今回は私が訪れた中から静岡駅周辺の近代建築について紹介したいと思います。
建築数が多いので今回は近代建築・昭和編ということで紹介します。平成以降の建築については次回の記事で紹介したいと思います。
1.静岡銀行本店(中村與資平)
まずはじめに紹介するのは駿府城跡からすぐのところにある静岡銀行本店です。
昭和6年に三十五銀行本店として建てられ、現在は静岡銀行として現役で利用されています。
設計は静岡出身の建築家で、朝鮮半島で銀行をはじめとして50を超える建築を設計したことでも知られる中村與資平(なかむらよしへい)によるものです。
静岡県内で建てられた鉄筋コンクリート造の建築の中では比較的初期の建築で、第2次世界大戦の戦火も耐え抜きました。
2面の道路に面する各ファサードにはそれぞれ4本のドリス式の柱が配されていて、非常に堅実な印象を受けます。
設計:中村與資平
所在地:静岡県静岡市葵区呉服町1-10
最寄駅:静岡駅徒歩15分、新静岡駅徒歩7分
竣工:1931年
2.静岡市庁舎(中村與資平)
静岡銀行本店と同じく中村與資平による設計の静岡市庁舎は静岡銀行本店から3年後の1934年に竣工しました。
約40mの高さにあるイスラム風ドームの塔屋が特徴的な建物で、全体はスペイン風の意匠が散りばめられ、繊細でありながらのびのびとした印象を受けます。
海外の100近い都市を視察してきた中村の見識とキャパシティの広さが伺え、当時としては東京と比べてもなかなかないほど先鋭的な建築だったと思われます。
設計:中村與資平
所在地:静岡市葵区追手町5-1
最寄駅:静岡駅徒歩10分、新静岡駅徒歩5分
竣工:1934年
3.静岡県庁舎 本館(中村與資平)
こちらの静岡県庁舎も設計は中村與資平によるもので、まとめてみていくと3年ごとに銀行、市庁舎、県庁舎とステップを踏んでいったことが分ります。
もともとコンペで当選した泰井武による設計を引き継いだものですが、静岡市庁舎と比べても直線的できっちりとした印象となっています。
ヨーロッパからの引用というよりは帝国主義的な印象が強くなっているのが興味深いです。ちなみに上から見ると「日」の形になっているので気になった方はGoogleEarthで見てみて下さい。
設計:中村與資平
所在地:静岡市葵区追手町9-6
最寄駅:静岡駅徒歩10分、新静岡駅徒歩5分
竣工:1937年
4.浅間神社
正式には神部神社・浅間神社・大歳御祖神社の三社からなり神部神社は約2100年以上前、浅間神社は1100年前、大歳御祖神社は1700年前の創建と大変に長い歴史を持つ神社です。
江戸時代(1804年)から建てられた極彩色の社殿群は本殿、拝殿をはじめとして23棟が国の重要文化財に指定されています。
所在地:静岡市葵区宮ヶ崎町102-1
最寄駅:静岡駅徒歩20分
竣工:1804年~1861年
また、この重要文化財には境内社である麓山神社、少彦名神社、八千戈神社も含まれており、合わせてみたい建築です。
□麓山神社 本殿(1822年~1824年)
□少彦名神社 本殿(1850年)
□八千戈神社 本殿(1838年)
尚、静岡駅からは少し離れてしまいますが、近くには国宝である久能山東照宮(1617年)もあります。
5.駿府城巽櫓
徳川家康が築城した駿府城の跡地に建つ巽櫓と東御門で、現在建っているものは平成になってから復元されたものになります。
巽櫓は全国でも珍しいL字の平面なのが特徴で防御性に優れた巽櫓でした。東御門はもともと駿府城の主要な出入り口であり、こちらも石落としや鉄砲狭間を持つ実践的な造りになっています。
所在地:静岡市葵区駿府城公園1-1
最寄駅:静岡駅徒歩10分、新静岡駅徒歩3分
竣工:巽櫓1989年(復元)
東御門1996年(復元)
6.静岡新聞・静岡放送本社(丹下健三)
続いて紹介するのは静岡新聞・静岡放送本社ビルです。
静岡新聞のビルは丹下健三の設計で、どちらかといえばこちらの記事でも紹介した静岡新聞・放送東京支社ビルが有名ですが、この本社ビルはその3年後に建てられた本社ビルです。
成長する有機体としてのイメージは東京支社ビルのほうが感じますが、執務空間をきちんと確保した上で大きくそびえるこちらの建築は周りに低層ビルが多いこともあってより力強く見えます。白いコアの部分とブラウンの執務空間からも、静岡新聞・放送東京支社ビルのような幹と枝葉のコンセプトがよく分る建築です。
登呂遺跡から徒歩圏内なのでこの後紹介する芹沢銈介美術館本館 石水館の前後に見学するのがおススメです。
設計:丹下健三
所在地:静岡市駿河区登呂3-1
最寄駅:静岡駅南口よりバス10分
竣工:1970年
7.静岡県庁舎 東館(日建設計)
次に紹介するのは駿府城公園から飛び出す静岡県庁舎東館です。
一見現代的にも見えますが、なんと50年前の建築です。
後の日建設計の建築で度々採用されてもいる巨大なアトリウムのような空間は一度味わっておくべきです。また、外壁はコンクリート打ちっ放しですが、1989年に一度改修工事をしたものの50年経った今でも非常にスマートな印象に見えるのはさすがですね。
設計:日建設計
所在地:静岡県静岡市追手町9-6
最寄駅:静岡駅徒歩10分、新静岡駅徒歩3分
竣工:1970年
8.芹沢銈介美術館本館 石水館(白井晟一)
芹沢銈介美術館は弥生時代の遺跡として知られる登呂遺跡の隣に建つ美術館で、通称石水館とも呼ばれています。
石水館の名の通り石造りの建物が真ん中にある池を囲うように配置されています。
登呂公園の中にあって自然に溶け込んでいるようで、強烈に主張もしていてある意味究極の自然物でありながら究極の人工物であるような不思議な建築でした。
静岡新聞本社ビルと合わせて静岡駅を降りた建築好きは必見の建築です。
ちなみに隣接して東京都大田区蒲田より移築した芹沢銈介の家もありますので見学の際には登呂遺跡とも合わせて見ておきたいですね。
設計:白井晟一
所在地:静岡市駿河区登呂5-10-5
最寄駅:静岡駅南口寄りバスで12分、バス下車後徒歩約3分
竣工:1981年
9.静岡市役所静岡庁舎新館(佐藤総合計画)
駿河城公園の前に建つ静岡市役所静岡庁舎新館(静岡市役所・葵区役所)です。
低層部と高層部にきれいに分かれていて、低層部の上部に繋がる大階段は時代の雰囲気を感じます。高層部の最上階にある17階は展望スペースにもなっています。
設計:佐藤総合計画
所在地:静岡県静岡市葵区追手町5-1
最寄駅:静岡駅徒歩10分、新静岡駅徒歩3分
竣工:1986年
ちなみに徒歩5分くらいのところにあるエクセルワード静岡ビル(1994年)も佐藤総合計画の設計です。駅前なのでこちらも合わせてチェックしておきたいですね。
ちなみに静岡駅周辺エリアでホテルや宿を探すなら、まずはネットの大手サイトが断然便利でお得です↑静岡・清水のホテル・旅館・宿泊施設をじゃらん.netで見る
》一休から静岡駅周辺のホテル・旅館・おススメの宿を検索する
いかがでしたでしょうか。
続いて後半では平成以降の現代建築を見ていきたいと思います。
→Nexet:10-20「平成・現代建築編」を見る
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