不思議な駅「飯田橋駅」近未来感溢れる地下鉄駅をレポート

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今回紹介するのは都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅です。
初めて見る方は驚かれるかもしれませんが、東京メトロの大江戸線の飯田橋駅では地下鉄のホームに向かう階段に「ウエブフレーム」という謎のフレームが設置されているのはご存じでしょうか。

今回はこの緑色の謎の物体「ウエブフレーム」を中心に、このフレームがどんな役割をしているのか、飯田橋駅とは誰がどんな意図をもってデザインしたたかについて紹介したいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・大江戸線 飯田橋駅を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・大江戸線 飯田橋駅の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・大江戸線 飯田橋駅の建築的な見どころや注目ポイント

まずこちらの地下鉄のデザインを行ったのは建築家の渡辺誠氏です。
渡辺氏は1976年に日本の大学院を卒業後、大高建築設計事務所・磯崎新アトリエといった日本を代表する建築家の元で経験を積み、1984年に独立して自分の事務所を構えた建築家です。

一般的にコンピュータが普及する以前からコンピュータ・プログラムを使った建築デザインを実践してきた第一人者としても知られていて、2000年につくられた飯田橋駅は渡辺氏の代表作の1つでもあります。
ここからはそんな飯田橋駅の特徴を、3つのポイントに分けて解説していきたいと思います。

ポイント1:長くて単調な地下鉄の天井をどうするか?を考えた
地下鉄大江戸線の駅は地下鉄の中でもとりわけ深い位置にあるのですが、駅が深い位置にあることはその分長い階段や通路が必要となります。
地下鉄の通路というのは通常の建築よりも土木的な技術要件の制約が強くて、形や計画のほとんどが決められてしまうのでどうしても単調になりがちです。

また、ホームへの天井は高いほうが圧迫感がなくてよいのですが、単純に天井を上げるとその分工事費は高くなります。
できるだけ天井を張らずに、圧迫感をなくしつつ照明などの設備も配置し、ポイントでは空間の広がりをもたせつつ、単なる繰り返しでないデザインをつくる!!
そんな難題がこのデザインの出発点にありました。

ポイント2:そんな複雑な無理難題をどうやって解決するか?答えはコンピューターデザインにあった
ではそんな複雑な無理難題をどうやって解決するか?といった時に試みられたのが、「コンピューターを使って様々な条件を同時に処理して、目的に沿った形状を自動的に発生させるプログラムをつくってみてはどうか?」という試みです。
これが行われたのがこの飯田橋駅なのです。

これは「アルゴリズミック・デザイン」とも呼ばれるデザイン手法で、人間の手ではとてもやってられない複雑な条件を上手く解く手助けをコンピュータに行ってもらおうというものです。
飯田橋駅はその先駆けとなる建築で、設計者の渡辺誠さんはこの研究をずっと続けてきた建築家です。
アルゴリズミック・デザインは単純に奇抜で複雑な形をつくるのではなく、合理性や経済性、さらに人が考えただけではできなかった偶発性を設計者にもたらしてくれる新しい建築の作り方なのです。

【飯田橋駅】飯田橋駅1

20世紀までの建築のつくり方とはちょっと異なるこの手法は、現在最も注目されている建築手法の1つでもあり、この建築がつくられた2000年以降も様々な研究や実際の建築がつくられています。
その最初期の試みがこの飯田橋というわけでが、駅という誰もが利用できる公共性の高い建物で、ここまで思い切ったアルゴリズミックデザインの実例は世界を見渡してもなかなかありません。
奇抜に見えるフレームも、こうした新しい建築のつくり方の実験的な試みの一つであり、世界の建築史に刻まれる記念碑的な作品でもあったというわけです。

ポイント3:その他にも実験的なデザインが多数試みられている
ちなみに飯田橋駅ではアルゴリズミックデザインによる「ウェブフレーム」以外にも注目すべきポイントがいくつもあります。
例えば、地上部にある換気塔は昆虫の羽のような独特のデザインとなっていますが、こちらもコンピューターによる新しいデザイン手法の実験としてデザインされました。

こちらの換気塔は換気塔という機能的な条件を満たした上での形態の美しさ、構造的合理性、部材重量(コスト)の最小化のバランスをコンピューターでシミュレーションしてつくられている実験的なデザインが試されています。

もう一点見逃せないのは地下のホームの天井部分のデザインです。

中央の上部は通常は設備を入れるために天井を張って架構を隠してしまうところを、工法や設備の位置を工夫して広がりがある空間をつくっています。
他の地下鉄のホームと比べてみるとわかりやすいですが、確かに気にしてみると他の駅にはない広がりが感じられて美しいです。

■まとめ
・飯田橋駅の「ウエブフレーム」は単に斬新でアートなデザインというわけではなく、複雑な条件を満たす形を条件にコンピューターから生み出されたもの
・ 飯田橋駅はコンピュータと建築家が協働する新しい建築手法を実践した世界でも数少ない記念すべき駅
・実験的な試みだけでなく、細かい部分も配慮された美しい空間を堪能すべし

いかがでしたでしょうか。
地下鉄飯田橋駅は実験的な手法で新しい建築デザインの可能性を試しつつ、駅全体としてもしっかりと考え抜かれてつくられていることが伝わってくる、まさに名建築といえるのではないでしょうか。

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都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅
設計:渡辺誠/アーキテクツオフィス
所在地:東京都文京区後楽2-1
竣工:2000年
備考:2001年度 JIA 新人賞
2002年日本建築学会賞 作品賞
2001年度グッドデザイン賞 金賞


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