彫刻の森美術館に潜入!建築好きの観点からレポート【神奈川県箱根】

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今回は箱根にある彫刻の森美術館について、建築的な視点からご紹介したいと思います。
かなり有名な美術館なのでご存知の方もいるかと思いますが、彫刻の森美術館は神奈川県箱根町にある美術館で、今からちょうど50年前の1969年に開館した日本ではじめての野外美術館です。

約7万㎡の広大な庭園に近・現代を代表する芸術家・彫刻家の作品100点以上展示されていますが、じつはこの美術館、建築好きにこそ訪れてほしい建築パワースポット的美術館なのです。
今回はそんな彫刻の森美術館の魅力についてご紹介できればと思います。

1.アクセスと施設概要

まずはアクセスについて簡単にご紹介すると、彫刻の森美術館は箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車徒歩2分のことろにあります。
箱根に訪れた人の多くは箱根湯本駅から箱根登山鉄道にて各駅のアクティビティを楽しむ方がほとんどかと思いますが、「彫刻の森」駅もそんな登山鉄道の中の一駅です。
駅からは道を渡ってすぐなので、迷うことはないと思います。
※現在先の台風の被害で箱根登山鉄道の復旧が2020年の秋ごろの見込みとなっています。箱根湯本駅から代替バスがでていますので、そちらを使ってアクセスできます。

開館時間と料金については以下の通りです。
開館時間:9:00~17:00
休刊日:年中無休、入館は閉館30分前まで可能
入館料
 大人 1600円
 大学生・高校生 1200円
 小中学生 800円

ちなみにインターネット割引ということで、100円引きになるネット上のクーポンも公式HPに掲載されていたりするので訪れる前には是非チェックしてみてください。

2.早速突入。本館を設計したのは彫刻家!

まずこの美術館の本館ギャラリーの設計は、建築家ではなく彫刻家の井上武吉(いのうえぶきち)氏が行っています。
井上氏は東京都庁の足元の彫刻をはじめ数々のパブリックアートを手掛けたことでも有名ですが、建築・美術好きの方にとっては東京都美術館の屋外にある丸い鏡のような球体オブジェといえばピンとくる方も多いと思います。

本館ギャラリーも彫刻的で、1階を透明なガラスとして、その上に巨大な矩形の塊がせり出し宙に浮いているかのような外観が特徴的な建築でした。
同じ彫刻の森美術館にある「星の庭」という作品も井上氏によるもので、巨大な壁というか地形が迷路になっていてとても建築的な空間体験ができます。

3.建築的な作品がたくさん!

この他にも彫刻の森美術館には建築的な空間体験ができる作品がたくさんあります。
ここでは2つの作品について紹介したいと思います。

□幸せをよぶシンフォニー彫刻(ガブリエル・ロワール)
高さ18メートル、内径8メートルの塔はもはや建築です。

中に入ると色とりどりの光に包まれた吹き抜け空間と螺旋階段に圧倒されます。ここで使われているステンドグラスは厚さ2~3cmのガラスをハンマーで叩いた破片が使われているそうで、螺旋階段をのぼりながら変化する光を存分に浴びる体験は今までにない空間体験ができました。
頂上に上ると美術館の広大な敷地や箱根の山々が見渡せるのもよいです。

□サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂 箱根ヴァージョン(田窪恭治)
芸術家の田窪恭治氏はフランスのノルマンディー地方にあり、16世紀につくられたものの使われていなかったサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂を約10年間をかけて修復・再生した芸術家です。

「林檎の礼拝堂」とも呼ばれているこの礼拝堂ですが、このフランスにある礼拝堂の床面部分を実寸で再現したのが「サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂 箱根ヴァージョン」です。
実際にそこに立って歩き回ったりしながら見えない建築を想像することができます。

この他にも彫刻の森美術館には実際に中に入ったりして空間体験として楽しめる作品が沢山あります。
庭園内はかなりの広さがあるのでしっかりと作品をみるためには半日くらい時間をとっておくのが吉です。

4.建築家の設計した建物は?

□ネットの森(手塚貴晴+手塚由比 )
MacAdam堀内紀子さんによるネットアートを展示する器として夫婦の建築家ユニットである手塚貴晴氏・由比夫妻によってつくられた建築です。
このネットアートはもともと彫刻の森美術館の建物内に展示されていたそうですが、近年になって新たな建築によって再整備・展示がなされました。

細い木の線材が組み合わさったドーム状の建物ですが、この建築の凄いところは基壇部を除いて一切の金物が使われていないこと。お互いがお互いを支えながらこの大きなドームは成り立っていますので、一見普通に見えますが現地必見の、今までに見たことのない建築となっています。
約500本の材料は、1つ1つ微妙に異なっているのを見たときの驚きと言ったらなかったです。

建築設計:手塚貴晴+手塚由比
構造設計:TIS & PARTNERS 今川憲英
ネットアート:MacAdam堀内紀子
竣工:2009年

□箱根彫刻の森美術館 ピカソ館(杉山隆建築設計事務所 )

約300点に及ぶピカソの作品を集めた美術館で設計は杉山隆建築設計事務所が行っています。
代表である今里隆氏は建築家吉田五十八の弟子であり、両国国技館や池上本門寺などを手掛けた大御所建築家です。
大きな改修もあり元の建築がどのようなものだったかはあまりに杉山隆建築設計事務所のイメージからはかけ離れているのでわかりませんが、彫刻の森美術館を訪れた際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。

絵画だけでなく、膨大な量の陶器やスケッチなど他の美術館では見ることができないピカソの作品をこれでもかと堪能できます。

設計:杉山隆建築設計事務所
竣工:1984年

いかがでしたでしょうか。
今回は建築に焦点を当ててご紹介しましたが、今回ご紹介しきれなかった作品も見どころ満載で貴重な作品が数多く展示されていました。

開館から50年も経っていますが、謎解きイベントやライトアップなど魅力的なイベントも数多く企画していて自信を持ってお勧めできる大満足な美術館でした。


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