こんにちは。建築好きのやま菜です。
今日は東京の目黒にある東京都庭園美術館のライトアップを見学してきましたので、建築好きの視点からその魅力やポイントをレポートしたいと思います。
庭園美術館と言えば80年以上前に建てられ、アールデコ様式の旧朝香宮邸を活かした美術館として都内でも人気のスポットです。
今回は年に6日間だけの夜間開館&ライトアップという超貴重な機会の庭園美術館を堪能してきましたので、その模様や合わせて見たいおススメ建築についてお伝えできればと思います。
【こんな人におすすめ!】
・都内で訪れるのにおススメのちょっと変わった美術館を知りたい
・普段とはちょっと違った庭園美術館の魅力について知りたい
・建築に興味があって、おススメの名建築を実際に訪れたレポートを知りたい
1.東京都庭園美術館とは?
東京都庭園美術館は目黒駅から程なく歩いたところにある美術館です。
元々は昭和天皇の皇后である香淳皇后の叔父 朝香宮鳩彦王の邸宅として1933年に建てられた宮邸でした。
1947年に朝香宮一家が退去した後は、1954年に政府が借り受け、吉田外相・首相の公邸として使用さたり、白金迎賓館として国賓の迎賓館として利用されてきました。
その後1983年より東京都庭園美術館として一般公開され、以降4半世紀にわたって多くの人々に親しまれてきました。
2011年から改修工事のため長期休館していましたが、芸術家の杉本博司氏をアドバイザーに迎えた新館建設を経て2014年にリニューアルしました。
また、紅葉の季節には開館時間が20時まで延長され、美しい庭園と建物のライトアップも見ることができます。
■施設情報
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎月第2・第4水曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
入館料:展覧会によって異なる
庭園入場料:
一般 200円
大学生 160円
中・高校生・65歳以上 100円
2.早速突入!紅葉&夜の庭園美術館がスゴかった
今回庭園美術館に訪れたのは11月~12月の年に6日間だけ限定の夜間開放デーです。
この6日間は特別に閉館が夜20時まで延長されていて、夜の庭園美術館が楽しめます。
目黒駅から5分ほど歩くと早速庭園美術館の入口のチケット売り場に到着。クリスマス仕様にライトアップされた受付でチケットを購入して早速中へ。
ここから少しだけ歩いて早速庭園美術館の敷地の中へ入りますが、程よく抑えめにライトアップされたアプローチはテンションがあがります。
早速今回の目的であるライトアップされた庭園を巡っていきます。
庭園美術館の庭園は3つのエリアに分かれていて、まず初めに訪れたのは大きな芝生のエリアである「芝庭」エリアです。
芝庭ではライトアップの光はかなり弱めで、その代わりにライトアップされた建物が楽しめます。
この建物自体は特にスポットライトで照らされているわけではないのですが、内側から漏れる光がとにかく美しいです。庭園美術館は何といっても豪華で凝りに凝った内装が特徴的な建物ですが、夜の暗闇に浮かび上がっている内装は昼間見るよりも数段美しくて圧倒されました。
芝庭で夜の建物を堪能した後は「日本庭園」を巡っていきます。
この日本庭園は小さいながら旧朝香宮邸時代から続く歴史ある庭園で、中央の池を中心とした池泉回遊式庭園がライトアップによって美しく照らされています。
池泉回遊式庭園と言えば都内では以前レポートした文京区の六義園や金沢の兼六園のライトアップが美しかったですが、池に反射する木々とライトアップの相性は抜群です。
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5分~10分ほどで巡れるほど小さな庭園ですが、込み具合も六義園や兼六園と比べてだいぶ少ないのでゆっくりと庭園散策を楽しめます。
池のほとりには1938年に建てられた茶室「光華」があります。
小間、広間、立礼席の三席からなる茶席のうちの立礼席は明治初期に裏千家が外国人のために考案した椅子式点前の茶席で、現存する茶室の中ではかなり珍しいものでもあります。
こちらは昼間にゆっくり鑑賞したいですね。
日本庭園を抜けると3つ目の庭園、「西洋庭園」が広がります。
こちらは元々は宮内省の官舎があったところを改修した庭園で、日本庭園とは全く趣の違った庭園が楽しめます。
こちらの西洋庭園は最近行われた建物の改修に合わせて園路や樹木が整備されていて、抑揚の効いたライトアップで静かな時間を過ごせます。
どの庭園も昼間来た時とは一味違った顔にかわっているので、この時期でしか見ることができない庭園を堪能しました。
3.建築もスゴイ!アールデコを体現する貴重な近代建築
庭園をひとしきり楽しんだ後は再度建物も鑑賞します。
庭園美術館の建てられた1930年代は世界中でアールデコと呼ばれる建築様式が大流行した時代でもありました。
アールデコは定規やコンパスで描いたような幾何学模様を中心にしたデザインが特徴的な様式で、ニューヨークのロックフェラーセンターやエンパイアステートビルなどもアールデコの代表的な建築とされています。
世界中で大流行するアールデコ様式が多くの人に認知されたのは1925年のパリ万博の時で、このことからアールデコは別名「1925年様式」とも言われています。
朝香宮家を創立した鳩彦王は1922年から1925年の3年間フランスに留学していて、その時魅せられたアールデコをいち早く取り入れてフランス人デザイナー、宮内省内匠寮、職人らが総力を上げてつくりあげたのがこの旧朝香宮邸なのです。
ちなみにエンパイアステートビルの竣工が1931年、旧朝香宮邸の建設が始まったのも1931年なので、まさに時代の最先端だったといえます。
建築内も見どころが満載で、まずはエントランスを入った正面玄関から圧倒されます。
正面のガラスのレリーフ扉はフランスのガラス工芸家ルネ・ラリックによるもので、もちろんこの建築のために作られた一点物の作品です。
他にも床・壁・天井・照明・建具とどれも一級品ばかりです。
どの意匠も見応え抜群なのですが、当時のアールデコ様式を今に伝える貴重な歴史遺産でもあり、2重3重に貴重な建物となっています。
まさに建物自体が芸術品なので、建物内部もじっくり時間をかけて楽しむのがおススメです。
4.杉本博司氏がアドバイザーの新館、2018年に新築のレストランも必見
そんな歴史的価値のある庭園美術館ですが、建築好きとしては近年新築された新館やレストランも見逃せません。
■新館
特に新館は芸術家の杉本博司氏がアドバイザーを務めていて、建築・アート好きとしては大注目の建築です。本館の歴史的建築物に対してシンプルなガラスの新館のコントラストがとても映えていて、2館を並べてみるととても面白いです。
豪勢で装飾的な新館に対して、シンプルな造形と素材の使い方をした新館の見せ方はまさに杉本博司氏ならではの美学を感じます。
また、庭園の自然や外からの光を巧みに取り入れた設計となっていることにも注目です。夜に見てみるとまるで宝石箱のような美しさがとても印象的でした。
設計:久米設計+杉本博司(アドバイザー)
竣工:2013年
■レストラン
もう1つ注目したいのが敷地の入り口付近に2018年に建てられたレストランです。
こちらも庭園と連続するようなガラスの開口部が特徴的な建物となってるのですが、まるで宙に浮かぶような3次元曲面の屋根がとても美しい建築でした。
こちらの建物も闇夜に浮かぶ屋根が照明によって浮かび上がるようにデザインされていて、ライトアップの時期に見るとより一層その美しさが際立っていました。
こちらのレストランはちょっと特別な日に利用してみたいですね。
設計:久米設計
竣工:2018年
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・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート
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いかがでしたでしょうか。
今回はじめての夜間&ライトアップの庭園美術館でしたが、昼間とは一味違った庭園美術館を存分に体感することができました。
とっても貴重な建築体験に大満足の一日となりました。
庭園美術館
設計
本館:宮内省内匠寮工務課+アンリ・ラパン(内装デザイン)
新館:久米設計+杉本博司(アドバイザー)
レストラン:久米設計
所在地:東京都港区白金台5-21-9
アクセス:目黒駅より徒歩約5分
竣工:1933年(本館)、2013年(新館)、2018年(レストラン)
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