これを建築といっていいのかどうか迷うほどの、建築の様な公園のような、はたまた海に顔を出した鯨の上を歩いているかのような不思議な構築物です。
この作品のポイントは、床・壁・天井・屋根といった縛られた概念で建築をつくるのではなく、それらすべてが一体となった1つの構築物として建築が提案されたこと、そしてそれが絵空事でなく現実に実現してしまったことにあります。
通常私たちが建築を認識するときは、「これは床」「ここは壁」と当たり前のように認識しています。しかしforはそうした建築言語を乗り越えることを試みました。

コンピューター上で無数の形をシミュレーションし、大量の「あったかもしれない建築」が平行して生み出すことができます。
その無数の架空の建築の中からたまたま現実に建てられた1つの案が今見ている大さん橋国際客船ターミナルであるともいえます。
ちょっと条件やタイミングを変えるだけで案が無数に分岐していく建築。そう考えると何処か現実離れしたこの建築もなんとなく腑に落ちる気がします。

但し、 大さん橋国際客船ターミナルが現実世界に生まれて20年近く立ちます。
コンピューターの中で生まれた建築は現実世界の中で様々な人に使われ、そこでしか起きなかった想い出や出来事を無数に生み出します。
実際に建てられたことでコンピューター上にはなかった意味がつくられていく、それこそ実際に建った建築の強さと醍醐味なのだと気づかされる建築見学となりました。
■建築情報
名称:大さん橋国際客船ターミナル
設計:for(アレハンドロ・ザエラ・ポロ、ファッシド・ムサヴィ)
所在地:神奈川県横浜市中区海岸通1-1
最寄り駅:日本大通り駅徒歩7分、関内駅徒歩15分
竣工:2002年(コンペ~基本設計は1990年代後半)
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