今日は東京の永田町周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・永田町エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・永田町エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・永田町エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.海運ビル
海運ビルは、永田町駅を出てすぐの場所に建つ地上9階地下2階のオフィス・ホール・商業施設などの複合施設です。
上層階が大きくせり出して、宙に浮かぶようなダイナミックデザインが特徴的な建物は、実は半世紀以上前に建てられた歴史ある建物。
彫りの深い開口部のデザインもユニークで、70年代の味わいを残したビルが徐々に数を減らしつつある中、永田町を訪れた際はつい立ち寄ってみたくなるお気に入りの建物です。
設計:現代建築研究所
所在地:東京都千代田区平河町2-6-4
アクセス:永田町駅より徒歩約1分
竣工:1973年
2.砂防会館
砂防会館は、海運ビルの向かいに建つ地上 7階地下1階建てのオフィスビルです。
砂防会館といえばかつて自民党本部が置かれ、田中角栄氏の事務所が入るなど日本の政治において重要な出来事を数々見守ってきた建物でしたが、2018年に現在の建物に建て替えられました。
現在の建物は石調の重厚さと、ガラスの開口部が連続するスタイリッシュなデザインが特徴です。
シンプルな素材をつかったスマートな建物は、堅牢さと開放性が両立する現代的な建物となっています。
設計:山下設計
所在地:東京都千代田区平河町2-7-5
アクセス:永田町駅より徒歩約1分
竣工:2018年
3.ザ・キタノホテル東京
ザ・キタノホテル東京は、青山通り沿いに建つ地上9階地下2階建て総客室数70室のホテルです。
重厚感のある外装に繊細なラインが走る外観は、シンプルですが日本的な美意識を感じさせるデザインとなっているのが特徴です。
設計監修を務めた今里隆氏は以前このブログでも紹介した池上本門寺の御廟所・大客殿や、両国の国技館の設計を手掛けたことでも知られる建築家。
ホテルの内外装にはそうした日本建築のエッセンスや四季をテーマにしたデザインが散りばめられていて、都心の中に小さな安らぎの場をつくりだしています。
設計監修:今里隆
設計:竹中工務店
所在地:東京都千代田区平河町2-16-15
アクセス:永田町駅より徒歩約1分
竣工:2019年
4.平河町森タワー
ザ・キタノホテル東京のお隣に建つ平河町森タワーは、地上24階地下2階建て高さ約102mのオフィス・集合住宅・商業施設の複合施設です。
建物内部は2~13階がオフィス、その上の14~23階は住宅となっていてガラスのボリュームが天まで伸びるようなデザインで統一されています。
大きな高低差を活用した足元のガーデンでは、都心の中に小さなクールスポットをつくり出していて、住宅やサラリーマンの憩いの場となっていました。
設計:森ビル+大成建設
所在地:東京都千代田区平河町2-16-2
アクセス:永田町駅より徒歩約2分
竣工:2010年
5.国立劇場
国立劇場は、1966年に開館した劇場で、半世紀以上に渡って歌舞伎、文楽、日本舞踊などの様々な公演が催されてきた日本の伝統芸能の殿堂です。
建設に当たって行われた公開設計競技には300件を超える設計案が提案され、校倉造りをモチーフにした竹中工務店の案が実現しました。
シンプルだけれど陰影豊かな立面は、日本の美意識とモダニズムの端正さ融合したデザインとなっていて、飽きのこない普遍性と奥深さを感じさせます。
設計:竹中工務店
所在地:東京都千代田区隼町4-4-1
アクセス:永田町駅より徒歩約4分
竣工:1966年
備考:第9回BCS賞
現在の老朽化のため閉館中
6.最高裁判所
最高裁判所は、いわずもがな日本の司法機関における最高機関ですが、現在の建物は半世紀前の1974年に建てられました。
要塞か母艦のようにもみえる地上5階地下2階建ての建物は、石で覆われたボリュームが立体的に交錯する迫力の建物となっています。
設計を手掛けた岡田新一氏の建物は以前このブログでも警視庁本部庁舎や日本歯科大学体育館などを紹介しましたが、岡田氏はこの最高裁判所のコンペ当選をきっかけに独立し、建築家としてのキャリアをスタートしました。
普遍性と重厚感、品位を体現した建物は、半世紀の歴史を重ねることで日本の司法機関の象徴ともいえる建物となっています。
設計:岡田新一/岡田新一設計事務所
所在地:東京都千代田区隼町4-2
アクセス:永田町駅より徒歩約3分
竣工:1974年
備考:1975年日本建築学会賞
7.国立国会図書館
国立国会図書館は、国会に属する唯一の国立図書館で、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する法定納本図書館でもあります。
1968年に竣工した本館は、17の層に分かれた正形の書架棟と、その周囲を巡る閲覧室や事務室により構成されています。
書架の総延長は約172kmに及び、正形のグリッドが連続する知の杜が広がっている様は圧巻です。
1986年に建てられた新館は、本館の北側と東側に建てられたL字の建物です。
地上4階地下8階建ての建物は、書架の大部分を地下に納めていて、総延長約240kmという膨大な長さの書架が積み重ねられています。
ダイナミックで力強いコンクリートの躯体によって支えられる建物は、光によって微妙に表情を変える空間で包みこまれていて、心地よくも壮大な本の建築を形つくっています。
設計:前川國男建築設計事務所+建設省
所在地:東京都千代田区永田町1-10
アクセス:永田町駅より徒歩約3分
竣工:1968年(本館)、1986年(新館)
8.国会議事堂
国会議事堂はその名の通り日本の国会が開催される議事堂で、現在の建物は1936年に建設されました。
教科書やメディアで度々登場するお馴染みの建物ではありますが、建設に当たっては50年以上の歳月がかかりました。明治時代に海外の建築家を招聘、日本人建築家の留学からはじまり、建築界の重鎮等による論争、設計競技による仕切り直し、その後の当選案の大幅改変、関東大震災による混乱など紆余曲折を経てつくられたのが現在の国会議事堂なのです。
ピラミッド型の塔を中心に両翼に議院が広がる建物は、日本全国の素材と職人を総動員してつくられていて、唯一無二といえるシンボル性をもって永田町の地に佇んでいます。
設計:大蔵省臨時議院建築局
所在地:東京都千代田区永田町1-7-1
アクセス:永田町駅より徒歩約3分
竣工:1936年
9.旧千代田区立永田町小学校
旧千代田区立永田町小学校は、永田町駅前に建つ1937年に建てられた校舎建築です。
装飾を廃したシンプルな校舎は、一見して見逃してしまいそうになりますが、戦前に建てられた現存する校舎として貴重な建物でもあります。
合理的な近代校舎を目指してデザインされた校舎は、高低差の多い地形と現代的な建物が立ち並ぶ街並みとあわさてみると、よりその端正なデザインが際立ってみえて面白いです。
設計:東京市
所在地:東京都千代田区永田町2-19-1
アクセス:永田町駅より徒歩約1分
竣工:1937年
10.星陵会館
旧千代田区立永田町小学校脇の坂道を下った先に建つ星陵会館は、隣接する都立日比谷高校の同窓施設として建てられたホール・会議室・レストラン等の複合施設です。
不整形な敷地に合わせて建てられた建物は敷地を最大限活用するような平面計画となっていますが、各方面に開いた眺めの良い会議室や、ドーム屋根のレストラン兼多目的ホールなど、豊かな内部空間が計画されています。
設計:河原一郎建築設計事務所
所在地:東京都千代田区永田町2-16-2
アクセス:永田町駅より徒歩約3分
竣工:1982年
11.東京ガーデンテラス紀尾井町
東京ガーデンテラス紀尾井町は、赤坂プリンスホテルの跡地に建てられた複合施設で、地上36階地下2階の紀尾井タワーと地上21階地下2階の紀尾井レジデンスで構成されています。
外装デザインはKohn Pedersen Fox Associatesが手掛けていて、重箱をモチーフにしたデザインは重厚感と軽やかさが融合しています。
高低差を活かした地上部のデザインも注目で、植栽やパブリックアートが織り混ざった立体的なオープンスペースは訪れる人々の憩いの場となっています。
外装デザイン:Kohn Pedersen Fox Associates
設計:日建設計
所在地:東京都千代田区紀尾井町1−2
アクセス:永田状駅より徒歩約1分
竣工:2016年
12.赤坂プリンスクラシックハウス(旧李王家東京邸)
赤坂プリンスクラシックハウスは、1930年に建てられた旧李王家東京邸の建物を改修したレストラン・結婚式場です。
戦後は赤坂プリンスホテルとしても多くの人に親しまれた建物は、チューダー様式を中心に様々なデザインが取り入れられています。
王家の子息のためにつくられた建物は、壁面から細かい装飾までこだわりの意匠が満載で、職人の手仕事が光る精巧な装飾からステンドグラスまで美しい建築美を堪能できます。
設計:北村耕造+権藤要吉/宮内省内匠寮
改修設計:日建設計
所在地:東京都千代田区紀尾井町1−2
アクセス:永田状駅より徒歩約1分
竣工:1930年(2016年改修)
備考:第29回BELCA賞
東京都指定有形文化財
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