中庭も素敵です。
写真中央の彫刻は京都を中心に活動する彫刻家の名和晃平氏の作品で、雫をモチーフにしたものですが、雨の日の中庭にピッタリでした。
東側を見上げると、新築されたエースホテルの立面がダイナミックに迫ってきます。
ガラスの立面と木の架構が古いようで新しい、不思議な魅力を放っています。
木の風合いはまだまだ新しいですが、このホテルが時間が経つにしたがってどのように変化するのか気になります。
3.こだわりの料理が堪能できるレストランで至高のランチを
建物の回遊動線は1階部分だけでなく立体的にも展開しています。
まるで山を登るように立体的に建物を巡ります。
暗めの色に統一された中庭側の外装は、中央の緑をより際立たせてくれます。
エースホテルには1階のカフェStumptown Coffee Roasters、2階のメキシコ料理PIOPIKO、3階のイタリアンレストランMr.Maurice’s Italianの3つの飲食店があり、それぞれのこだわり料理が楽しめます。
今回はメキシコ料理PIOPIKOでランチを頂きました。
店内は高い天井高にダイナミックな木の架構が架かる迫力の空間。
店内にはDJブースがあって、DJがその場で音楽をチョイスするなど贅沢な時間を過ごせます。
せっかくなので、今回はお店のおススメメニューという週末限定ビーフステーキランチセット(3200円)をいただきました。
スパイスが効いた肉々しいステーキからトルティーヤ、梅のソースのフライドポテトなどメキシカンを堪能できるセットでした。
セットのドリンクは自家製クラフトコーラをチョイス。
こちらはスパイシーというよりややあっさりめで、メキシコ料理との相性もバッチリです。
ランチは他にもビーフバーガーセットやタコスセットなどがあり、いずれもボリュームたっぷりの本格メキシカンが堪能できます。
本格メキシカンを楽しんだ後は再び山を下って建物内を散策。
伝統と革新、人工物と自然、建築と街が融合した新風館をたっぷりと堪能してきました。
とても素敵な建築でしたので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
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新風館
改修設計(2020年):隈研吾建築都市設計事務所+NTTファシリティーズ
改修設計(2001年):リチャード ロジャース パートナーシップ ジャパン+NTTファシリティーズ
原設計:吉田鉄郎
所在地:京都府京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2
アクセス:烏丸御池駅より徒歩約1分
竣工:1926年(旧京都中央電話局)、2001年・2020年改修
営業時間:
ショップ 11:00~20:00
レストラン 8:00~24:00
公式HP:https://shinpuhkan.jp/
備考:2021年グッドデザイン賞
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