今日は東京都の有楽町・日比谷エリアで建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・有楽町・日比谷エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・有楽町・日比谷エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・有楽町・日比谷エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.東京交通会館
まずはじめに紹介するのは、有楽町駅の中央口・京橋口の目の前に建つ東京交通会館です。
東京交通会館は、前々回の東京オリンピックの翌年の1965年に完成し、当時流行しつつあった屋上の回転レストラン(2020年に回転は停止)を取り入れたことでも知られる建物です。
台形の敷地いっぱいに建てられた建物は滑らかな曲面とピロティによって、街に溶け込み、人々を迎い入れています。
ちなみに地下1階にはいるローヤルは、建物ができた当初からはいる老舗の喫茶店。
王室を思わせる煌びやかなインテリアの空間で昔懐かしのメニューを味わえるので、訪れた際は是非立ち寄ってみてください。
設計:三菱地所設計+芦原義信
所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約1分
竣工:1965年
2.有楽町マリオン
有楽町マリオン(有楽町センタービルディング)は、有楽町の銀座口に建つ地上14階地下4階建ての商業施設、ホール、映画館等の複合施設です。
マリオンとは建築の外装に用いられる垂直の方立てを指しますが、ガラスの外装に垂直に伸びるマリオンが緩やかにカーブしながら連なった建物は有楽町のランドマークになっています。
棟の間の吹付けは建物を縦横に繋ぐ動線になっていて、巨大な立体都市が地上部から連続するように構成されているのも特徴です。
特に一期工事で建てられた2棟の間にあるセンターモールは圧巻の一言。ミラーガラスに反射する光が上方から降り注ぎ、空間がどこまでも続いているかのように拡張される様は白昼夢のようです。
設計:竹中工務店
所在地:東京都千代田区有楽町2-5-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約2分
竣工:1984年、1987年
備考:第27回BCS賞
3.数寄屋橋派出所
数寄屋橋派出所は、有楽町マリオン前の銀座数寄屋橋交差点に建つ交番です。
三角屋根の上にシルバーのオブジェが乗るデザインが印象的ですが、屋根の上にある円形のオブジェは、計画中の模型のてっぺんに仮に刺したまち針からきているというのもユニークです。
針の頂上はかなりの高さがあり、遠くからでも視認できる目印としても機能している、有楽町駅前のランドマークです。
設計:山下和正/山下和正建築研究所
所在地:東京都中央区銀座4-1-2
アクセス:有楽町駅より徒歩約3分
竣工:1982年
4.東京国際フォーラム
東京国際フォーラムは、有楽町駅前の旧東京都庁跡地に建てられたホール、展示室、会議室、商業施設や美術館等の複合文化施設です。
山手線の緩やかなカーブに沿うような不整形の敷地に、7つのホールや33の会議室、レストランやカフェ、美術館などが配置されていて、特に3600枚ものガラスパネルを使ったアトリウム空間は圧巻です。
アトリウムは先端にある巨大な2本の柱とキール鉄骨と呼ばれる白の梁によって支えられていて、船底のような屋根は、まるでノアの箱舟のようにも見えます。
詳細記事
・東京国際フォーラムがスゴい!バブルが生んだ名建築を建築好きがレポート
設計:ラファエル・ヴィニオリ建築士事務所
所在地:東京都千代田区丸の内3-5-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約1分、東京駅より徒歩約5分
竣工:1996年
公式HP:https://www.t-i-forum.co.jp/
5.新東京ビルヂング
新東京ビルヂングは、東京国際フォーラムの西側に建つ地上9階地下4階建ての古き良きオフィスビルです。
建物の外装は水平ラインを強調した連続窓となっていて、かつて丸の内界隈にあった31mのスカイラインの名残を感じることができます。
丸の内の区割りを建物化したような内部の区画割と通路も特徴的で、通路の中央交差点にある吹き抜けや、天井照明は迫力満点です。
設計:三菱地所
所在地:東京都千代田区丸の内3-3-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約3分
竣工:1963年、1965年
6.国際ビルヂング/帝国劇場
国際ビルヂングは、皇居外苑の向かいに建つ地上9階地下6階建てのオフィス、劇場等の複合施設です。
黒のフレームに褐色とシルバーを基調とした外装は、落ち着いた雰囲気を纏いながらいぶし銀のような輝きを放っています。
お掘りに向かった地上部は外部空間との連続性を確保していて、日本建築のもつ外部空間との関係性を世界基準の最新ビルに巧みに取り入れています。
落ち着いたトーンの外装ですが、内部に入ると雰囲気が一変し、明るく華やかな設えになっているのも注目ポイントです。
外装デザイン:谷口吉郎
劇場設計:阿部事務所
建築設計:三菱地所
所在地:東京都千代田区丸の内3-1-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約4分
竣工:1966年
備考:第9回BCS賞
7.読売会館(旧有楽町そごう)
読売会館は、有楽町駅前の三角形の敷地に建つ地上9階地下2階建ての商業施設、ホールの複合施設です。
昭和の日本を代表する建築家村野藤吾が設計を手掛け、元々は有楽町そごうとして街のランドマーク的な存在でした。
度重なる改修により当時の面影が無くなっている部分も多いですが、7階のよみうりホールの内部空間やトイレに向かう通路の部分などには当時の面影が残っています。
線路側は水平ラインが強調されるガラスの外装が残されていて、地上からだけでなく電車やホームからの視線も意識しているのも注目ポイントです。
設計:村野藤吾
所在地:東京都千代田区有楽町1-11-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約1分
竣工:1957年
8.新有楽町ビルヂング
新有楽町ビルヂングは、読売会館の西側に建つ地上14階地下4階建てのオフィスビルです。
外観は青み掛かった外壁や丸みを帯びた開口部が、独特の存在感を放ちつつ建物にリズムをつくり出しているのが特徴です。
巨大な立面で繰り返しの多いデザインですが、全く飽きがこない味わい深さがあり、個人的には有楽町で一番好きな建物でもあります。。
1期と2期で工期が微妙にズレていて、兄弟みたいに並んで見れるところも面白い建物です。
設計:三菱地所
所在地:東京都千代田区有楽町1-12-1
アクセス:有楽町駅より徒歩約2分
竣工:1967年、1969年
9.第一生命日比谷ファースト(DNタワー21)
第一生命日比谷ファースト(DNタワー21)は、日比谷通りに面した旧第一生命館(1938年竣工)と丸の内仲通りに面した旧農林中央金庫有楽町ビル(1933年竣工)を一部保存・再構築して建てられた地上21階地下5階建て高さ約100mのオフィスビルです。
お掘りに面した旧第一生命館の意匠を引き立てセットバックして建つタワーや、裏手では旧建物の東面と南面のデザインを一つの立面として再構成するなど、元の建物をリスペクトしつつ、現代の超高層オフィスがリデザインされています。
設計:ケビン・ローチ・ジョン・ディンケルー・アンド・アソシエイツ・アーキテクツ+清水建設
所在地:東京都千代田区有楽町1-13-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1995年
10.ザ・ペニンシュラ東京
ザ・ペニンシュラ東京は、日比谷公園と皇居外苑の交差点に建つ地上24階地下4階建てのホテルです。
晴海通りの東端に建つ建物は、かつての31mの高さ制限のラインを温かみのある色の花崗岩で仕上げ、かつての街並みを想起させつつ、Y字に伸びる道路に呼応するシンボリックなデザインとなっています。
落ち着いたトーンの外装と、空や濠を想起させるガラスがマッチした姿は、上質で伝統的なイメージを纏いつつ、優雅に日比谷の地に佇んでいます。
設計:三菱地所設計
内装設計:観光企画設計社+橋本夕紀夫デザインスタジオ
所在地:東京都千代田区有楽町1-8-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:2007年
備考:2009年日本建築学会作品選集
11.日比谷公園前派出所
日比谷公園前派出所は、その名の通り日比谷公園の北東にある交番です。
後ろに自然豊かで複雑な日比谷公園、すぐ近くに皇居がある立地の中で、建築自体は装飾を排して直線的でシンプルな形態にしているのが特徴です。
複雑な環境の中にあえてシンプルなものを置くことで、周りの環境を引き立てつつ、自身の存在感を示しているデザインがとても秀逸です。
設計:横河健/横河設計工房
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1986年
12.東宝日比谷プロムナードビル
東宝日比谷プロムナードビルは、日比谷のランドマークでもあった東宝ツインタワービル(1969年竣工)の跡地に建つ地上11階地下2階建てのオフィス、商業の複合施設です。
街並みを反射し、映し出すスクリーンのような外装は、上階に散りばめられた換気窓によってスタイリッシュながら変化と人の気配を感じるデザインとなっています。
また、低層部では日比谷公園側のテラスや、ミットタウン側のV字柱のコーナー部分など街との関係性が巧みにデザインに取り入れられているのも素敵です。
設計:竹中工務店
所在地:東京都千代田区有楽町1-5-2
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:2023年
13.東京ミッドタウン日比谷
東京ミッドタウン日比谷は、日比谷公園の目の前に建つ地上35階地下4階建て高さ約192mの事務所、商業施設、映画館等の複合施設です。
かつて日比谷にあった鹿鳴館の舞踏会からインスピレーションを得たダンシングタワーというコンセプトにより、柔らかくカーブする優雅な姿と繊細な表情がデザインされています。
尚、有楽町側は他のビルに囲まれてほとんどその全景を見ることはできませんが、日比谷公園からはその全景を望むことができるので、このあと紹介する日比谷公園と合わせてみてみてほしいです。
マスターデザインアーキテクト:ホプキンスアーキテクツ
基本設計・デザイン監修:日建設計
実施設計・監理:KAJIMA DESIGN
商業環境デザイン:乃村工藝社
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-2
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:2018年
備考:第60回BCS賞
14.日本生命日比谷ビル/日生劇場
日本生命日比谷ビルは、日比谷公園の向かいに建つ日本生命のオフィスと日生劇場が同居する地上8階地下5階建ての複合施設です。
花崗岩貼りによる端正なデザインの外装は、石材の微妙な変化と彫り込まれたバルコニーにより実に繊細で奥深い表情を見せてくれます。
近づいてみると、さらに細かく立体的な造形が丁寧に折り重ねられていて、その周到なデザインと惚れ惚れする造形美に驚かされます。
物静かな建築が雄弁に語りかけてくる、建築家村野藤吾の手腕が存分に発揮された建築は、日比谷を訪れたら是非訪れたい名建築です。
設計:村野藤吾
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1963年
15.日比谷公園
最後に紹介する日比谷公園は、1903年に開園した日本初の洋風近代式公園です。
日比谷公園の造園に当たっては、一時期は東京駅を設計した辰野金吾による案が提出・検討されたりもしましたが、紆余曲折を経って日比谷公園造園委員会の委員でもありドイツ留学から帰国したばかりの本多静六の計画案が採用され、現在の公園の原型がつくられました。
現在では開園から100年以上が経過し、各時代に建てられた建築が立ち並び、それらを一度に見て周ることもできる建築スポットにもなっています。
旧日比谷公園事務所は、公園の管理事務所として1910年に建てられた建物です。
ドイツのバンガロー風のデザインの建物は、ほぼ当時のままの状態を留めていている貴重な近代建築です。
現在はフェリーチェガーデン日比谷として営業し、結婚式やカフェとしても親しまれています。
日比谷公会堂は1929年に建てられた公会堂です。
当時都内で唯一の音楽ホールとして開館した建物は、ゴシック風の堂々とした外観が特徴で、その後全国に建てられる公会堂にも大きな影響を与えました。
日比谷図書館は、1957年に建てられた都立図書館です。
2009年に改修工事が行われ、現在は千代田区立日比谷図書文化館として再オープンしています。
三角形のプランと、日比谷公園の木々に開けた開口部が特徴で、外観はシャープな印象的ですが、建物内に入ってみると公園の自然が見事に取り込まれていることを体感できる素敵な建築です。
日比谷野外音楽堂は「野音」として数々のアーティストのコンサートが行われてきた屋外ステージです。
現在の野外音楽堂は3代目で、シンプルながら放射状に熱気を広げるかのようなデザインと、木々に囲まれた開放的な客席が特徴となっています。
フラワーショップHは、日比谷公園内の日比谷門に隣接して建つ花屋です。
旧店舗の老朽化によって建替えられた建物は、約100㎡の面積を細長く分節し、7.5mの高い階高が特徴です。
4面をガラスで囲い、店内は内部のようで外部のような内外一体の空間となっています。
空間そのものがショーウィンドウのようでもあり、通りを通り過ぎる人が建ち止まって中の花々を覗きこんでいたのが印象的な建物でした。
設計:福田重義(旧日比谷公園事務所)、佐藤功一(日比谷公会堂)、高橋武士/東京都(日比谷図書館)、桂設計(日比谷野外音楽堂)、乾久美子/乾久美子建築設計事務所(フラワーショップH)
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-6
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1910年(旧日比谷公園事務所)、1929年(日比谷公会堂)、1957年(日比谷図書館)、1985年(日比谷野外音楽堂)、2009年(フラワーショップH)
備考:東京都指定有形文化財(日比谷公会堂)、第53回BCS賞(フラワーショップH)
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