東京都内の大使館建築12選【有名建築家が設計】

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この記事では私がこれまで訪れた建築の中から、有名建築家が設計した大使館建築をまとめました。

東京都内に数ある大使館建築は、東京であって東京でない不思議な空気を醸し出しているものや、日本の建築界の潮流を反映しているもの、逆に日本の建築の文脈からはかけ離れていたりと興味深い要素が満載です。
今回はそんな大使館建築の中から特におススメの12建築をチョイスしましたので、お楽しみください。
では早速見ていきましょう。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・東京都内の素敵な大使館建築巡りを写真と文字でレポート
・著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築の大使館をまとめ
・大使館建築の建築の見どころや注目ポイントを解説

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1.駐日英国大使館(英国工務省)

駐日英国大使館

まず初めに紹介する駐日英国大使館は千鳥ヶ淵公園の向かいに建つイギリスの大使館です。
眼前に千鳥ヶ淵公園と皇居を望む絶好のロケーションに建つ建物は、シンメトリーで荘厳な石造りの建物となっていて、大使館として建てられたものとしては日本に現存する中で最も古い建物です。
実は建設当初に比べ、3階の丸窓が下階と同じ四角窓になっていたり、両脇の建物のバルコニー状の半屋外空間が屋内になっていたりと改修された部分も多くありますが、90年以上に渡って大切に使い続けられてきたことがよく分かる建築です。

駐日英国大使館

設計:英国工務省
所在地:東京都千代田区一番町1
アクセス:半蔵門駅より徒歩約5分、九段下駅より徒歩約10分
竣工:1930年

2.駐日ローマ法王庁大使館(木子幸三郎)

駐日バチカン大使館 ローマ法王庁大使館

同じく千鳥ヶ淵エリアに建つ駐日ローマ法王庁大使館元々は味の素の社長であった鈴木忠治氏の邸宅として建てられた建物。
宮内省出身の建築家である木子幸三郎の晩年の作品としても貴重な建築なのですが、木子幸三郎もこの建築がまさかローマ法王庁大使館になるとは思ってもみなかったでしょう。
写真からは少し見えずらいですが、煉瓦の貼り分けによって1階の階高が高く見えるのは、面白いデザインです。
大使館なので中に入って見学というわけにはいかないのが残念ですが、少しでも建物を見たいという方は葉が落ちる秋の季節にはもう少し建物の外観がよく見えるようです。また、実は建物反対側の番町学園通りからもよく見えるので、建築好きとしてはこちら側からの外観も見逃せません。

駐日バチカン大使館 ローマ法王庁大使館

設計:木子幸三郎
所在地:東京都千代田区三番町9-2
アクセス:半蔵門駅より徒歩約6分、九段下駅より徒歩約12分
竣工:1934年

3.クウェート大使館(丹下健三)

三田にあるクウェート大使館は後に数多くの大使館建築を設計する丹下氏の最初の大使館建築でもあり、世界の丹下の隠れた名作です。
積み木の様なボリュームを、エレベーター等が入った2本のシャフトが繋いでいるのですが、建物全体が1つの立体都市としてつくられ、東京の中の小さな異都市ともいえる建築は大使館建築の真骨頂がみられます。
尚。クウェート大使館について詳しくはこちらの記事にも詳しく紹介していますので気になった方は是非ご覧ください。
詳細記事
・丹下健三のカッコよすぎる立体都市 クウェート大使館【東京三田】

関連記事
・建築家 丹下健三がデザインした東京都内のおススメ作品12選

名称:クウェート大使館
設計:丹下健三/丹下健三都市設計研究所
所在地:東京都港区三田4-13-12
アクセス:三田駅、田町駅より徒歩約5分
竣工:1970年

4.在日ブルガリア大使館

最後に紹介する在日ブルガリア大使館は代々木八幡の閑静な住宅街の傾斜地に建つ大使館で、設計は最初に紹介したクウェート大使館と同じく建築家丹下健三によるものです。
壁式ラーメン構造による塊感のあるボリュームが、上階に行くにつれて前にせり出す構成が特徴的な建築です。
大きな白いボリュームが迫ってくる迫力感がありつつも、不思議と圧迫感がないのはボリュームが分節しているからで、住宅地になじみつつ独特な品の良さを醸し出しています。
すぐ隣には銀座倭寇の設計者としても知られる渡辺仁氏の設計した公邸が建てられているので併せてみておきたいです。

設計:丹下健三/丹下健三都市設計研究所
所在地:東京都渋谷区代々木5-33-5
アクセス:代々木八幡駅より徒歩約5分、代々木公園駅より徒歩約7分
竣工:1974年

5.在日トルコ大使館(丹下健三)

続いて紹介するトルコ大使館も日本を代表する大建築家で数々の大使館建築を手がけた丹下健三氏が設計した大使館です。
詳しく見学することが出来なかったのですが、稀に見学会等もあるようなので機会があれば中まで見てみたいものです。

設計:丹下健三/丹下健三都市設計研究所
所在地:東京都渋谷区神宮前2-33-6
アクセス:原宿駅、外苑前駅より徒歩約10分
竣工:1977年

6.デンマーク大使館(槇文彦)

デンマーク大使館は代官山のヒルサイドテラスのD棟に隣接して建てられた大使館です。
槇文彦氏が数十年の歳月をかけてつくりあげたヒルサイドテラスと連続して街並みを形成していることに注目です。大使館をつくる際には、この土地を提供する条件として、設計者が槇氏であるという条件の元に契約がなされたそうです。
少しピンクがかったタイルによってヒルサイドテラスからワンテンポ浮いたアイデンティティを与えつつ、街並みにやさしい表情を与えています。 手前が大使館で中庭を挟んで奥に大使公邸があり、建物を覗きこんでみると槇文彦氏がヒルサイドテラスでも取り入れた手法である「奥性」を感じます。

槇文彦氏の建築については、千駄ヶ谷にある東京体育館について「神宮外苑の大地に顔を出した宇宙船建築!?槇文彦が設計した東京体育館」でも紹介していますので気になった方はこちらの記事も見てみてくださいね!

設計:槇文彦/槇総合計画事務所
所在地:東京都渋谷区猿楽町29-6
アクセス:代官山駅より徒歩3分
竣工:1979年

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関連記事
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7.駐日ブラジル大使館事務棟(竹中工務店設計部/中村隆治+ルイ・オータケ)

駐日ブラジル大使館事務棟は黄色や青の鮮やかな色彩が特徴的な建物です。
湾曲した外観や前面の階段が、ブラジルの街中にある広場のようにオープンに前面道路を取り込みおおらかで陽気なブラジルの空気を感じます。 日本建築ではあまり使われない色の組み合わせですが、不思議と違和感を感じない点が秀逸です。

設計:竹中工務店設計部/中村隆治+ルイ・オータケ
所在地:東京都港区北青山2-11-11
アクセス:外苑前駅より徒歩約3分
竣工:1983年

8.在日エジプト大使館(竹山実)

在日エジプト大使館では傾斜地という立地に対して、高い表の道路に一般受付を、低い裏面に事務所を設け上部に公邸機能を配置しています。
設計者の竹山実氏は塊感のある造形を得意としていますが、竹山氏の造形とエジプトのイメージが見事に一致して独特ながら魅力的な建物になっています。
乾いて明るい建物と、ピロティ内部の暗がりの対比が面白い建築です。

名称:在日エジプト大使館
設計:竹山実/竹山実建築綜合研究所
所在地:東京都目黒区青葉台1-5-4
アクセス:代官山駅より徒歩約3分
竣工:1986年

9.オーストラリア大使館(デントン・コーカー・マーシャル)

オーストラリア大使館は地元オーストラリアの大手建築設計会社のデントン・コーカー・マーシャル社が設計した大使館です。
シンメトリーで伝統的な平面に対して外観はアルミパネルを使ったスタイリッシュで現代的なイメージが対比できるのも面白い建築です。
バルブ期のポストモダン全盛の日本において、逆にシンプルな要素を使って明快な秩序で理性的に構成している点も興味深いです。

設計:デントン・コーカー・マーシャル
所在地:東京都港区三田2-1-14
アクセス:三田駅、田町駅より徒歩約7分
竣工:1990年

10.カナダ大使館(レイモンド・モリヤマ+清水建設)

在日カナダ大使館

カナダ大使館はカナダ生まれの建築家レイモンド・モリヤマ氏がデザインを手掛けた大使館。
要求される機能、法規、警備計画など大使館建築に要求される様々な条件を満たしながら、周辺環境との調和や解放感の創出が試みられています。
また、館内にあるカナダガーデンや高円宮記念ギャラリー、E・H・ノーマン図書館などの施設は予約をすれば自由に見学することも出来き開かれた大使館となっています。

在日カナダ大使館

設計:レイモンド・モリヤマ+清水建設
所在地:東京都港区赤坂 7-3-38
アクセス:青山一丁目駅より徒歩約3分
竣工:1991年

11.マレーシア大使館(清水建設)

代官山と渋谷の中間地点にあるマレーシア大使館はまずは目につくイスラミックなパターンの外壁が特長の建築です。
街と大使館の境界をセキュリティの面からしっかり閉じつつ、同時に開いてもいる点に注目です。建物自体の素材や色もシンプルな1色に統一されていて、光と影によって外観の表情が色付けられているのも秀逸です。
夜に外壁から漏れる光も大変美しく、大使館と街が呼応し合っているように感じる建築です。

設計:清水建設
所在地:東京都渋谷区南平台20-16
アクセス:渋谷駅より徒歩約10分
竣工:1991年

12.在東京タイ王国大使館

最後に紹介するのは五反田駅から程なく歩いたところにあるのがタイ王国大使館です。
元々あった自然の森からスケールアウトしないようにロースケールの棟が分散して建てられてるのが特徴で、小さなスケールの組み合わせや急勾配の屋根など、東南アジアらしいデザインを織り交ぜながらも、しっかり現代的なデザインとしてまとめています。
これから世界水準の文化や経済に発展していくであろうタイを象徴するかのような建物です。

隣にある公邸昭和9年に建てられた濱口吉右衛門邸を改修したもので、是非こちらも合わせて見ておきたい建築です。80年以上前の建物とは思えないほど気品と重厚さをもったゴシックスタイルの建物を堪能できます。

ちなみにすぐ近くのインドネシア共和国大使館公邸も1936年に建てられたものを改修していて、近代建築好きには必見の建物です。

設計:大成建設(公邸は田辺泰+明石信道)
所在地:東京都品川区上大崎3-14-6
アクセス:五反田駅より徒歩約7分
竣工:2012年(公邸は1934年)

いかがだったでしょうか。
大使館建築と一口にいっても試みられていることが大使館によって様々で面白いですね。
他にも大使館建築は興味深いものが多いので、訪れた際は随時更新していきたいと思います。


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