松本「松本本箱」老舗旅館をリノベーションした話題の複合施設をレポート

3.新旧が融合した素敵なリノベーション空間を堪能

階段を上がった2階も元大浴場を改修した空間ですが、こちらは少し大人向けの空間。

脱衣スペースを改修してつくられた空間は本棚を利用した半個室スペースとなっています。

この半個室スペースは、一人用の小さなスペースからカップルで使える少し広めのスペースまでいろいろなサイズが用意されていて、ゆっくり本を楽しめる空間となっています。

2階の空間も洗面台をそのまま残して活用していたりと、元々の旅館の空間を継承したデザインとなっています。

大浴場の入口にはオトナ本棚の暖簾が掛かっていて、内部はまさにオトナの雰囲気が漂う空間となっています。

浴室ということで、元々の開口部の少ない空間を逆手に取った艶やかで落ち着いた空間はまさに圧巻。

天井がミラー素材となっているので、壁一面の本棚がさらに天まで連続するように感じられます。
湯船のタイルは剥き出しの躯体ともよくマッチしていて、ドラマチックな空間をより演出しています。

駆体のコンクリートには、旅館時代には隠れていた施工時の文字が剥き出しになっています。
これらも含めてデザインとして成立していて、まさにリノベーションだからこそできる重みと味わいを存分に感じることができます。

4.敷地外のカフェにも注目！松本十帖の建築群をたっぷりと楽しもう

松本十帖では、メインとなる敷地の外にも2件のカフェがあり、敷地の外も含めたエリア全体での温泉街の活性化が図られています。
松本本箱から東に3分ほど歩いたところに建つこちらのカフェもその一つ。

哲学と甘いものと名付けられた、カフェも古い建物を改修してつくられたもの。
こちらのカフェはスキーマ建築計画がデザインを手掛けていて、哲学書を中心にセレクトされた本が並ぶブックカフェです。

「自分を見つめる」「人生を考える」をテーマにしたカフェではアルコールも含めたドリンクを飲みながら物思いに耽るのにピッタリです。

あんバタートーストや特製プリンなど、頭を使ったあとに糖分を補給するフードメニューも頂けるのも嬉しいポイント。

素敵な空間と本と食事を堪能できるオススメのスポットとなっています。
ちなみに松本十帖では、浅間温泉バス停の近くにもう一つおやきと、コーヒーというカフェもあります。

生まれ変わった浅間温泉の建築を堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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松本十帖
設計：SUPPOSE DESIGN OFFICE(松本本箱、信州発酵研究所、三六七)、スキーマ建築計画(浅間温泉商店、哲学と甘いもの、小柳之湯)、自遊人(小柳、おやきとコーヒー)
所在地：長野県松本市浅間温泉3
アクセス：松本駅よりバスで約30分、下車後徒歩約3分
竣工：2020年(改修)
公式HP：https://matsumotojujo.com/journal/