インド風!?特異な寺院建築、築地本願寺を見学してきた【東京築地】

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あけましておめでとうございます。
新年1発目ということで今回は東京築地にある異色の寺院「築地本願寺」についてご紹介したいと思います。

築地駅の目の前にあるこの建築。一度見たら忘れられない不思議な建築ですが、日本の伝統的な寺院なんです。
しかも日本建築史の創始者ともいわれる伊東忠太という建築家によって設計され、かれの最高傑作ともいわれる建築です。実はこんな外観にもしっかりした理由があってつくられていてそのことを知ってみると見どころ満載のとても面白い建築なのです。
今回はそんな築地本願寺に行ってきましたのでその建築をご紹介します。

1.築地本願寺とは

築地本願寺は東京築地に建てられた浄土真宗本願寺派の寺院で、京都にある西本願寺の直轄寺院でもある歴史ある寺院です。
もともとは江戸時代に日本橋に建てられましたが、火災による焼失などにより1934年に再建され、現在の築地本願寺となりました。
その特徴はインド風の外観と和風の内観が合わさった他に類を見ない建築で、設計は日本建築史の創設者ともいわれる伊東忠太によるものです。

唐突にインド?とも思いますが、よくよく考えてみれば仏教の源流はインド。伊東氏と当時の築地本願寺の依頼主であり西本願寺の当時の宗主であった大谷光瑞氏は実際にインドを旅してまわったそうです。
そしてその成果はこの特異ともいえる築地本願に結晶しました。普通寺院を建てるとなれば古来の日本の寺院を参照するか、日本に伝わった寺院のもととなった中国までかと思いますが、そこからさらに遥かインドまで遡ってつくられたのが築地本願寺なのです。

2.伊東忠太とは

では設計者の伊東忠太について簡単にご紹介します。
伊東忠太は1867年生まれの建築家・建築史家です。東京帝国大学(現在の東大)を卒業後、同大学院にて博士を取得、東京帝国大の教授となり日本の建築史の創始者ともいわれる人物です。
建築家初の文化勲章も受賞しているまさに建築の大家。

建築史家として多大な功績を残しつつ、築地本願寺をはじめ両国の東京都復興記念館神田の湯島聖堂といった実作を数多く残しました。

伊東は単に正統な建築を目指した建築家ではなく和洋の差や時代、様式を問わず本当にその建築がどうあるべきかを考えて実行した建築家です。
伊東の建築は一見すると不思議なものばかりにも映りますが、学術的な根拠に裏打ちされた膨大な知識に基づきながらそこに独特の感性をミックスしてつくりだされた建築が伊東建築の特徴です。
それはまさに唯一無二の建築でとして高い評価を得ていますが、その中でも今回の築地本願寺は彼の代表作ともいえる建築です。

では早速見ていってみましょう。

3.早速突入!外観をみる

築地本願寺は地下鉄築地駅をでてすぐ目の前にあります。駅を降りて正面の門まで数十メートル歩くと到着です。

先ず門をくぐると目に入るのは壮大なその外観です。他のお寺では見たことのない不思議で壮大な外観にまずは圧倒されます。
伊東忠太は仏教の源流を遥かインドまで遡りこの建築を構想した為、随所にインドのデザインが見られるのです。

入口に近づいていくとカマボコ型の屋根が列柱によって支えられていますが、近づいてみると遠目では分らなかった意匠が細かくデザインされていることに驚きます。
入口を守るのは狛犬ではなく2体の獅子。これはインドに伝わる空想上の生き物をモチーフにしていますが、伊東氏の建築にはこういった生き物が各所に配置されていることも注目ポイントです。
ちなみに階段に見える三角形の造形は「シカラ」というインドで見られる屋根を模しています。

さらに近付いてみてみると、柱1つとっても何段階にも形が変わっているのが分ります。ここまで細かく変化する柱は見たことがありません。
入口付近では例えば樋1つとっても細かいデザインが施されていて、どことっても飽きることなく見ていられます。

一度階段を下りて両翼部分を見て見ます。
上に見える塔はストゥーパといってインドにある仏塔を模したものと思われます。ここだけでなく中央の屋根にもよく見るとこのストゥーパがたくさん建てっていることが分ります。

壁、屋根、窓、床、樋…。どこをとっても異色の意匠が散りばめられていますが、不思議と散漫には見えませんでした。じっと見ているとまるであらかじめういったものがあったかのように調和がとれ、自然に見えてくることに驚きます。

4.中に潜入!中も不思議な建築

では早速中に入っていきます。
ちなみに参拝は自由にでき、もちろん無料ではいれます。他の参拝者に迷惑にならないように見学します。
まずは中に入る前のエントランス部分に注目。ここにも伊東の真髄ともいえる特長が見てとれます。

入口には2体の獅子が座っていましたが、ここでも見たことあるようでないような不思議な生き物が配置されています。

階段の手すり部分には上の写真のような4体の像がいますし、そのほかにも梁の下の部分に猿とも猫ともとれる生き物がいたりします。

この建築を守る守り神の様でもあり、あの世とこの世を繋ぐ寺院に降り立つ魑魅魍魎の様でもあります。伊東氏の宗教建築には必ずといっていいほどこうした生き物が配置されており、伊東建築を訪れた際はこういった動物たちを探してみると面白いです。

中に入ってみるとそこに広がるのは外観とはうってかわって和の空間。日本人には見慣れた格子の天井や柱上部の雲形の意匠が目を引きます。
この建物は当時としては珍しかった鉄筋コンクリートでつくられたので、梁の意匠も木造ではなくコンクリートつくられています。
さらに正面に進むと、内陣は畳のスペースで正統な仏教の空間が広がります。

そこでふと振り返ると後ろにあるのが、まさかのパイプオルガン
大きく分けると外観はインド、内観は和風の建物ですが、あらゆる文化を柔軟に取り入れ、受け入れる姿勢を感じます。

こちらは最後部のタイル。綺麗な市松模様となっています。
入口の階段があった場所のタイルが45度に触れていたのに対して、1歩中に入ったこちらの空間が整然と並んだタイルになっていてることは注目ポイントです。

両翼の内装は打って変わって西洋風な印象を受けます。
空間によってガラッと印象が変わるのはとても面白いですが、日本建築からはじまり西洋・東洋問わずあらゆる建築を熟知している伊東だからこそ出来た建築であることを思い知らされます。

こちらは1階のスペース。コンクリートに夜細かい意匠は健在です。
ちなみに1階のラウンジは2017年の境内整備によって三菱地所設計にって改修されています。

5.合わせて見たい敷地内のその他の建築

最後に築地本願寺の敷地内で見られるその他の建築についてもご紹介します。
築地本願寺は2017年に大規模な整備計画が実行され、上で少しふれた1階ラウンジの整備をはじめ永代納骨堂である合同墓とインフォメーションセンターの新設などが行われました。
設計は三菱地所設計が行ったもので、訪れた際はこちらも合わせて見ておきたいですね。

インフォメーションセンターは情報発信の拠点として設けられ、イベントなどが行われることもあります。またカフェも併設されていますので、見学・参拝の際には立ち寄って休憩してみることをおススメします。

いかがでしたでしょうか。
最初は奇抜に思えた建築も、実際に見学してみると、伝統的で決まった様式をそのままあてはめるわけではなく、いろいろな文化を総動員してつくられた建築だったことが分りました。
また、これだけ色々な要素が組み合わさった建築なのになんだか落ち着いて見られるのがとても不思議な体験でした。
唯一無二にしてまさしく人類の遺産といっても過言ではないこの建築、気になった方は一度訪れて見て下さい。


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設計:伊東忠太
所在地:東京都中央区新富2-7-8
最寄り駅:築地駅徒歩1分
竣工:1934年

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