大さん橋国際客船ターミナルと建築設計と流動体について考えてみる【横浜】

関東建築案内

今回紹介する建築はこちら。
【横浜】大さん橋国際客船ターミナル1

大さん橋国際客船ターミナル」です。これを建築といっていいのかどうか迷うほどの、建築の様な公園のような、はたまた海に顔を出した鯨の上を歩いているかのような不思議な構築物です。

【横浜】大さん橋国際客船ターミナル3

1995年に開催された国際コンペでfor(Foreign Office Architects)というイギリスの建築家2人が選出されて実現した作品です。
この作品のポイントは、床・壁・天井・屋根といった縛られた概念で建築をつくるのではなく、それらすべてが一体となった1つの構築物として建築が提案されたこと、そしてそれが現実に実現してしまったことにあります。
このブログでも何度か触れてきましたが既存の建築の言語(「床」や「壁」や「屋根」など)はものすごい力を持っています。
通常僕たちが建築を認識するときは、「これは床」「ここは壁」と当たり前のように認識していますよね。しかしforはそうした建築言語を乗り越えることを試みています。
これは日本のみならず世界にも大きな衝撃となり、その後の建築の転換点ともいえる建築物になりました。
フルCG(コンピュータグラフィックス)で創られたコンペ時の流動体のようなパースに対して、竣工した建物が全然違うイメージになっているとの批判もありました。
しかし今や横浜を代表するランドマークとなっていることは誰もが認めることだと思います。

【横浜】大さん橋国際客船ターミナル2

僕はコンピュータの時代といわれる現代建築について「大さん橋国際客船ターミナル」は重要な問いかけを隠していると考えいます。

コンピューター上で無数の形をシミュレーションし、大量の「あったかもしれない建築」が平行して生み出される中で、現実に建てられた1つの案が今見ている大さん橋国際客船ターミナルです。
そんなことを考えていたら小沢健二さんの「流動体について」が思い浮かびました。(オザケン世代では全くないのですが)
壁や床といった今までの建築の言葉の括りを超えた流線形の形状は、コンピュータを使うことで旧来の設計とは比較にならない量で画面の中に出力されていたと思います。
ちょっと条件やタイミングを変えるだけで案が無数に分岐していく建築。
 
「流動体について」少しだけ歌詞を引用します。
——————————————-
“そして意思は言葉を変え
言葉は都市を変えてゆく
躍動する流動体 文学的 素敵に炸裂する蜃気楼”
——————————————-
意思が言葉を変え、言葉が世界を変える。
このことが建築の言語(床」や「壁」や「屋根」)の変え、都市を変えていくことに繋がる気がしています。
そして様々な平行世界の可能性の中で選びとられた建築が実際にいろいろなものに影響を与え世界が作られている。
そんなことをこの建築を改めて見ながら思いました。
今回はだいぶ建築紹介から離れ、まとまりもなくなってしまいました。
オザケンの音楽や詩と建築。全く違う分野のことなのに一緒に考えることができるのが建築の大きな楽しみだと思います。
 
■建築情報
名称:大さん橋国際客船ターミナル
設計:for(アレハンドロ・ザエラ・ポロ、ファッシド・ムサヴィ)
所在地:神奈川県横浜市中区海岸通1-1
最寄り駅:日本大通り駅徒歩7分、関内駅徒歩15分
竣工:2002年(コンペ~基本設計は1990年代後半)
小沢健二さん日本での活動休止:1998年


建築学ランキング
にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました