今回は兵庫県神戸市の北野エリアに建つ旧ムーア邸を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・旧ムーア邸を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・旧ムーア邸の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・旧ムーア邸の建築的な見どころや注目ポイント
1.神戸の異人館街に建つ古き邸宅を訪問
今回訪れたのは、明治の開港以来、外国人の居留地としても発展し、北野異人館街として今も多くの人々に親しまれてきた兵庫県の神戸市です。
そんな神戸の異人館街において2020年に新たに一般公開がなされた洋館が今回訪れた旧ムーア邸です。
このムーア邸は、1898年にアメリカ人貿易商であったムーア氏の住まいとして建設され、以来ムーア家の関係者によって住まい継がれてきましたが、最近になってカフェや結婚式場としてリニューアル工事がなされ、広く一般の人も訪れることができるようになりました。
ここで少し神戸北野町エリアの異人館街について紹介します。
ここ神戸は明治の開港以降、ここ神戸には多くの外国人が訪れ暮らすことになりました。神戸の外国人のクラスエリアは限定的でありましたが、そんな居住地域の中で、特に人気だったのが南に居留地や神戸港が望める山手の高台のエリアでした。
今でも神戸の北野エリアといえば洋館が立ち並ぶ観光地となっていますが、最も多くの洋館が建てられた明治時代から戦前の最盛期には、今とは比較にならない200棟あまりの洋館が建ち並んでいたといいます。
その後、これらの洋館群は度重なる戦禍や自然災害、また戦後の開発による建替えによって数を減らしました。
一方で70年代にはいる徐々にその価値が再評価されはじめ、神戸市が風見鶏の館や萌黄の館を借り上げて公開したり、1980年には文化財保護法の伝統的建造物群保存地区の指定を受けるなど、保存・活用の動きが加速していきます。
そうした動きもあり、阪神・淡路大震災で多くの洋館が被災するなどの困難もありましたが、持ち主を幾度か変えたり移築復元が行われたりしながら、現在の異人館街の姿ができあがってきました。
異国情緒溢れる古き洋館が建ち並ぶ人気の観光地となった異人館街において、近年洋館を活用したカフェも増えつつありますが、その代表ともいえるのが旧ムーア邸です。
異人館街を散策していると、山の裾野の住宅地の高台に建つ白い下見板張りの邸宅が見えてきます。
階段を上がった先に建つ建物は、今から100年以上前に建てられたとは思えないくらいの輝きと気品を纏っています。
2.歴史を感じる素敵な近代建築を味わいながら絶品スイーツを堪能
階段を上った先には緑豊かな前庭とカフェのテラス席が広がっています。
ハーブが生い茂る庭の自然要素と、白く輝く建物のコントラストが鮮やかです。
敷地の外からは高台に建ち太陽の光を反射する白亜の外観が印象的でしたが、エントランスまで近付いてみると思ったよりも小さくてヒューマンスケールの邸宅となっているのが面白いです。
現在はカフェやウェディング会場として使われる旧ムーア邸ですが、今回の目的地であるカフェは邸宅を入って左手のサンルームを含んだ一角に設えられています。
壁一面の大きな開口からはたっぷりの陽の光と庭の緑が飛び込んできて、室内はゆとりのある気持ちがいい空間となっています。
歴史を積み重ねた近代建築が豊かな自然要素によってナチュラルに演出されているのがとても素敵です。
この日頂いたのは、このお店の人気メニューである苺のミルフィーユです。
このミルフィーユは東京銀座の老舗店「銀座マキシム・ド・パリ」からレシピを受け継いだもので、クリームの甘味と苺の酸味がマッチする絶品スイーツとなっています。
なめらかなクリームとサクサクの生地は相性がよく、重層的な味わいを感じます。
周りに散りばめられた香ばしいアーモンドが味と食感のアクセントになっていて、懐かしいけれど新しい、まさにこの建築を表しているようにも感じられるミルフィーユでした。
絶品スイーツを味わいながらふと窓の外に目をやると、100年以上前の神戸の風景をみているような気持ちになる素敵なスイーツタイムを過ごしました。
旧ムーア邸
設計:J.R.ドレウェル夫人
所在地:兵庫県神戸市中央区北野町2-9-3
アクセス:三ノ宮駅より徒歩約15分
竣工:1898年
営業時間:11:00~17:00
定休日:火曜
その他:北野町山本通伝統的建造物
旧ムーア邸でスイーツを堪能した後は、北野異人館街を散策しました。
ムーア邸を訪れた際には特にオススメなのが、すぐ近くに建つラインの館(旧ドレウェル邸)です。
このラインの館は、ムーア邸の建物の設計を手掛けたJ.R.ドレウェル夫人が住んでいた邸宅です。
外装の下見板の水平ラインにちなんで「ラインの館」と名づけられた邸宅も、北野異人館の建築の特徴がよく現れています。
現在このラインの館は神戸市が管理していて、入館無料の展示スペースや観光案内所・ショップとなっているので、旧ムーア邸を訪れた際には是非立ち寄ってみてほしいです。
ラインの館(旧ドレウェル邸)
所在地:兵庫県神戸市中央区北野町2-10-24
アクセス:三ノ宮駅より徒歩約15分
竣工:1915年
開館時間:9:00~18:00
休館日:2月・6月の第3木曜
入館料:無料
ちなみに神戸市での建築巡りについてはこちらの記事でもレポートしていますので、神戸の建築巡りの際には参考にしてみて下さい。
関連記事
・神戸で建築巡り!おススメの名建築30選を紹介
素敵な建物とスイーツを堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットなので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
【読むだけで建築について詳しくなれるイチオシの漫画】
実際に一級建築士の資格を持つ人気R18漫画家が描く、唯一無二の建築漫画が話題になっています。
話ごとに建築のデザインはもちろん、法規や構造、施工や不動産に渡って幅広く扱っていて、建築好きなら毎回ワクワクしながら読めて、建築の知識も吸収できる超おススメ漫画です
>Amazonで詳細が読めます
また、当ブログでも漫画のレポートと、漫画と舞台となった亀戸の建築巡りについて紹介していますので、是非併せてご覧ください。
関連記事
・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート
2024年4月18日には「一級建築士矩子の設計思考」第3巻が発売になりました。
建築学ランキング
にほんブログ村
↑建築系のブログランキング。よければクリックして応援してもらえると嬉しいです。
建築やデザイン好きな人は、他にも面白いブログや参考になるブログがいっぱいあるので是非見てみてください^^