飯田橋駅に謎のフレーム!?その建築の秘密を解説【東京飯田橋】

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今回紹介するのは都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅です。
初めて見る方は驚かれるかもしれませんが、大江戸線の飯田橋駅では地下鉄のホームに向かう階段に「ウエブフレーム」という謎(?)のフレームが設置されています。
今回はこの「ウエブフレーム」に焦点を絞って、このフレームがどんな役割をしていて、どのようにデザインされたものなのかについて紹介したいと思います。

【飯田橋駅】飯田橋駅1

ポイント1:長くて単調な地下鉄の天井をどうするか?を考えた
地下鉄大江戸線の駅は地下鉄の中でもとりわけ深い位置にあるのですが、駅が深い位置にあることはその分長い階段や通路が必要となります。
地下鉄の通路というのは通常の建築よりも土木的な技術要件の制約が強くて、形や計画のほとんどが決められてしまうのでどうしても単調になりがちです。
また、ホームへの天井は高いほうが圧迫感がなくてよいのですが、単純に天井を上げるとその分工事費は高くなります。

できるだけ天井を張らずに、圧迫感をなくしつつ照明などの設備も配置し、ポイントでは空間の広がりをもたせつつ、単なる繰り返しでないデザインをつくる!!
そんな難題がこのデザインの出発点にありました。

ポイント2:そんな複雑な無理難題をどうやって解決するか?答えはコンピューター
ではそんな複雑な無理難題をどうやって解決するか?といった時に試みられたのが、コンピューターを使って様々な条件を同時に処理して、目的に沿った形状を自動的に発生させるプログラムをつくってみてはどうか?
これが行われたのがこの飯田橋駅なのです。
【飯田橋】飯田橋駅2

これは「アルゴリズミック・デザイン」とも呼ばれるデザイン手法です。
人間の手ではとてもやってられない複雑な条件を上手く解く手助けをコンピュータに行ってもらおうということです。
飯田橋駅はその先駆けとなる建築で、設計者の渡辺誠さんはこの研究をずっと続け、数々の実際の建築で試みています。
アルゴリズミック・デザインは端に奇抜で複雑な形をつくるのではなく、合理性や経済性、さらに人が考えただけではできなかった偶発性を設計者にもたらしてくれる新しい建築の作り方なのです。
今までの建築のつくり方とは異なるこの手法は、現在最も注目されている建築手法の1つで、2000年以降様々な研究や実際の建築がつくられ始めています。
その最初期の試みのうちの1つが、この飯田橋というわけです。

奇抜に見えるフレームも、こうした新しい建築のつくり方の実験的な試みの一つだったというわけです。

ちなみに飯田橋駅ではアルゴリズミックデザインによるデザイン以外にも注目すべき工夫がいくつもあります。

【飯田橋】飯田橋駅3

例えばこちらのホームの天井部分。中央の上部は通常は設備を入れるために天井を張って架構を隠してしまうところを、工法や設備の位置を工夫して広がりがある空間をつくっています。
他の地下鉄のホームと比べてみるとわかりやすいですが、確かに気にしてみると他の駅にはない広がりが感じられて美しいです。
実験的なフレームで新しい建築デザインの可能性を試しつつ、駅全体としてもしっかりと考え抜かれてつくられていることが伝わってくる、まさに名建築といえるのではないでしょうか。

■まとめ
・飯田橋駅の「ウエブフレーム」は単に斬新でアートなデザインというわけではなく、複雑な条件を満たす形を条件にコンピューターから生み出されたもの
・ 飯田橋駅はコンピュータと建築家が協働する新しい建築手法を実践した世界でも数少ない記念すべき駅
・実験的な試みだけでなく、細かい部分も配慮された美しい空間を堪能すべし

■建築情報
名称:都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅
設計者:渡辺誠
所在地:東京都文京区後楽2-1
竣工:2000年


↑渡辺誠さんの名著「建築は、柔らかい科学に近づく」
タイトルだけでワクワクします。気になる人はリンクから詳細を見てみて下さい。

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