今日は群馬県太田市にある太田市美術館・図書館を見学してきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・太田市美術館・図書館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・太田市美術館・図書館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・太田市美術館・図書館の建築的な見どころや注目ポイント
1.駅前にできた現代的な装いの美術館・図書館を訪問
今回は群馬県太田市に話題の建築家がデザインした素敵な文化施設があると聞き、早速訪れてきました。
この日は久々に群馬県館林市で建築巡りをしたのですが、電車で館林駅はからすぐの太田駅前に今回の目的地である太田市美術館・図書館があるとわかり立ち寄ってきました。
太田市美術館・図書館は、太田駅の北口を手で目の前の場所にある文化交流施設で、建築家の平田晃久氏率いる平田晃久建築設計事務所による設計で2017年にオープンしました。
平田晃久氏の建築といえば、このブログでも東京大塚のTree-ness HouseやOverlap House、水道橋のナインアワーズ水道橋などを紹介したことがありますが、東京都外の作品を取り上げるのは今回がはじめてです。
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一般的に美術館や図書館といえば箱型の建物で内部の所蔵物を守るために堅牢で閉鎖的なイメージがあります。
しかし、この建築ではBOXと呼ばれるコンクリート造の5つのボリュームを中心に、その周りを鉄骨造のスロープが巡るつくりとなっています。
スロープは建物の外部や内部を立体的に巡りながら各フロアや機能を繋げています。
ガラスに覆われた回廊は建物の内外を軽やかに包みこんでいて、スタイリッシュで開放的な建築をつくりだしています。
建物は駅やロータリー、駐車場や住宅街など建物の周りの様々方向に開いていて、特定の正面入口がないのも大きな特徴です。
こうした正面性(≒権威性)を持たず、市民に開いた建物というコンセプトは戦後の公共建築からみられるようになったものですが、そうした姿勢が太田市美術館・図書館からもよく伝わってきます。
従来の公共施設では単なる通路となるような「地」の部分が、この施設では複数の文化ゾーンを繋ぎつつ、訪れた人が気軽に佇めるスペースとなっているのです。
建物の設計に当たっては、市民や施設の運営スタッフとワークショップを重ねた上で設計案をブラッシュアップしていっており、実験的な計画を現実に使う人たちを含めて実現していっていることも特筆すべき点です。
施設の中を実際に巡ってみると、地の部分であったはずのスロープが、建物内を縦横無尽に貫きながら、読書スペースや作業スペース、休憩スペースになっています。
動線として建物内を繋いでいるだけでなく、訪れた人びとが皆思い思いの過ごし方をしていたのが印象的でした。
文化交流施設という幅広い機能に対して、それぞれの機能や居場所が独立し共存しつつ、緩やかに繋がるような場がデザインされているのが興味深いです。
2.小山のような建物が面白い!スロープを巡って外部も堪能
建物内を堪能したあとは外部のスロープを登って外部空間を散策しました。
立体的にスロープが巡る建物はちょっとした小山のようでもあります。
小学生の頃に学校内にあった小山を駆け巡っていた記憶が蘇りましたが、こちらの建物の外部スペースには所々に佇めるようなファニチャー類が散りばめられています。
屋上では地上よりも少しちょっと強めに吹く風が心地よく、図書館で本を読んだり美術館で作品を鑑賞した後にここでそれらを振り返るのも楽しいだろうなと想像してしまいます。
小さな建物ではありますが、一つの建物の枠というよりも、街の一部のような感覚に思えるのも面白いです。
屋上からの見晴らしも良く、太田駅前の街を一望できるのも素敵です。
天気の良い日はここで本や雑誌を広げて読書するのも楽しそうです。
この建築を訪れたのは今回がはじめてだったことも大きいですが、建物を散策していると、自分が今どこにいるのか分からなくなる体験を何度もしました。
私は理路整然と棚や展示が並ぶ施設よりも、迷いながら本や作品と出会う図書館や美術館体験に魅力を感じる方なので、この施設は刺激的で楽しい体験ができました。
オペレーションや利用時は慣れないと大変な部分もあるかと思いますが、ひとつの文化施設のあり方としてとても興味深かったです。
3.建物を堪能した後はカフェCoffee&Th!ngs Oh!でひと休み
建物を堪能した後は1階に降りてカフェCoffee&Th!ngs Oh!でひと休みしました。
こちらのカフェは建物1階のスペースにはいっていて、美術館の企画やアーティストとコラボしたメニューも充実しているのが特徴です。
ロータリーに面しているので、バスや自宅からの迎えを待つ一時にもピッタリです。
この日頂いたのは、オレンジとヨーグルトのフラッペとクッキー。
フラッペは自家製のオレンジソースとヨーグルトの酸味がマッチしていて、少し暑くなりはじめた季節にピッタリの爽やかな味わいでした。
Oh!と書かれたドリンクと「た」のクッキーで、「Oh!た」(太田)となっているのも面白いです。
4.近くに建つ旧金山図書館も見逃せない!
太田市美術館・図書館を見学した後は、せっかくなので、すぐ近くに建つ旧金山図書館を訪れました。
旧金山図書館は、太田市美術館・図書館から北西に5分ほど歩いた所に建つ建物です。
この建物は太田出身の実業家である葉住利蔵が私財を投じて建てた私立の図書館です。
今から100年以上前の1922年に建てられた図書館は、その後市に寄贈されて公立図書館となった後、現在は公民館として使用されています。
和の要素と洋の要素が融合した大正モダンらしい建物がとても素敵です。
淡いグリーンの大きな窓もアクセントとなっていて、小さいながら見ごたえがありました。
建物は市指定重要文化財にもなっていて、現在も大切に受け継がれているようでした。
素敵な建築をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットなので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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太田市美術館・図書館
設計:平田晃久建築設計事務所
所在地:群馬県太田市東本町16-30
アクセス:太田駅より徒歩約1分
竣工:2017年
開館時間:10:00〜20:00
※日曜日、祝日は18:00まで。また図書エリア、企画展の観覧も18:00まで
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
備考:第59回BCS賞
2017年度グッドデザイン賞
公式HP:https://www.artmuseumlibraryota.jp/
旧金山図書館
所在地:群馬県太田市本町27-9
アクセス:太田駅より徒歩約6分
竣工:1922年
備考:市指定重要文化財
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