今日は東京九段下にある靖国神社を訪れてきましたのでその模様をレポートしたいと思います。
実は建築に注目してみてもとっても面白い靖国神社。一体どんな建築だったのか、早速紹介していきたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・靖國神社を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・靖國神社の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・靖國神社の建築的な見どころや注目ポイント
1.建築パワースポット靖国神社に参拝!
今回訪れたのは九段下駅を降りてスグの場所に建つ靖國神社。
靖國神社といえば1869年(明治2年)に戊辰戦争・明治維新の戦没者を慰霊、顕彰するために建てられた神社ですが、実は建築的な見どころもかなり多い建築パワースポットなのです。
靖國神社は戦没者を祀っていることから政治的に注目されることも多いですが、明治に入ってから創建されたということもあって、境内には明治、大正、昭和から令和までの各時代の建物がみられる建築好き必見の神社です。
ちなみに靖國神社から徒歩数分の所に建つ千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、戦没者の中でも遺族に引き渡すことができなかった無名戦没者の遺骨を納める国営の墓地公園です。
こちらの墓苑は、約16000㎡の敷地の造園計画を日本近代造園学の父と呼ばれた田村剛氏が、墓苑内の建築を昭和を代表する建築家の谷口吉郎氏が手掛けています。
詳しくはこちらの記事でもレポートしていますが、靖國神社を訪れた際には是非併せて見学することをオスメスします。
詳細記事
・千鳥ケ淵戦没者墓苑がスゴい!都心の真ん中の隠れた名建築をレポート【東京千鳥ケ淵】
まず靖國神社でまずはじめに注目したい建築は、靖国神社に入る前、靖国通り沿いに建つ靖國神社高灯籠です。
こちらの高燈籠は靖國神社に関連する建築の中でも最も古い1871年に建築されたもの。
現在ではその役目を終えていますが、外観は当時の姿をそのままに残している隠れた注目建築です。
2.靖國神社は鳥居に注目!有名建築家がデザインした鳥居も!
続いて参道に移動してまず初めに見えてくる靖国神社の入り口に建つ第一鳥居は、元々は1921年に建てられた超巨大な鳥居です。
こちらの鳥居は老朽化から一度は撤去されましたが、1974年に再建されて現在の姿となっています。
続いて見えてくる第二鳥居は1887年に建てられたもので青銅製の鳥居としては日本一の大きさを誇ります。
鳥居の中で特に注目なのが、建築史家伊東忠太によって設計されたこちらの石鳥居です。
伊東忠太は「建築」という言葉を提案し、日本建築史を創始したともいわれる人物で、このブログでも以前紹介した築地本願寺や明治神宮をはじめとした数々の社寺建築を手掛けた建築家でもあります。
靖國神社の建築は靖国会館や遊就館なども伊東の設計ですが、こちらの石鳥居は足元に鎮座する狛犬も含めて伊東氏がデザインしています。
この他靖國神社では檜造りの中門鳥居があるなど、鳥居だけ見ても見どころが満載です。
2.各時代の建築が一挙に集合!建築好きにはたまらない境内を満喫
靖國神社を訪れてまずはじめに立ち寄りたいのは第二鳥居の手前にある外苑休憩所です。
こちらの外苑休憩所は2019年に御創立150年記念事業として建てられたもので、無料の休憩所と飲食店が入る、靖國神社で一番新しい施設です。
靖國神社の計画と調和するような控えめなデザインながら、ガラスの外壁によって大きな屋根が浮いているかのように見えるのが面白い建築です。
この休憩所では無料のパンフレットなども入手できるので、靖国神社を訪れた際はまずはこちらの休憩所に立ち寄るのがおススメです。
150年記念事業ではこの他にも境内の公衆トイレなども併せて新築されたのですが、伝統を重んじる靖國神社らしさをしっかり保ちながら現代的でスタイリッシュなイメージも感じることができて、個人的にはとても好きな建築です。
参道を程なく歩いたところに建つ神門も伊東忠太の設計。
神明造りを思わせるこちらの門はそれだけで見応え抜群で、美しさと重厚さが見事に融合しています。
神門の隣に建つ大手水舎は戦前の1940年に建てられたもの。
こちらも傾斜のかかった大きな屋根が特徴。都心の一等地にありながらいたるところで戦前の建物が見られるのがスゴいですね。
神門をくぐった右手に見える能楽堂は元々は1881年に建てられたものを1903年に靖国神社に移築されました。
さらに進むと見えてくるのが、先ほど少し触れた檜造りの中門鳥居と拝殿です。
菊花紋をあしらった白い御帳によって緊張感のある外観となっていますが、建築好きとして注目したのは拝殿の壁面。
戸の壁面が白くなっていることによって白い御帳と合わせてより屋根の風格と浮遊感が演出されているのが面白いです。
社殿の隣に建つ参集殿は朱印所や正式参拝する人の為の受付があります。
こちらは2004年に建替えられたものですが、日に当たると黄金にも見える風格ある建築です。
靖国神社の古建築で見逃せないのは参集殿の裏手に建つ到着殿です。
こちらは昭和初期の1933年に皇族や要人の控室として建てられたもの。
到着殿の向かいに建つ靖國会館は当初は國防館として、到着殿完成の翌年である1934年に竣工した建物です。
伝統的な寺社建築であった他の建物に対して、城門のような要素と西洋風の要素がミックスされているのが面白い建物です。
現在は、1階に靖國偕行文庫と参拝者用の無料休憩所があるので、建築巡りの合間にひと休憩することが出来ます。
3.遊就館が面白い!伊東忠太が設計し、2002年に増築された建築に注目!
最後に訪れたのが、靖國会館の隣に建つ遊就館です。
遊就館は1882年に開館し、約10万点もの戦没者の遺品などを収蔵、展示する施設。
現在の建築は伊東忠太が設計監修を務めて1931年に完成しました。
同時代の建築と比較すると、すぐ近くの九段下に建つ九段会館は帝冠様式のお手本のような建築ですが、こちらの遊就館は日本の伝統的な建築美と西洋の建築要素を融合させた優雅で気品あふれるデザインが特徴の建築。
2002年に大規模な改修・増築工事が行われていて、昭和初期に建てられた建物の右手に現代的なガラスのエントランススペースが追加されています。
入口の柱をはじめ、伊東忠太建築にお馴染みの魑魅魍魎の像もしっかり見ることが出来て、建築好きにはたまらない作品です。
2002年に増築されたガラス張りのエントランススペースには零戦をはじめとする様々な展示物が納められています。
展示物はエントランスの零戦や砲台といった大きなものから、戦死者の遺書や遺品、絵画などの美術品まで多岐に渡っていて見応えは抜群。
現代的なガラスのエントランス空間から、戦前に建てられた近代建築へタイムトリップするように展示空間が連続しているのも魅力的で、様々な展示物と建築空間を一挙に堪能できるイチオシの建物でした。
いかがでしたでしょうか。
建築に注目してみても見どころが満載の靖国神社。皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
靖国神社
設計:伊藤平左衛門(本殿)、伊東忠太+内藤太郎+柳井平八(靖国会館、遊就館)、伊東忠太(石鳥居、神門)、外苑休憩所(シグ)
所在地:東京都千代田区九段北3-1-1
アクセス:九段下駅より徒歩約3分
竣工:1871年(高燈籠)、1872年(本殿)、1881年(能楽堂/1903年に靖国神社に移築)、1901年(拝殿)、1931年(遊就館)、1933年(石鳥居、到着殿) 、1934年(神門、靖國会館)、1940年(大手水舎)、2019年(外苑休憩所)
公式HP:https://www.yasukuni.or.jp/
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