教文館が面白い!昭和初期に建てられた銀座の老舗書店をレポート

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今日は銀座にある教文館・聖書館ビルを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・教文館・聖書館ビルを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・教文館・聖書館ビルの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・教文館・聖書館ビルの建築的な見どころや注目ポイント

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1.銀座に建つアントニン・レーモンド設計の老舗書店に注目

今回訪れたのは和光や銀座プレイスが建つ銀座4丁目交差点からすぐのところに建つ9階建ての建物 教文館・聖書館ビル

教文館

このビルは教文館・聖書館ビルという名の通り、キリスト教の宣教師によってつくられた書店で、その歴史は明治時代の1885年にまで遡ることができます。長きに渡ってキリスト教を禁止していた江戸時代が終わり、明治時代に入って布教活動の為にアメリカのメソジスト教会の宣教師たちが立ち上げた組織と書店が教文館のルーツなのです。

現在の建物は、1923年に起こった関東大震災のちょうど10年後、1933年に建てられたものだというから驚きです。

教文館の外観

さらにこの建物の設計を手掛けたのは、日本近代建築の父とも呼ばれるアントニン・レーモンド。
レーモンドはこの建物の完成後、自らの事務所をこの建物の中に構えていたこともあり、建築好きからすると中々興味深い建物でもあります。

アントニン・レーモンドといえばこのブログでも1954年に建てられた聖アンセルモ目黒教会1961年に建てられた群馬音楽センターなど数々の建物を紹介してきましたが、1933年に建てられたこちらの建物は彼の初期〜中期ごろの作品。

群馬音楽センター(群馬県高崎市)

ちなみに電車の広告などでもよく見かける軽井沢の聖ポール教会(1934年)とほぼ同時期の建築となっています。

20代前半で故郷のチェコからアメリカに渡り、近代建築の3巨匠の一人フランク・ロイド・ライトの元で建築を学んだレーモンドが来日したのは、日比谷にあった旧帝国ホテルの建設の為
帝国ホテルホテル完成後しばらくして独立したレーモンドは、戦争による帰国を経ながらも、最終的には400ほどの建築を日本で生み出しました。

ライトの弟子とも言えるレーモンドの事務所には、フランスの巨匠ル・コルビュジエの元での修行を経て日本に帰国した前川國男や吉阪隆正も在籍していて、まさに20世紀の日本の建築界に大きな影響を与えました。

このビルが建てられた1933年は関東大震災からの復興期であり、世界的にはインターナショナルスタイルを標榜するモダニズムが注目を集めたり、アメリカでは直線や幾何学を取り入れたアールデコと呼ばれる都市建築美的建築が隆盛を極めていた時期でした。

教文館の外観

現在の教文館・聖書館ビルも当初のデザインはこれらを反映した最先端のデザインでしたが、90年近い歴史の中で現在は大きく改修されていています。
特に外観は上空に伸びるような塔屋や垂直強調の装飾がなくなってかなりシンプルになっています。
塔屋は高度経済成長期には大きな看板につけ変わったそうですが、現在ではその看板も撤去
されています。

教文館(2007年ごろ)

こちらは2007年ごろ撮影した写真ですが、左上の看板がこの時にはまだ残っていますね。

2.所々に残る当時の面影に注目!古き名建築をたっぷりと堪能

建物の中にはいると、当時の面影をいくつも見ることができます。
例えば東側のエントランスにある回転扉は、使用はされていないものの銀座に残る回転扉の中でも最古級に古いものだとか。
エントランスロビーは、照明が落とし気味になっていてカッコいいですが、ふと天井に目をやると見える装飾も当時からのもの。

さらに奥に進むとちょっと不思議な左右に分かれた2つの階段が見えてきます。
この階段室は、南側の教文館部分と北側の聖書館ビルのちょうど中間にあって、2つのビルへの動線を分けるために両側に階段がある珍しいつくりとなっています。

教文館

簡素なデザインですが、緩やかにカーブする造形がとても美しいです。

教文館の書店部分の構成は1階が主に雑誌コーナー、2階が一般書のコーナー、3階がキリスト教関連の和書・洋書となっています。
また、4階にはキリスト教関連のグッズコーナーとカフェが、9階には子どもの本のみせナルニア国があります。

ナルニア国は本の売上が減少し始めた90年代に企画されたコーナーで、様々な児童書や絵本が並べられている人気のスポットです。
最近リニューアルもされて、多くの人で賑わっていました。

児童書や絵本は、何世代も前の本が未だに読み継がれ、ベストセラーになっていますが、世代を超えて受け継がれてきた教文館ビルの中にそんな本の世界が広がっているのも何だか素敵です。

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3.銀座の穴場カフェ、「カフェきょうぶんかん」に注目

教文館ビルでもう一つ注目なのが、2006年に建物内に新しくつくられたカフェきょうぶんかんです。

私もカフェの存在は知っていたのですが、今回初訪問。
4階のエレベーターホールのすぐ横が入口のカフェは入口はちょっとわかりにくいですが、訪れてみるとこれが本当によかったです。

カフェきょうぶんかんの内装

店舗に入るとエレベーターの横の細い通路を通って店内には入るのですが、白い壁と地窓で挟まれた空間が2つの世界を繋ぐトンネルのようになっていて、トンネルを抜けるとパッと明るい店内空間が広がります。
またこの通路はプチギャラリーにもなっているのも素敵です。

店内に入ると、そこは自然光が気持ちのいい開放的な空間になっていて、窓の外からは、銀座の中央通りの賑わいが微かに伝わってきます。

カフェきょうぶんかんの内装

店内の内装は、腰から下の床やカウンター、椅子はダークブラウンに、腰から上の壁や天井はホワイトを基調とした明るい色に統一されていて、爽やかで居心地のいい空間となっています。

今回訪れたのは開店直後のちょっと早い時間だったので、ばらの花形ケーキのケーキセット(920円)を注文。

卵もバターも北海道産の素材を使っているというケーキは、シンプルだけど深みのある味わいで、珈琲ととてもよく合います。

窓の外の週末の銀座を行き交う人々に目をやりながらゆったりとした時間を楽しみます。
カップのデザインも素敵で、まさに銀座で過ごす上質なひと時が味わえました。

カフェきょうぶんかん
こちらはキャラメルポワール

ちなみにケーキセットは他にももみの木の形をしたタンネちゃんふわふわのコットンケーキ、洋梨を使ったキャラメルポワールがあります。
セットでは珈琲か紅茶が選べて、アイスにもできます。

素敵な建築と、カフェ空間をたっぷりと堪能してこの日の建築巡りは大満足で終了。
銀座の隠れ名近代建築 教文館&聖書館ビル、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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教文館・聖書館ビル
設計:アントニン・レーモンド
所在地:東京都中央区銀座4-5-1
アクセス:銀座駅徒歩約2分
竣工:1933年
公式HP:https://www.kyobunkwan.co.jp/

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※記載している営業時間や金額は記事執筆時点のものです。変更となっている場合もありますので、訪れる際は公式HP等をご確認ください。


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