東孝光設計の極小住宅「塔の家」は東京のアインシュタイン塔【東京青山】

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今回紹介する建築はこちら。

塔の家」という建築家の東孝光さんの設計した東京青山に建つ自邸です。
 
建築の世界では戦後日本の個人住宅の傑作として東の「塔の家」、西の「住吉の長屋(設計:安藤忠雄氏)」と云われ、都市住宅という言葉を生みだした記念碑的建築です。
6坪に満たない敷地に建てられたこの住宅は1966年の竣工。
風呂やトイレの扉さえも取り除かれた内部構成は、住むための空間を極限まで小さくし、それでも都心に住むという意思と覚悟をもったアヴァンギャルドな住宅です。
 
有名な住宅なので詳しい解説は他の書籍やウェブサイトに譲るとして、ここでは独自の切り口この住宅を見てみたいと思います。
この建築を見て頭に浮かんだこと。それは「アインシュタイン…塔」です。
何をいっているのだという感じですが、有名な物理学者アインシュタインのことではなく、エーリヒ・メンデルゾーンという建築家が1920年代に設計した「アインシュタイン塔」のことです。
エーリヒ・メンデルゾーンはル・コルジュジェと同じ1887年生まれのドイツ出身の建築家でアインシュタイン塔はその処女作です。

アインシュタイン塔- Wikipedia

このアインシュタイン塔は「表現主義」の建築と呼ばれ、同じコンクリートやガラスといった新たな素材や技術を使い、合理的でインターナショナルな普遍性を謳うコルジュジェらに対し、非合理的・内面的な造形を通して理想な建築や社会の実現を主張するものでした。
 
「塔の家」も「アインシュタイン塔」も同じ5階建てで、低層部はセミパブリックに開きつつ、上層部はプライベートな空間としている構成などの類似点も面白いです。

表現主義では単に造形的な形に目が行きがちですが、合理性では割り切れない個人の内面や主観の側から豊かで理想的な社会に近づこうという側面が重要なのだと思います。

そう考えると、住宅という個人の内面的な主観的な部分が色濃く反映された建築を通して社会に主張した「塔の家」は、表現主義が主張しようとして消えていった理想を遠い東京の地で昇華させた建築と見ることができるのではないでしょうか。
 
アインシュタイン塔の最上部には物理学者アインシュタインの相対性理論を実測検証するドームがありましたが、塔の家の最上部には東孝光さんの娘さんである東利恵さんの部屋がありました。
【青山】塔の家3
小さいころから都心の街やそこを行きかう人々を(失礼な言い方で申し訳ないですが)観測して育った利恵さんは現在建築家として様々な建築を創造し、ご活躍されています。
理恵さんだけでなくこの半世紀様々な人がこの塔に影響され、次の時代を創るヒントとしていることに思いをはせてこの建築を見てみるのはいかがでしょうか。

※余談になりますが、「塔の家」の斜め向かいに建つワタリウム美術館もマリオボッタという建築家の作品が日本で唯一見れるおすすめ建築です。機会がありましたら紹介したいと思います。


■まとめ
都市住宅の傑作「塔の家」は都心に住むという意思と覚悟をもったアヴァンギャルドな住宅
表現主義の代表作アインシュタイン塔と不思議な共通点を持ち30年の時を経て東京の地につくられた建築


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■建築情報
名称:塔の家
設計:東孝光
所在地:東京都渋谷区
竣工:1966年

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