こんにちは。建築好きのやま菜です。
今日は東京の目黒周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築について紹介したいと思います。
目黒駅周辺と言えばおしゃれで上品なショップや高級住宅街といったイメージがあるかもしれませんが、見どころ満載の建築が点在する建築パワースポットでもあります。
いったいどんな建築と出会ったのか、早速紹介していきたいと思います!
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・目黒駅周辺エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・目黒駅周辺エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・目黒駅周辺エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.東京都庭園美術館
まず初めに訪れた東京都庭園美術館は、目黒駅から程なく歩いたところにある美術館です。
元々は昭和天皇の皇后である香淳皇后の叔父 朝香宮鳩彦王の邸宅として1933年に建てられた宮邸でしたが、1983年より東京都庭園美術館として一般公開され、以降四半世紀にわたって多くの人々に親しまれてきました。
2011年から改修工事のため長期休館していましたが、芸術家の杉本博司氏をアドバイザーに迎えた新館建設を経て2014年にリニューアルされました。
ガラス工芸家ルネ・ラリックによる正面のガラスのレリーフ扉をはじめ、床・壁・天井・照明・建具とどれも一級品ばかり。建物自体が当時のアールデコ様式を今に伝える貴重な歴史遺産でもあり、美術作品でもあります。
また、本館部分だけでなく、芸術家の杉本博司氏がアドバイザーを務めて完成した新館も建築・アート好きとしては大注目です。
本館の歴史的建築物に対してシンプルなガラスの新館のコントラストがとても映えていて、2館を並べてみるととても面白い建築です。
詳細記事
・夜の東京都庭園美術館がスゴい!ライトアップされた建築&庭園をレポート【東京都目黒】
設計
本館:宮内省内匠寮工務課+アンリ・ラパン(内装デザイン)
新館:久米設計+杉本博司(アドバイザー)
レストラン:久米設計
所在地:東京都港区白金台5-21-9
アクセス:目黒駅より徒歩約5分
竣工:1933年(本館)、2013年(新館)、2018年(レストラン)
2.土浦亀城邸(土浦亀城)
土浦亀城邸は庭園美術館から北に10分ほど歩いた高級住宅街の一角に建つ住宅です。
この邸宅はフランク・ロイド・ライトのもとで建築を学んだ土浦亀城氏が自らの住まいとしてデザインした住宅で、日本で最初の都市型モダニズム住宅と言われています。
都心の限られた土地や高低差といった条件をうまく作品に昇華させて豊かな空間を創り出していて、当時現在進行形で進んでいたモダニズムの文脈を日本の木造住宅に当てはめることを試みた記念碑的な建築でもあります。
設計:土浦亀城
所在地:東京都品川区上大崎2-6-14
アクセス:目黒駅より徒歩約10分、恵比寿駅より徒歩15分
竣工:1935年
備考:2023年解体
3.サンバーストビル(芦原太郎/芦原太郎建築事務所)
続いて紹介するサンバーストビルは、土浦邸から線路を渡って西側にある自動車教習所です。
シンボリックな球体のインパクトがものすごい建物ですが、この球体は太陽をイメージしてデザインされたもので、「昇る太陽と雲間からはじけ輝く陽の光」を表現しています。
もともとは赤い球体でしたが、現在は東京オリンピックデザインに変更されているようです。球体の色が変わるだけで全体の印象も大きく変わっているのが面白いですね。
目黒見た通り沿いに見ると普通のビルに見えるギャップも面白く、様々な角度からの見え方に注目したい建築です。
設計:芦原太郎/芦原太郎建築事務所
所在地:東京都目黒区三田1-6-27
アクセス:目黒駅より徒歩約10分、恵比寿駅より徒歩約15分
竣工:1996年
4.聖アンセルモ目黒教会(A.レーモンド)
目黒駅の西側を3分ほど南下したところにあるのはA.レーモンドが設計した聖アンセルモ目黒教会です。
コンクリート折板構造による立体的な造形、側面から漏れ入る光、背面のステンドグラスを通して入ってくる光によってつくり出される陰影が深淵な祈りの空間を生みだしています。
大きく力強い迫力のある躯体から、細かく丁寧にデザインされた装飾や家具までどこを見ても見応え抜群の建築となっていて、戦後の教会建築の傑作と言ってもいい作品です。
設計:A.レーモンド
所在地:東京都品川区上大崎4-6-22
アクセス:目黒駅より徒歩約3分
竣工:1956年
5.聖アンセルモ 祈りの家(長島孝一+AUR)
聖アンセルモ祈りの家は、A.レーモンド設計の教会に隣接して建てられた事務室、集会室、宿泊施設等の複合施設です。
道路側の壁面は細かなスリット状の開口が全面的に設けられていて、内外共に光の陰影による荘厳な空間を楽しめます。
竣工から40年建っても古びた印象は感じられず、まるで太古の昔からそこにあったような風格を醸し出しています。
設計:長島孝一+AUR
所在地:東京都品川区上大崎4-6-22
アクセス:目黒駅より徒歩約3分
竣工:1980年
6.杉野記念館(杉野繁一)
杉野記念館は、杉野学園の創立者である杉野夫妻の自邸で、夫妻の没後に杉野学園に寄贈されて現在は記念館となっています。
杉野繁一氏といえば実業家・教育者として知られていますが、スタンフォード大学で土木工学を学んだ後、アメリカ等で建築家として活動した経歴もある人物です。
外観はシンプルですが、独特のプロポーションや和洋折衷のこだわりの意匠、ちょっとした遊び心も垣間見れる味わい深い建築です。
設計:杉野繁一
所在地:東京都品川区上大崎4-6-18
アクセス:目黒駅より徒歩約4分
竣工:1938年
7.杉野学園衣裳博物館(杉野繁一)
杉野学園服飾博物館は、杉野記念館のすぐ先に建つ日本で最初の衣裳博物館です。
創設者の杉野芳子氏は戦後の日本の服飾教育を進めるにあたり、西洋衣裳の歴史を体系的に学び、実際に間近で触れられる環境が必要との思いからこの博物館をつくったそうです。
3層分の柱が並ぶ外観はインパクト大で、まさに建物自体が巨大な衣装箱のようでもあります。
設計:杉野繁一
所在地:東京都品川区上大崎4-6-19
アクセス:目黒駅より徒歩約5分
竣工:1957年
8.十四世喜多六平太記念能楽堂(榛沢敏郎/榛沢建築設計事務所)
十四世喜多六平太記念能楽堂は、人間国宝でもあった十四世喜多六平太の功績を記念し設立された能楽堂です。
ドレメ通りにある細道の先の少しわかりにくいアプローチを入った先にあるのは、独特のプロポーションと造形的な形態が特徴的な建物です。
建物の中に入ると印象は一変し、国内でもトップクラスの能舞台を有する建築が姿を現します。
かなり遠回りになりますが、外観を見学する際は東側の線路際に降りて見てみると高台の上に聳え立つ外観を見ることができておススメです。
設計:榛沢敏郎/榛沢建築設計事務所
所在地:東京都品川区上大崎4-6-9
アクセス:目黒駅より徒歩約6分
竣工:1973年
9.ホテル雅叙園東京(日建設計)
続いて訪れるホテル雅叙園は、東京都目黒区の目黒川沿いにある結婚式場・ホテル・レストランなどの複合施設です。
豪華絢爛なつくりから「昭和の竜宮城」ともいわれてきた雅叙園ですが、中でも注目なのがホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園として建てられた木造建築「百段階段」です。
百段階段の宴会場の各7各部屋は、部屋ごとに豪華な装飾と細かい意匠が施されてた圧巻のつくりになっていて、さらにこれらの部屋を繋いでいる99段の階段は必見です。
また、雅叙園と言えばついつい百段階段に目がいきがちですが、1991年に建てられたホテル雅叙園も見どころが満載です。
現在の雅叙園は1991年に総工費850億円をかけて整備・改修したものが元になっているのですが、これまであった膨大な美術品を修復・再利用することに留まらず「雅叙園流」とも言えるようなその思想を現代において再構成することが試みられています。
「キッチュ」でありながら上質さ・上品さも漂わせたデザインはまさに唯一無二といえます。
設計:酒井久五郎(百段階段)、日建設計(ホテル雅叙園)
所在地:東京都目黒区下目黒1-8-1
アクセス:目黒駅より徒歩約7分
竣工:1943年(百段階段)、1991年(ホテル雅叙園)
備考:第34回BCS賞
10.アルコタワーアネックス・アルコスクエア(日建設計)
最後に紹介するアルコタワーアネックスとアルコスクエアは、目黒雅叙園の既存のオフィス棟に隣接して建てられた高層オフィスビル・商業施設・結婚式場等からなる複合建築です。
アマゾン・ジャパンも入るアルコタワーアネックスは、高低差のある敷地に吹抜やアトリウムを効果的に配置していて、都心の中で人工の渓谷にいるような体験ができます。
足元にあるアルコスクエア天井高を抑えた水平強調のデザインとなっていて、水平に広がる屋根を抜けるとパッと空間が上下に広がる演出も効果的でとても面白かったです。
設計:日建設計
所在地:東京都目黒区下目黒1-8-1
アクセス:目黒駅より徒歩約5分
竣工:2010年
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いかがでしたでしょうか。
ちなみに目黒駅から歩いてすぐの五反田近辺についても以下の記事で紹介していますので、気になった方は是非合わせてご覧いただけると嬉しいです。
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