今日は東京築地で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・築地エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・築地エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・築地エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.築地本願寺
まずはじめに紹介する築地本願寺は、インド風の外観と和風の内観が合わさった珍しいデザインのお寺で、伊東忠太氏の最高傑作ともいわれる建築です。
なぜ唐突にインド?とも思う方もいるかもしれませんが、伊東氏はこの築地本願寺の設計に当たって、仏教の源流をはるかインドまで遡り結晶化させました。
恐らく当時日本一と言っていいほど建築史に精通した伊東忠太氏が全霊をかけてデザインした建築は、正に唯一無二の建築。
そんな歴史的にも建築的にも価値のある築地本願寺には、伊東忠太氏の定番となった数々の生き物が随所に配置されているのも注目ポイント。
入口を守るのは狛犬ではなく、2体の獅子だったり、階段の手すりや梁の下に鎮座する生き物など、伊東イズムをたっぷりと堪能できます。
詳細記事
・築地「築地本願寺」謎のインド風建築のデザインと魅力をレポート
設計:伊東忠太
所在地:東京都中央区新富2-7-8
アクセス:築地駅より徒歩約1分
竣工:1934年
公式HP:https://tsukijihongwanji.jp/
2.築地TEN HAUS
築地TEN HAUSは、築地駅と新富町駅の中間に建つ地上5階地下2階建てのオフィスビルです。
設計を手掛けたのはアーキテクトファイブで、以前このブログでも紹介した幡ヶ谷のHAT HAUSシリーズとほぼ同時期に計画された兄弟のような建物です。
敷地の形や方位といった条件を綿密に計算した上で、開口部の下の通気システムや樋を兼ねた屋根の水平装飾、最上階のトップライトなど建築を大きな環境装置と捉えてコントロールしようと試みているのが面白い建築です。
設計:アーキテクトファイブ
所在地:東京都中央区築地2-4-10
アクセス:築地駅より徒歩約2分、新富町駅より徒歩約2分
竣工:1992年
3.SNPビル
SNPビルは、築地TEN HAUSからやや西に進んだ平成通りに建つ印刷会社の旧東京本社ビルです。
駐車場、オフィス、印刷所、スタジオなど様々な機能が垂直に積み重なるように計画された建物は、2層ワンセットとなったブレースで合理的且つダイナミックに支えられています。
様々な素材を組み合わせたデザインも魅力的で、近辺のビルの中でも一際目立ってこの近辺のちょっとしたランドマークにもなっています。
設計:中村弘道/中村弘道・都市建築計画設計研究所
所在地:東京都中央区築地2-1-16
アクセス:築地駅より徒歩約3分、新富町駅より徒歩約1分
竣工:1997年
4.つきじ宮川本廛
つきじ宮川本廛(みやがわほんてん)は、明治中頃に創業した老舗の鰻屋さんです。
落ち着いたトーンで佇む地上5階建ての建物は、知らずに通りかかると気づかず素通りしてしまいがちですが、昭和を代表する建築家の吉村順三氏がデザインを手掛けました。
シンプルながら品のある端正なデザインの建物は、中に入ると雰囲気ががらりとかわり、モダンでありながら伝統を感じる和の空間が広がる築地の隠れ名建築です。
設計:吉村順三/吉村順三設計事務所
所在地:東京都中央区築地1-4-6
アクセス:築地駅より徒歩約2分、新富町駅より徒歩約2分
竣工:1982年
5.一九堂ビル
一九堂ビルは、つきじ宮川本廛から平成通りをさらに南西に進んだことろに建つ地上9階地下1階建てのオフィスビルです。
ガラスや鋼材を多用したハイテックなデザインの建物は、建物フレーム内に設けられた巨大な吹き抜けや、全面の歩道と連続して歩道を引き込むようにデザインされたエントランス空間など環境を取り込み、最大限活用する工夫に満ちています。
設計:芦原太郎建築事務所
所在地:東京都中央区築地1-9-5
アクセス:築地駅より徒歩約2分、新富町駅より徒歩約2分
竣工:1989年
6.中央区役所
中央区役所は築地駅の北西、新富町の地下鉄出入口からすぐの場所に建つ中央区の区役所です。
現代の区役所というとスタイリッシュなガラスの建物が多くなりましたが、中央区役所はいぶし銀のような輝きをもつ有田焼のタイルのマッシブな建物となっています。
日のあたり具合によって様々な表情を見せてくれる外装や、合理的な中に普遍的に残る美しい内装など、シンプルながら見どころ満載の名建築となっています。
設計:佐藤武夫/佐藤武夫設計事務所
所在地:東京都中央区築地1-1-1
アクセス:築地駅より徒歩約5分、新富町駅より徒歩約1分
竣工:1969年
7.築地KYビル
続いて紹介するの築地KYビルは、1980年代に建てられた建物の改修プロジェクトで、改修デザインは建築家の隈研吾率いる隈研吾建築都市設計事務所が手掛けています。
交差点に面した立地を利用して、壁面に木目調の細かいアルミパネルを並べた立面は、建築好きが見ればすぐに隈研吾氏を連想してしまうほど特徴的なデザイン。
部材を細かく分節することでスケール感を落としつつ、賑わいを演出しているのも隈研吾氏らしく、夜には行灯のような光で築地の街を照らしています。
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都中央区築地4-7-5
アクセス:築地駅より徒歩約1分
竣工:1988年(2016年改修)
また、2022年には建物の1階に入る寿月堂(じゅげつどう)本店が隈研吾建築都市設計事務所のデザインでリニューアルオープンしました。
寿月堂は1854年に創業の丸山海苔店による日本茶専門店で、竹の野点傘をモチーフにしたデザインが特徴の店舗では絶品の日本茶やスイーツを頂けます。
しなやかなカーブを描きながら空間を覆う竹材は、受け継がれる伝統と共に移りゆく現代という時空を象徴するようでとても興味深いです。
設計:隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都中央区築地4-7-5
アクセス:築地駅より徒歩約1分
竣工:2022年
8.ADK松竹スクエア
築地エリアと銀座エリアの間に架かる萬年橋の向かいに建つADK松竹スクエアは、近くに建つ歌舞伎座と同じく建築家の隈研吾氏と三菱地所設計との共同設計でデザインされた建物。
都市空間を建築化したような木製の大階段の他、一見してガラスのオフィスビルに見えますが、どこか儚さと繊細さを感じる立面デザインなど、現代的な建物の中に日本建築のエッセンスを感じるのが面白い建築です。
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所+三菱地所設計
所在地:東京都中央区築地1-13-5
アクセス:築地駅より徒歩約2分
竣工:2002年
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