今日は東京の国立エリアで建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・国立エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・国立エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・国立エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.旧国立駅舎

旧国立駅舎は、2006年に中央線の立体高架化工事に伴って解体された旧駅舎を再建して建てられた案内所・情報発信拠点です。
元々の駅舎は大きな赤い三角屋根にロマネスク風の半円窓やドーマー窓が取りつくイギリスの田園都市風のデザインとなっていて、国立のランドマークでもありました。
再建にあたっては多くの保存部材を利用しつつ、数千点の資料を元に再現・復原が行われました。
ロータリ側の庇を支える海外製の古レールや、駅舎ならではの窓口など100年前の貴重な建築を垣間見ることができます。


設計:竹中工務店
所在地:東京都国立市東1-1
アクセス:国立駅より徒歩約1分
竣工:2020年(再建)
備考:復元前の駅舎は1926年築
2.nonowa国立SOUTH

nonowa国立SOUTHは、国立駅前に2024年にオープンした地上4階建ての商業施設です。
設計を手掛けた大林組は、近年木造の中高層建築を次々と実現していますが、nonowa国立SOUTHも特殊な耐火処理を施した木造柱と耐火被覆の集成材で囲んだ鉄骨梁によるハイブリッド構造となっているのが特徴です。
クリアなガラスの箱を支える木質のグリットによる空間内では、木の肌間を間近で感じることができ、国立駅前の新たなランドマークになることが期待されています。


設計:大林組
所在地:東京都国立市中1-1-52
アクセス:国立駅より徒歩約1分
竣工:2024年
3.国立音大附属幼稚園

国立音大附属幼稚園は、国立駅南口に建つ幼稚園です。
ストライプ柄が施された外壁は、堅牢で彫刻的なコンクリートの特性を保ったままスケールを分節して建物を街の中に溶け込んでいます。
この水平線は楽譜の五線譜のようでもあり、微妙に変化する幅により街並みにリズムを作り出しているのが面白いです。
アールがかかった庇や開口のデザインも素敵で、シンプルながら豊かな陰翳をつくり出しています。


設計:前川建築設計事務所
所在地:東京都国立市中1-8-25
アクセス:国立駅より徒歩約2分
竣工:1983年
4.一橋大学
一橋大学(当時は前身の東京商科大学)は、注目の近代建築がいくつも立ち並ぶキャンパスでもあります。

こちらの兼松講堂は、伊東忠太が設計を手掛けた講堂です。
国立の田園風景によくマッチした優美なロマネスク様式の建物は、一橋大学のランドマークにもなっています。
伊東忠太のトレードマークでも様々な生き物や魑魅魍魎が100体以上も隠されているのも注目ポイントです。

壁、窓、屋根から柱や細かい装飾まで見応えがある建築は、まさに伊東忠太ワールド全開。陰影豊かな装飾とそこに佇む像をみつけてみるのも楽しいです。

兼松講堂の向かいと右手に建つ西本館と附属図書館も昭和初期に建てられたもので、見応えがあります。

豊かな自然環境の中にあるからこそ映える色と素材となっていることも注目ポイントで、建築の持つ普遍性と力強さを存分に味わうことができます。

こちらは道路を挟んだ東キャンパスに建つ東本館。
こちらも1929年築の建物となっているので、訪れた際は是非あわせてみてみたい建築です。


また、小さな建物ですが、西キャンパスの正門を入って左手に建つ旧門衛所も見逃せません。

スクラッチタイルと下見板張りが組み合わさったハーフティンバーの小屋は、100年近くキャンパスに佇み当時の姿を現代に伝えています。

設計:伊東忠太(兼松講堂)、文部省建築課(東本館、西本館、附属図書館)
所在地:東京都国立市中2-1
アクセス:国立駅より徒歩約8分
竣工:1927年(兼松講堂)、1929年(東本館)、1930年(西本館、附属図書館)、1931年(旧門衛所)
備考:登録有形文化財(兼松講堂、旧門衛所、東本館)
5.国立ステップス

国立ステップスは、国立の閑静な住宅街に建つ地上4階地下1階建ての集合住宅です。
角地には樹齢100年を超える樹木が立っていて、樹木と対をなすようなコンクリートの建物が立体的に展開しているのが特徴です。
2棟に分かれた建物が半層ずれながら立ち上がっていて、限られた敷地の中で豊かな住環境と空間をつくりだしているのが面白いです。

設計:早川邦彦/早川邦彦建築研究室
所在地:東京都国立市西2-11-78
アクセス:国立駅より徒歩約10分
竣工:1987年
6.国立館

国立館は、国立駅の関東エリアに建つ地上4階建て総戸数8戸の集合住宅です。
住戸やバルコニー手すりの正形の格子と、屋根の柔らかなアールが対比的にデザインされた建物は、光や風といった自然環境や街との関係を積極的に取り入れるように計画されています。
元々サイクルショップであった1階は、最近訪れた際は学習塾にかわっていましたが、地元の子どもたちが出入りしてよく使われているようでした。

設計:田中敏溥建築設計事務所
所在地:東京都国立市東3丁目6-10
アクセス:国立駅より徒歩約10分
竣工:1988年
7・8.旧沖本家住宅洋館(カフェおきもと)・和館

旧沖本家住宅は、1933年に貿易商であった土井内蔵の別荘として建てられた邸宅です。
設計を手掛けたのは土井の甥の建築家川崎忍氏で、その後1937年に土井と同郷であった沖本至氏が建物を譲り受けて沖本家住宅となりました。
竹林の先に建つ建物は、土井と川崎は共にアメリカ留学していたこともありアメリカのコロニアルスタイルを踏襲したデザインとなっているのが特徴。
周辺の自然に馴染みつつも、緑と補色をなす赤橙の窓枠や破風がアクセントとして効いています。

2020年には邸宅を改修・修復してつくられたカフェおきもとがオープンしました。
歴史が積み重なった空間で、緑豊かなお庭を望みながら優雅なひと時を過ごせるオススメのカフェです。

沖本家の別邸として1940年に建てられた和館も健在で、イベントなどの際に使われることもあるそうです。

設計:川崎忍(洋館)
所在地:東京都国分寺市内藤2-43-9
アクセス:国立駅より徒歩約5分
竣工:1933年(洋館)、1940年(和館)
備考:登録有形文化財
2020年にカフェおきもとオープン
【読むだけで建築について詳しくなれるイチオシの漫画】

実際に一級建築士の資格を持つ人気R18漫画家が描く、唯一無二の建築漫画が話題になっています。
話ごとに建築のデザインはもちろん、法規や構造、施工や不動産に渡って幅広く扱っていて、建築好きなら毎回ワクワクしながら読めて、建築の知識も吸収できる超おススメ漫画です
>Amazonで詳細が読めます
また、当ブログでも漫画のレポートと、漫画と舞台となった亀戸の建築巡りについて紹介していますので、是非併せてご覧ください。
関連記事
・建築本「一級建築士矩子の設計思考」がスゴい!話題の本格建築漫画をレポート
2025年4月17日には「一級建築士矩子の設計思考」第4巻が発売になりましたので、是非チェックしてみて下さいね。


↑建築系のブログランキング。よければクリックして応援してもらえると嬉しいです。
建築やデザイン好きな人は、他にも面白いブログや参考になるブログがいっぱいあるので是非見てみてください^^