多摩川「せせらぎ館」隈研吾氏デザインの話題の施設を徹底レポート

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今日は多摩川駅の駅前でできた田園調布せせらぎ館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
せせらぎ館は隈研吾氏がデザインを手掛けたことでも大きな話題となった建築ですが、いったいどんな建築なのか、早速見ていきましょう!

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・せせらぎ館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・せせらぎ館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・せせらぎ館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.田園調布せせらぎ館ってどんな建物?

田園調布せせらぎ館は東急東横線・目黒線・多摩川線の多摩川駅の駅前のせせらぎ公園内に建てられた休憩施設、集会・体験学習施設等の複合施設です。
2021年の1月にオープンした施設は、建築デザインを新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅などを手掛けた隈研吾氏が手掛けたことでも大きな話題となりました。
隈研吾氏の建築と言えば、このブログでも度々建築レポートを書いている日本を代表する建築家の一人です。そんな隈氏の建築とあれば一度見ておかねばということで今回実際に訪れてみました。

多摩川駅のある東急線はよく使う路線なので、多摩川駅のホームは何度も利用しているのですが、実際に駅の外に降りるのは今回が初めて。
改札を出て南口の階段を降りると早速、今回の目的地であるせせらぎ館に到着です。
思ったよりもずっと駅近なことに驚きます。

せせらぎ館の建物は東急線の高架に沿うように建っていて、ゲートのような役割の建物から建物内とせせらぎ公園に入ります。
鉄骨2階建て、延べ約2500㎡の建物は「森の縁側」をコンセプトにデザインされていて、公園の敷地境界線に沿うように細長い形で計画されています。

建物は大きく2つのブロックに分かれていて、駅に近いエリアは平屋建てのカフェ「ルシェロ」や休憩スペースが、奥のエリアは2階建てで図書スペースや会議室、多目的スペースなどが配置されています。
この2つのスペースを大きな傾斜屋根が繋いでいます。

こちらは建物の全体模型。奥側が多摩川駅で手前がせせらぎ公園です。
近年の隈研吾氏の建築は「屋根」のデザインに力を入れていますが、このせせらぎ館でも機能も階数も違う2つの棟が水平の屋根によって1つにまとめあげられているのが分かります。

2.外観には隈研吾らしいデザインが散りばめられている

せせらぎ公園の広場側にまわってみると、建物の壁面のガラスに広場が映し出されていて、建物の内部まで広場が延長しているようにも見えます。
先ほど隈研吾氏の作品は「屋根」の建築ということに触れましたが、こうしてみるとせせらぎ館はまさに広場に屋根が浮かんでいるように見えます。

これは高輪ゲートウェイ駅や浅草文化観光センターなど隈研吾氏がデザインした他の建築にもよく見られる特徴ですが、同時に日本の伝統的な建築のイメージの引用でもあります。
この辺りが隈研吾氏が和の大家と呼ばれている所以でもありますが、ここせせらぎ館でもそんな隈研吾氏の建築の特徴がよく表れています。

公演柄見ると建物の外観は公園の緑を反射しながら取り入れるデザインとなっていることが分かります。
特に雑木林の木々が反射する部分は、実際に見るとかなりの美しさでした。

こちらは建物の奥側の外装です。
細かく分割した木の垂直材が建物の壁感を軽減させていますが、これは雷門の前に立つ浅草文化観光センターなどの建築で隈研吾氏が試した手法でもあります。
ただしこの木の垂直材のデザインは、実際に見るとちょっとチープでもあり、美しさという点では今一つのようにも感じました。(予算の問題などもあるとは思います)

もう一点、外観周りで残念に感じたのが、基本的にはこの建物は写真のような段差解消スロープがないと建物内に繋がるデッキに上がれないこと。
雑誌等に掲載されている建物の写真はこのスロープのない綺麗な水平デッキなのですが、実際にはこういったスロープは欠かせません。
この段差はこれからの時代益々増えていくであろう高齢者の方だけでなく、ベビーカーを押す親子などもかなり大変そうに見えました。

3.内部に突入!まずは南側のカフェを見学

2つの棟のうち南側の棟にはカフェ「ルシェロ」と休憩スペースがあります。
こちらの棟は「はなれ」をイメージしたとされていて、目前にはせせらぎ公園の広場が広がります。
カフェの席数は48席とのことですが、見た感じは結構余裕目に配置されています。
お昼時などは中々に混雑する感じなので、座れるからタイミング次第とった感じですがいつもに賑わっている印象です。

カフェでは公園でも食べられるパン屋バーガーが並んでいる他、モーニングやランチメニューもあります。

4.北側の棟には周辺住民が楽しめる機能が集結

続いてカフェの入る南側の棟を出て、図書スペースや会議室の入る北側の棟に移動します。
北棟1階では大田区図書館にある資料の予約・受取・返却ができる他、壁面につくられた本棚「せせらぎ文庫」には、館内で自由に読める本や雑誌が並べられています。

こちらは冊数・席数としてはかなり少な目ではありますが、初めて来た人にとっては結構楽しめます。
せせらぎ館では床・天井ともに気をふんだんに使ったデザインが特徴ですが、本を使った壁面の本と本棚で木のイメージをデザインに取り入れているのは面白いです。

1つ難を言えば、利用者に対して席が少なすぎていつ行っても満席なので、予算やスペースの問題はあると思いますがもう少し増やしてほしいなーと思ったりもしました。

図書スペースの奥のスペースと2階は個室として区切られた多目的室スペースや会議室となっていて、会議や講演会の他に音楽練習、ダンス等の様々な用途で利用されています。
ピアノやプロジェクターの貸し出しもしているようなので、これからどんどん地域の人たちに使われていくといいですね。

会議室は間仕切りを取り払って大空間としても利用できます。
私が訪れた時は1つの大きなギャラリーとして使用されていました。

2階は基本的には突き当りがすべて外部に開放されていて、せせらぎ公園の緑や前面道路の抜けがうまく取り入れられています。
特に公園側は、連続した木の天井によって目前の自然に「投げだされる」ような感覚があって気持ちよかったです。

予算や条件が限られる中、最初に写真で見た時には少しチープに感じていた部分もありましたが、実際に体験してみると隈研吾氏が他の実作を通して実現してきた様々な工夫が詰まった建築となっていました。
様々な批判も抱える建物でもありますが、この建物が今後地域の人たちの中でどう使われ、どう評価されるか、今後も注目していきたいと思います。

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田園調布せせらぎ館
設計:隈研吾建築都市設計事務所
所在地:東京都大田区田園調布1-53-12
アクセス:多摩川駅より徒歩約1分
竣工:2021年
営業時間:9:00~22:00
休館日:毎月第2木曜日(祝祭日の場合は翌日)
入館料:無料
公式HP:https://www.den-en-seseragi.jp/


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