山梨県甲府で建築巡り!おススメの名建築20選を紹介

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今回は山梨県甲府市で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・甲府エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・甲府エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・甲府エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説

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1.謝恩碑

甲府城跡謝恩碑

まず初めに紹介する謝恩碑は、山梨県内にあった皇室の山林を御下賜されたことを記念して甲府城跡内に建てられた記念碑です。
この山林は現在恩賜林とも呼ばれていますが、謝恩碑を設計したのは当時明治神宮造営局にいた建築家伊東忠太氏と、大江新太郎氏です。
伊東忠太といえばこちらの記事でも紹介した築地本願寺をはじめ数々の名建築・名神社を残した建築史家。また、大江新太郎氏も明治神宮大や伊勢神宮の設計に携わった大物建築家で、2人はこの謝恩碑と時期を同じくして東京代々木の明治神宮の造営を行っています。

高さ60尺(約18m)の塔は伊東の設計にしてはかなりシンプルですが、城壁を思わせるような抽象的な塔は、高層建物が多く建つ現代の交付においてもランドマーク性は抜群です。甲府城の跡地に城ではなくシンプルな塔が建っている風景もとても面白いです。

甲府城跡謝恩碑

設計:伊東忠太+大江新太郎
所在地:山梨県甲府市丸の内1-5
アクセス:甲府駅より徒歩約5分
竣工:1922年

2.甲府武徳殿

甲府城武徳殿は、舞鶴城公園内にある謝恩碑のすぐ隣に建つ武道場です。
板敷の剣道場と畳敷の柔道場からなる建物で、建設から80年以上建ちますが未だに現役で使われています。
寺院のようにも見える建築ですが、内部を覗くと見事な格子天井が見えました。元々は観覧席まであったそうで、長い歴史を感じる建物です。

武徳殿
武徳殿

所在地:山梨県甲府市丸の内1-5
アクセス:甲府駅より徒歩約5分
竣工:1933年

3.恩賜林記念館

恩賜林記念館

恩賜林記念館は、舞鶴城公園の中にある恩賜林保護団体が御下賜40周年記念事業として建てた記念館です。
一見コンクリート建造物に見えますが木造2階建ての建築で、恩賜林内から産出した材材を使用しているのが特徴です。外壁は花崗ブロックでつくられ、窓のサッシもよく見ると木造であることに驚きます。
ちなみに設計者の小尾嘉郎の現存する作品はほとんどありませんが、現在は「キングの塔」として親しまれている横浜の神奈川県庁本庁舎はコンペで1等となった小尾嘉郎案をもとにつくられています。

恩賜林記念館
恩賜林記念館

設計:小尾嘉郎
所在地:山梨県甲府市丸の内1-5-4
アクセス:甲府駅より徒歩約5分
竣工:1953年

4.舞鶴城稲荷櫓

続いて紹介するのは舞鶴城公園内に建つ稲荷櫓です。
甲府城は、江戸時代に建設されましたが明治時代に廃城となり、明治10年前後には城内の主要な建物はほとんどが取り壊されてその姿はわずかな資料に確認されるのみとなっていました。
近年行われた発掘調査で遺構が発見され、2004年に残っていた絵図や史料とを照会してできるだけ当時の姿に復元した稲荷櫓が再建されました。

所在地:山梨県甲府市丸の内1-4
アクセス:甲府駅より徒歩約5分
竣工:2004年

5.山梨県議会議事堂

県議会議事堂

山梨県議会議事堂は、山梨県庁舎旧本館に隣接して建てられ、山梨県庁舎旧本館と合わせて当時の山梨県の中核をなす建物です。
設計に当たっては辰野金吾の弟子であり現在の清水建設の副社長も務めた建築構造学者である佐野利器が指導を行っています。
車寄せの柱や外壁下部の腰部には花崗岩、その上部は特殊タイルが貼られて屋根は瓦葺きになっていて、外観は当時の内容が忠実に残っており、堂々とした佇まいに圧巻されてしまいました。

県議会議事堂

設計:佐野利器+山梨県庁建築課
所在地:山梨県甲府市丸の内1-6-1
アクセス:甲府駅より徒歩約3分
竣工:1928年

6.山梨県庁舎

山梨県庁舎旧本館

山梨県庁舎旧本館は、県議会議事堂とほぼ同時期に建てられ、設計は同じく佐野利器と山梨県庁建築課が行っています。
議会議事堂とは渡り廊下で接続されて兄弟のような建築となっていますが、こちらも外壁に伝う木枝がまるで生き物のように張り巡らされていることからもその歴史を感じさせられます。
建物だけでなく、植栽の花壇のデザインもしゃれているので訪れた際には是非チェックしてみて下さい。
ちなみに旧知事室、旧知事応接室等も公開されていて、内部もじっくり見学することができます。

山梨県庁舎旧本館

設計:佐野利器+山梨県庁建築課
所在地:山梨県甲府市丸の内1-6-1
アクセス:甲府駅より徒歩約4分
竣工:1930年

旧本館に隣接する山梨県庁舎本館も、内藤多仲と明石信道による設計の庁舎です。

山梨県庁舎本館

細部の意匠が武骨でありながら他では見られない独特な意匠となっていて味わい深い建築です。
2002年に横河建築設計によって免震レトロフィット工事と内部の全面改修・再生が行われました。

山梨県庁舎本館

設計:内藤多仲+明石信道
所在地:山梨県甲府市丸の内1-6
アクセス:甲府駅より徒歩約4分
竣工:1963年

さらに2013年には山梨県庁舎の南側に建つ地上9階地下2階建ての庁舎、市民プラザ、カフェ、ミュージアム等の複合施設である山梨県防災新館が竣工しました。

山梨県防災新館

大規模災害発生時の本部機能を担う為、防災拠点として高い構造・設備性能を確保しつつ、地上部は街に開いた開放的でクリアなデザインとなっているのが特徴です。
重厚感のある落ち着いたデザインと、面を分節して圧迫感を軽減しつつ県庁舎をひき立たせるような一歩引いたデザインのバランスも絶妙です。
1階のカフェではドリンクや軽食の他、ランチもやっているので、建築巡りの合間の食事スポットとしてもオススメです。

山梨県防災新館
山梨県防災新館

設計:清水建設+UG都市建築+石本建築事務所
所在地:山梨県甲府市丸の内1-6-1
アクセス:甲府駅より徒歩約5分
竣工:2013年

山梨県庁の最後に紹介するのが、こちらの山梨県庁南別館です。
こちらの建物は山梨県出身の政治家であり実業家でもあった根津嘉一郎氏の寄付によって建てられ、元々は県立図書館でした。
1970年に県立図書館が移転した後は山梨県庁南別館として利用されていましたが、耐震性や活用方法の問題から2010年に解体されてしまいました。
尚、1970年に移転した図書館は鬼頭梓の設計でしたが、こちらも2012年に解体され現存はしていません。

設計:久留中
所在地:山梨県甲府市丸の内1-6
アクセス:甲府駅より徒歩約4分
竣工:1930年
備考:現存せず

7.山梨県民会館※現存せず

山梨県民会館は、東京タワーの設計者としても知られる山梨県出身の内藤多仲らによって設計されました。東京タワーの竣工が1958年ですので、ほぼ同時期に進行していたプロジェクトとなります。
構造設計者らしい荒々しくも力強いフレームの構造体が特長の建物は、山梨県内で初めての大型公会堂や大小ホールや映画講堂から成る公会堂部分と、貸しビルを主としてこちらも県内で初めての公共展覧会場や結婚式場、レストランからなるオフィス棟で構成され、甲府の発展の象徴として半世紀以上の時を刻んできました。
甲府のランドマークとなっていた建築ですが、公会堂部分は1999年に、そして残りの部分も2015年に解体されてしまいました。

設計:内藤多仲+明石信道
所在地:山梨県甲府市丸の内1-9-11
アクセス:甲府駅より徒歩約7分
竣工:1957年
備考:現存せず

8.旧甲府郵便局舎※現存せず

旧甲府郵便局舎は、日本武道館の設計でも知られる山田守によって設計された郵便局です。
近年まで甲府市役所4号館として使用されていましたが、こちらも2010年に解体されてしまいました。
交差点に建ちアールの曲面は当時の郵便局などによく見られるデザインですが、上階が白い塗装で、下階が暗めのタイルとなっていて建物の2階部分が浮きあがるようなデザインとなっています。

まるで当時世界で流行していたインターナショナルスタイルの建築のようだと思って調べてみると、ル・コルビュジエのサヴォア邸は1931年の竣工で旧甲府郵便局舎と同じ年の竣工でした。サヴォア邸の設計開始が1928年なので、ひょっとしたら山田守もコルビュジエのスケッチや作品を見ていち早くそれをこの建築にとりいれたのではないかと思っています。

設計:山田守
所在地:山梨県甲府市
竣工:1931年
備考:現存せず

9.甲府市藤村記念館(旧睦沢学校校舎)

甲府市藤村記念館(旧睦沢学校校舎)

甲府市藤村記念館は、元々は明治時代の1875年に旧巨摩郡睦沢村(現在の山梨県甲斐市)に建てられた旧睦沢学校校舎を移築・改修した資料館・交流施設です。
木造2階建ての建物は、和洋の建築が融合し、絶妙に均衡が取れた美しい擬洋風建築となっていて、この様式は当時の山梨県令だった藤村紫朗が推進していたことにちなんで「藤村式建築」とも呼ばれます。
当時としては最先端の西洋建築を引用しつつ、瓦屋根に城郭を思わせる塔屋が顔を出していたり、日本古来の図形モチーフが用いられていたりと見所が満載となっていて、甲府駅前の新たなランドマークとなっています。

甲府市藤村記念館(旧睦沢学校校舎)
甲府市藤村記念館(旧睦沢学校校舎)

所在地:山梨県甲府市北口2-2-1
アクセス:甲府駅より徒歩約1分
竣工:1875年(1966年移築復元、2010年移築復元)
利用時間:9:00~17:00
定休日:月曜、年末年始
入館料:無料
備考:国重要文化財

10.山梨県立図書館

山梨県立図書館

山梨県立図書館は、甲府駅北口駅前に建つ地上4階地下1階建ての図書館です。
図書館機能だけでなく、地元のイベントや文化交流拠点として計画された建物は、地元山梨にちなんだ「ぶどう棚」をモチーフにデザインされた鉄骨フレームによる大架構空間が特徴です。
3フロアを支える架構は、一見して構造材とは思えないような柔らかいカーブを描きながら天井を支え、合間から自然光が降り注ぐ開放的な図書館がつくりだされています。
大空間に様々に性格の異なる居場所が入れ子状に点在していて、老若男女問わず皆思い思いの過ごし方をしていたのが印象的でした。
1階には図書カフェというカフェも併設しているので、建築巡りの合間の休憩スポットとしてもオススメです。

山梨県立図書館
山梨県立図書館

設計:久米設計+三宅建築設計事務所
所在地:山梨県甲府市北口2-8-1
アクセス:甲府駅より徒歩約1分
竣工:2012年
備考:第25回JSCA賞

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